水素大国となる可能性があるのはどの国か?

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  • 気候変動とネットゼロへの公約を背景に、化石燃料からクリーン水素などの代替エネルギーへの移行が加速している。

  • 水素技術の導入競争が始まっており、明日の水素大国を目指す国もある。

  • 水素は石炭、石油、天然ガスの直接的な代替物ではないが、経済の一部の脱炭素化に役立つ。

クリーンエネルギーをめぐる世界的な取り組みが、化石燃料を基盤とする世界秩序を揺るがしている。最近発表された報告書によると、2050年までに水素が世界のエネルギー消費の最大12%を占め、新たなエネルギー大国が台頭する可能性がある。

クリーン水素やその他の低炭素燃料の導入と規模拡大を競う先頭集団はどの国だろうか。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の新報告書『エネルギー転換の地政学:水素の要因』は、エネルギー情勢で起きている政治的・経済的変化を分析している。

同報告書は、クリーン水素のバリューチェーンを促進する政策施策、技術、輸出施設の整備で先行する6つの国・地域を挙げている。鉄鋼生産、海運、道路貨物輸送などの分野を脱炭素化するには、これらすべてが必要となる。


中国

中国は他のどの国よりも多くの水素を消費・生産しており、現在の年間使用量は2,400万トンを超える。

排出のない「グリーン」水素は、再生可能エネルギーを使って生成される。Image: IRENA

中国の生産量の大半は「グレー」水素で、石炭などの化石燃料を使って生成される。一方、排出のない再生可能エネルギーを使う「グリーン」水素関連プロジェクトは、2019年以降30件以上立ち上がっている。

中国は2016年に初の水素ロードマップを発表し、燃料電池電気自動車(FCEV)の保有台数で世界第3位となったほか、燃料電池トラックやバスの開発でも先駆的な役割を果たしている。

中国の5カ年経済計画では、水素を将来の6大産業の一つと位置づけている。現在、国としての戦略はないものの、16の省・市のエネルギー戦略に水素が盛り込まれている。

欧州連合

EUは2020年に水素戦略を発表し、「欧州グリーンディール」などの政策目標の達成に向け、水素を重要技術と位置づけている。

EUの戦略は排出のないグリーン水素に重点を置き、2030年までに再生可能水素の電解装置容量を40ギガワット導入する目標を掲げている。しかし、欧州のグリーン水素容量は2025年までにわずか2.7ギガワットにとどまる見込みであるため、この意欲的な目標の達成は困難となるだろう。

欧州クリーン水素アライアンスは、クリーン水素プロジェクトへの投資と大規模展開を支援するために発足した。EUはクリーン水素分野で産業界をリードすることを目指している。域内の加盟国は、大規模な水素輸入国、輸出国、または中継拠点となることが見込まれる。

EUは水素プロジェクトに年間最大45億6,000万ドルを拠出できる。Image: IRENA

図が示すように、EUは2021~30年に水素プロジェクトへ年間最大45億6,000万ドルを拠出できる。

インド

グリーン水素は、インドが2047年までにエネルギー自立へ「飛躍的な前進」を遂げる助けとなる可能性があるとナレンドラ・モディ首相は、2021年に同国の国家水素ミッションを開始した際に述べた。

政策担当者は、石油精製所や肥料工場に対し、産業工程で一定割合以上のグリーン水素を使用するよう義務づける法案を検討している。

再生可能エネルギーへの転換を進め、現在、国内の石油・ガス需要の大半を満たしている輸入化石燃料から脱却するインドにとって、グリーン水素は大きな付加価値を生み出す機会となり得ると、エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)のオーストラリア・アジア太平洋地域エネルギー金融研究ディレクター、ティム・バックリー氏はRecharge Newsに語った。

日本

IRENAの報告書によると、日本は2017年、あらゆる分野で水素を導入し、世界初の「水素社会」の実現を目指す取り組みの一環として、国として初めて水素戦略を策定した。

同国には、クリーン水素を大規模に生産するために十分な量の風力や太陽光発電を導入できる天然資源がないため、水素を輸入するための長期供給契約の締結を進めている。

政府は2020年に水素・燃料電池技術へ総額6億7,000万ドルを投資したほか、政策担当者は2030年までにFCEV80万台と水素充填ステーション900カ所を整備する目標を掲げている。

韓国では、水素が経済成長と新たな雇用の重要な原動力とみなされている。Image: UNSPLASH/Maxim Hopman

韓国

韓国の2019年水素ロードマップは、クリーン水素を経済成長と雇用創出の重要な原動力と位置づけた。同国は、FCEVの生産・導入と、水素発電用の大規模定置型燃料電池の分野で世界をリードすることを目指している。

韓国のグリーン・ニューディールは、2025年までにFCEVを20万台導入するという意欲的な目標を掲げており、これは2020年の約20倍に当たる。さらに昨年、韓国は「水素経済の育成および安全管理に関する法律」を可決した。これは、水素自動車、充填ステーション、燃料電池の普及を促進する世界初の法律である。

IRENAによると、2030年までに都市、郡、町のエネルギー需要の10%を水素で賄う計画があり、その割合は2040年までに30%に上昇し、今世紀半ばまでには水素が同国最大の単一エネルギー源となる見通しだ。

米国

米国は、中国に次ぐ世界第2位の水素生産国・消費国であり、世界需要の13%を占める。

カリフォルニア州などの州は、「クリーン車両リベート制度」などの施策を通じて、10年以上にわたり国内のFCEV市場の成長を後押しした。米国は2020年までこの分野で世界をリードしていた。

政府が2021年インフラ投資・雇用法を成立させた際、クリーン水素の開発促進に95億ドルの予算が盛り込まれた。その後、政府は「水素アースショット」計画を開始した。報告書によると、いわゆる「111目標」は、10年間でクリーン水素のコストを1キログラム当たり1ドルに引き下げることを目指す。

その他の国々

南米のチリや、アフリカのモロッコ、ナミビアなど、エネルギーの純輸入国が、排出のないグリーン水素の輸出国として台頭している。一方、オーストラリア、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの化石燃料輸出国は、経済の多角化にクリーン水素を活用しようとしていると、報告書は述べている。

クリーンエネルギーへの移行に関して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのか?

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