核廃棄物を破壊してクリーンエネルギーを生み出す?それは可能だ

A radiation sign is attached to a barrel containing radioactive water during the visit of German Environment Minister Barbara Hendricks (not pictured) to the Asse nuclear waste disposal centre in a unused mine near the German village of Remlingen March 4, 2014. REUTERS/Jochen Luebke/Pool (GERMANY - Tags: POLITICS SCIENCE TECHNOLOGY) - LR1EA341517PH
Long-term nuclear waste can be “burned up” in the thorium reactor to become much more manageable.Image: REUTERS/Jochen Luebke
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長期にわたる放射性廃棄物の問題さえなければ、原子力は究極の「グリーン」エネルギーとなるだろう。ウランに代わるのは、自然崩壊によって地熱エネルギーの半分をもたらしている放射性鉱石、トリウムだ。その地熱エネルギーの半分をもたらしているものであり、私たちは地熱を「グリーンエネルギー」と考えている。インターネットが誕生し、ヒッグス粒子が発見された欧州原子核研究機構(CERN)で20年以上にわたって行われた研究は、トリウムが、場所や時間を問わず豊富な電力を供給する、クリーンエネルギーの画期的な供給源になり得ることを示している。

石炭とガスは依然として世界最大の電力源であり、気候の均衡を脅かしている。太陽光発電などの非化石エネルギーは、日照に恵まれたカリフォルニアでさえ膨大な土地を必要とし、さらに20年以内には設備の廃止に伴う深刻なリサイクル問題が生じる。太陽光発電は、大規模集中型の発電所よりも各家庭で利用するのが最適だ。風力発電には太陽光発電よりさらに広い面積が必要となる。

タイム誌の「環境の英雄」に選ばれたマイケル・シェレンバーガー氏が、最近こう書いている。「カリフォルニア州とドイツが、太陽光や風力発電所などの再生可能エネルギーではなく、原子力発電所に6,800億ドルを投資していたら、両者はすでに電力の100%以上をクリーンエネルギー源から発電していただろう」。確かにそうだが、従来型のウランを使う原子力発電所が生み出す長期的な核廃棄物という厄介な問題は、依然として残っている。

1990年代初頭、ノーベル物理学賞受賞者(1984年)で当時CERN事務局長だったカルロ・ルビア氏は、最先端の加速器技術をエネルギー生産に応用する小規模な実験を開始した。欧州委員会の資金援助を受けた「初のエネルギー増幅器試験(FEAT)」は、広く入手可能なトリウムを利用する、クリーンで本質的に安全なエネルギー生産プロセスの原理を実証した。その後、多数の実験により、産業利用に向けて大規模化できることが示された。また、既存の長期核廃棄物(24万年以上有害)をトリウム炉で「燃焼」させ、はるかに管理しやすい短期核廃棄物(有害期間500年未満)に変えられることも実証された。

このプロセスは加速器駆動システム(ADS)と呼ばれ、CERNで開発された主要技術を組み合わせている。加速した陽子ビームを、通常は鉛の金属標的に照射する。この過程は核破砕と呼ばれ、中性子を発生させる。中性子はトリウムを核分裂性のウラン233に変換し、核分裂によって熱を生み出す。重いウラン233の原子核は、ジルコニウム(通販番組の宝飾品を思い浮かべてほしい)やキセノン(カメラのフラッシュに使用)などの小さな原子核に分裂し、放射性廃棄物はごくわずかしか生じない。

CERNでの20年にわたる研究に基づく、クリーンな電力を生み出す加速器駆動システム(ADS)。

ADSには、他のエネルギー生産プロセスと比べて多くの利点がある。

クリーン:化石燃料とは異なり、CO2や窒素酸化物、硫黄酸化物の粒子などの排出物を生じない。熱は、トリウムを放射性の高いウラン233へ変換し、それをさらに核分裂させて小さな粒子にすることで生み出される。

実現可能性:ADS技術の開発は、現実的な開発期間を見込める、範囲の定まった課題であることが実証されている。一方、核融合は範囲が定まらず、開発期間を限定できない課題だ。

核廃棄物の変換:ADSプロセスは、24万年以上有害な長期核廃棄物を、有害期間が500年未満の短期放射性廃棄物に変換できることが実証されている。この技術は、超長期にわたる放射性廃棄物の貯蔵という解決困難な問題を解消する可能性がある。

軍事利用なし:国際原子力機関は、この技術が「本質的に核拡散を防止する性質を備えている」と繰り返し表明している。

豊富なトリウム埋蔵量:2018年時点の世界の電力消費量を基準に、20世紀分に相当する量がある。トリウムは世界各地に広く分布し、独占する国はない。

高いエネルギー密度:トリウム1トンは、石炭300万トン、または原子炉で使用するために濃縮した天然ウラン200トンに相当するエネルギーを生み出す。

本質的な安全性:大気圧下で稼働するため、チェルノブイリの事故とは異なり、発電所が爆発することはない。また、陽子ビームが中断されると反応はただちに停止し、本質的な安全性が確保される。

スマートグリッドとの親和性:即時に運転を開始・停止できるため、ADS発電所はスマートグリッド向けのベースロード電源として理想的だ。

設置面積が小さい:500MWのADS発電所の規模は中規模の工場程度にすぎない。日照に恵まれたカリフォルニアの砂漠にある出力550MWのトパーズ太陽光発電所は26 km2(10 mi2)を占める。冬の厳しい北西部では、同等の太陽光発電所に約62 km2と、ほぼ3倍の面積が必要になる。風力タービンにはさらに広い面積が必要だ。

立地の柔軟性:本質的な安全性と小さな規模により、ADSは産業用にも都市用にも適しており、日照の少ない高緯度地域を含め、遠隔地にも設置できる。

脱炭素水素の生産:高緯度地域の豊富な淡水の近くに原子炉を設置すれば、クリーンな水素を生産できる。電子を、輸送、暖房、産業プロセスに使われるグリーンガスへと変換できる。

世界各地のトリウム埋蔵量の推定。

ADS技術は、無尽蔵のクリーンな電力と、毒性の高い長期核廃棄物の破壊という二つの約束を前進させる。本質的な安全性により、あらゆる気候の下で、都市部の近くを含むどこにでも発電所を設置できる。ADSは、需要に応じた持続可能なエネルギーの供給と、スマートグリッドへの容易な統合を可能にする。グリーン水素の生産と組み合わせれば、輸送から産業に至るまで、あらゆるエネルギー需要を脱炭素化できる可能性がある。

この有望な技術の開発は、地球温暖化との闘いに貢献しながら、数十年ではなく数年で実現可能な、クリーンエネルギー生産のパラダイムシフトへの希望をもたらす。

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