教訓と共通の課題:南アフリカとドイツにおける電力の脱炭素化

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  • 2024年、世界では過去最高となる585 GWの再生可能エネルギー発電容量が新たに導入された。

  • 南アフリカとドイツではエネルギー転換の段階が異なるため、南アフリカはドイツから学ぶことができる。

  • 何より重要なのは、南アフリカのエネルギー転換において、生計をエネルギー部門に依存する何千人もの労働者を守ることだ。

クリーン技術のコスト競争力が高まり、政策上の要請も強まるなか、世界各地の電力事業者は全面的な脱炭素化を進めている。

2024年、記録的な585 GWの再生可能エネルギー発電容量が世界で新たに導入され、観測史上最速の年間成長を記録した。この拡大分のうち、太陽光発電だけで約452 GW、ほぼ78%を占めた。

大規模な集中型火力発電設備を基盤とするシステムを、分散型で変動する発電を中心とするシステムへと転換するには、エネルギー構成、送電網の安定性、転換の速度、投資、民間市場などをめぐる重要な課題が生じる。

南アフリカで始まるエネルギー転換

南アフリカのように、化石燃料を基盤とするエネルギー部門で何千人もの人々が働く国では、エネルギー転換をどのように進めるかを慎重に検討することが一層重要だ。

南アフリカの国営エネルギー企業エスコムは、石炭火力発電所が寿命を迎えた後、よりクリーンな設備の再電源化や用途転換に取り組んでいる。同時に、同社は技術構成の多様化を進め、2030年以降に20GWを超えるクリーンエネルギー源の導入を目指すとともに、小型モジュール炉や長時間エネルギー貯蔵などの新興技術を検討している。

南アフリカのエネルギー転換が加速するなか、同国は他国の経験から学ぶことができる。

電力エコシステムのサイバー耐性を高めるため、世界経済フォーラムは何をしているのか。

ドイツから得られる教訓

例えばドイツでは、2000年から2025年にかけて電力関連の排出量を45%削減しており、目覚ましい成果を上げている。現在、ドイツの発電量に占める化石燃料の割合は50%未満で、風力と太陽光だけで発電量のほぼ40%を占める。RWEなどの企業も、持続可能な発電を大きく拡大している。

しかし、経験が示すように、再生可能エネルギーを送電網に追加すればエネルギー転換が完了するわけではない。再生可能エネルギーの比率がこれほど高まると、今後の送電網のレジリエンスが課題となる。ドイツの原子力発電所のように、ベースロード電源の多くはすでに廃止されているか、ドイツの石炭火力発電所のように廃止が計画されている。そのため、太陽光や風力だけでは需要をすべて賄えない時間帯への対応が難しくなる。

ドイツのような国では、再生可能エネルギーの発電量が少ない状態が最長2週間続くことがあり、長時間エネルギー貯蔵の大規模な設備が必要となる。この分野はまだ比較的新しい。または、排出削減措置を講じたガス火力や水素を使うピーク対応型発電所も必要となる。これらは一般に、需要が高いときだけ稼働する発電所だ。したがって、柔軟な供給能力への投資を促す適切な市場設計は、脱炭素化とレジリエンスを兼ね備えたエネルギーシステムを実現するうえで不可欠である。

技術導入の順序が重要だ。風力、太陽光、バイオマス、水力など、すでに商用化され、今日でも規模を拡大できる技術がある一方、長時間エネルギー貯蔵、先進地熱、小型モジュール炉、グリーン水素などは、さらなる開発とコスト低減が必要だ。したがって政府は、技術の勝者と敗者を選ぶことには慎重であるべきだ。市場が適切に機能する経済では、政策の枠組みはエネルギーシステムの脱炭素化の度合いと速度をより重視し、最善の技術的選択肢は市場に委ねるべきである。

電力部門では、電力を24時間365日、確実に供給しなければならないため、この課題はとりわけ深刻だ。

電力を供給する設備を置き換えながらも、システムは明かりをともし続けなければならない。転換は消費者にとって負担可能な水準にとどめ、影響を受ける労働者や地域社会を包摂する必要もある。南アフリカのような国では、公正で衡平な転換が特に重要だ。

クリーンエネルギーへの転換を促進するため、世界経済フォーラムはどのように取り組んでいるのか。

エネルギー・素材センターは、エネルギー、素材、産業システムを変えつつある複雑な転換を理解するため、リーダーたちをつなぐ。同センターは、エネルギー安全保障、負担可能性、持続可能性がどのように交差するかを探る場を提供する。

バリューチェーンや地域をまたぐ協働を通じて、同センターは共通の道筋を示し、安全で低炭素かつ衡平な転換に向け、パートナーが実践的な解決策で足並みをそろえられるよう支援する。

センターの取り組みを見る

南アフリカのエネルギー労働者にとって公正な転換

南アフリカは化石燃料への依存度が高く、電力供給の70%超を石炭火力が占め、その大部分を国営電力会社エスコムが担っている。電力部門は同国の温室効果ガス排出量の約42%を占めるため、よりクリーンなエネルギーへの移行は最優先課題である。

石炭・電力部門は10万人超を雇用し、多くの地域社会の生計を支えている。そのため、同部門における転換の社会経済的影響を緩和することは、失業率が33%を超え、世界でも特に格差が大きい国にとって極めて重要だ。南アフリカでは10年以上にわたり経済成長が低迷しており、製造業や鉱業などの重要部門の回復を促すため、電力や物流などのインフラ整備を優先している。

従来、計画立案者は発電コスト、新たな電源が既存の発電パターンをどの程度補完するか、需要のパターンとの整合性などを考慮してきた。これらは引き続き重要だが、システム全体への影響を捉えられるよう、検討範囲を広げるべきだ。

まず、発電所単位の発電コストだけでなく、システム全体のコストを検討することが不可欠だ。発電コストの低い技術でも、大規模な送電網の増強、出力抑制、需給調整の必要性、追加の蓄電設備の必要性を招けば、総コストを押し上げる可能性がある。立地を賢く選び、送電網を統合的に計画すれば、こうした見えにくいコストを大幅に削減できる。

再生可能エネルギーを大規模に導入するには、送電網の拡張を適時に計画することも必要だ。再生可能エネルギーがすでに大量に導入されているドイツや英国では、これが最大級の実行上の課題の一つとなっている。

電力部門における技術

供給の安定性を確保するには、多様な技術構成が欠かせない。最も低コストの単一の選択肢に過度に依存すると、脆弱性が高まる。安定性を確保し、気候変動に起因する異常気象へのレジリエンスを高めるには、太陽光を風力、水力、バイオマス/バイオガス、柔軟に調整できる電源と組み合わせるべきだ。日照に恵まれた地域でも、曇天時や夜間の需要を補う風力発電が役立つ。つまり、多様化に寄与する特定の技術には、安定した投資の枠組みを通じて、より高い優先度を与えるべきである。長期的には、エネルギーシステムのレジリエンスと安定性が大きく高まる。

転換期にも停電を防ぎ、価格を負担可能な水準に保つため稼働を続ける既存の火力発電設備も、効率と排出制御の面で改修すべきだ。フィルターの設置、運用の最適化、よりクリーンな燃料の使用は、費用対効果が見込める場合に投資すべき手段である。関係当局は、送電網の安定化にどのようなサービスを提供すべきか、どのような投資が必要か、その対価をどう支払うかを明確に定め、確固として意欲的でありながら現実的かつ費用対効果の高い廃止時期を設定すべきだ。

適切に管理されたエネルギー転換には大きな利点がある。輸入燃料への依存を減らし、国内のクリーンエネルギー産業の成長を加速し、消費者がエネルギーの使用をより細かく管理できるようになる。

成功は、適切な技術を選ぶことだけでなく、それらを一貫性とレジリエンスを備え、負担可能な電力システムに統合し、その状態を今後数十年にわたって維持できるかにかかっている。

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