ASEANのクリーンエネルギーの未来を切り開くのは競争ではなく地域協力

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ASEAN countries are collaborating to meet soaring energy demand with affordable, reliable and sustainable solutions that focus on energy integration.Image: Shutterstock/Dusit
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  • 東南アジアでは、工業化、デジタル化の進展、人口増加がエネルギー需要を押し上げている。

  • 急増する需要に応えながら、エネルギーの安定供給、手頃な価格、持続可能性を確保するには、より統合された電力システムが必要となる。

  • 地域各国はすでに、送電網の統合と原子力エネルギーに関するプロジェクトの開発と協力に着手している。

国際エネルギー機関によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)全体の電力需要は、2050年までに倍増すると予測されている。急速な工業化、デジタル化の進展、都市の急成長がその要因だ。しかし、地域のエネルギーの約80%はいまも化石燃料に依存しており、各国経済は価格変動、供給途絶、排出量の増加にさらされている。

グローバルサウスの多くの地域と同様、ASEANも今、急増する需要に応えながら、エネルギーを手頃な価格で安定的に供給し、ネットゼロの目標に沿わせる方法を見いださなければならない。その答えは競争ではなく協力にある。

地政学的不確実性と制度の分断が進む時代に、ASEANは地域協力が今なお機能するという別の見方を示している。集団的な行動は合意形成に時間を要することもあるが、各国が個別に進める戦略よりも、拡張性、強靱性、効果に優れた成果をもたらす。

再生可能エネルギーの導入が拡大し、データを活用する産業が成長し、交通の電動化が進むにつれて、ASEANのエネルギーシステムははるかに相互接続され、複雑になっている。これにより、地域共通のアプローチが必要だという根拠は一層強まっている。

ASEANのエネルギー統合の議題を定める

電力の安定供給、手頃な価格、持続可能性を確保しながら、急増するASEANのエネルギー需要に応えるには、地域の緊密な協力と、より統合された電力システムが欠かせない。こうしたニーズを単独で満たせる国はない。協調的な計画、共同投資、越境連系が不可欠となる。

ASEANは、ASEANエネルギー協力行動計画のもとでエネルギー統合の議題を推進しており、協力の精神を体現する2つの主要な地域構想を掲げている。

第一に、ASEAN電力網(APG)は各国の電力網を接続し、電力取引や、国境を越えた再生可能エネルギーの統合を可能にする。特にデータセンターやエネルギー集約型産業によって需要が増すなか、送電網の共有は信頼性を高め、各国が重複するインフラをそれぞれ整備する必要性を減らす。

第二に、民生用原子力エネルギーの枠組みでは、出力が変動する再生可能エネルギーを補う安定的な低炭素電源として、原子力発電が果たす役割を検討している。ASEANでは、エネルギー安全保障、手頃な価格、徹底した脱炭素化を実現する長期的な解決策として、原子力エネルギーへの関心が高まっている。検討を選択する国々にとって、地域対話は、安全で協調的かつ国際基準に沿った取り組みを確保する助けとなる。

これらの構想は、集団的な行動と地域間の信頼によって、エネルギーシステムの安全性、効率性、持続可能性を高め、個々の国が負うリスクとコストを減らせることを示している。

電力網の統合と原子力エネルギー

ASEAN各地では、具体的で他地域にも応用可能な協力がすでに進んでいる。

ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール電力統合プロジェクトはその一例で、ASEANが数十年にわたり掲げてきたAPG構想の節目となった。マレーシアとラオスは現在、システムコストを引き下げ、信頼性を高める越境電力融通プロジェクトを試験的に進めている。

送電網の強化、越境連系の推進、政策枠組みの改善は、システムの信頼性と地域全体での再生可能エネルギーの大規模な導入に不可欠だ。イノベーションと利用しやすい資金調達も、電力需要の増加に歩調を合わせてクリーンな電化を広げるうえで重要な役割を果たす。これは多くのASEAN経済にとって優先課題であり、世界経済フォーラムの電力システムの未来イニシアチブが検討する分野でもある。

原子力の検討も、ASEANのエネルギー構成の多様化、システムの強靱性の強化、協調的な解決策による電力需要の増加への対応を目指す、より広範な地域的取り組みの一環として検討されている長期的な選択肢の一つだ。

2025年5月に開催されたASEANエネルギー移行会合では、「地域協力の促進」をテーマに、先進的な原子力技術を含む幅広いクリーンエネルギーの選択肢を検討したいという地域の関心が示された。インドネシアとフィリピンは、長期的な多様化戦略の一環としてすでに小型モジュール炉(SMR)を検討しており、そこで得た知見を共有している。フィリピンが2024年12月に実施した統合原子力インフラレビューミッションと、同国の原子力エネルギー・ロードマップの公表は、知見の共有と制度面の準備が、各国による厳格で透明性の高い、長期的な関与を伴う原子力導入の検討にどう役立つかを示している。

2025年6月の国際原子力機関(IAEA)と世界銀行グループの覚書により、各国は原子力の安全、安全保障、保障措置、燃料サイクル、エネルギー計画、廃棄物管理に関する能力を構築する新たな道筋を得ている。また、開発途上国が既存の原子炉の運転期間を安全に延長する機会も示している。既存炉は低炭素電力の供給源のなかでも特に費用対効果が高い。さらに、柔軟な導入が可能で初期費用も抑えられる、新興の小型モジュール炉(SMR)技術の推進にもつながる。

同時に世界銀行は、長年続けてきた禁止措置を解除し、原子力エネルギーへの融資を認めると発表した。これにより、将来のエネルギー構成の一部として原子力を検討する国々にとって、世界的な資金調達の選択肢が広がる。IAEAは規制当局に対しても、能力構築の支援を提供している。

長期的な技術の選択肢に加え、ASEANはインフラと資金調達に関する協力も深めている。各国は、電力融通とデジタル接続の双方を強化する海底送電システムを検討しており、2045年までに電力システムを完全統合するというASEANの長期目標に向けて機運が高まっている。海底電力ケーブル枠組みの推進と、ASEAN電力網融資ファシリティは、地域計画によって資本、技術、政策を連携させ、連系プロジェクトを加速できることを示している。

ASEAN協力を左右する重要な局面

2025年のインテリジェント・エイジを動かすサミットがクアラルンプールで開催され、MyDIGITAL Corporationが運営するマレーシア第四次産業革命センター(Malaysia Centre4IR)と世界経済フォーラムが、政策立案者、公益事業者、金融関係者、技術リーダーを集めた。議論から得られた重要な示唆は、技術が重要である一方、地域のエネルギー統合を実効的に進めるには、最終的に信頼、共通基準、一貫したガバナンス枠組みが欠かせないということだった。

ASEANでは地域協力がすでに具体的な成果を生み出しており、信頼、継続的な関与、一貫したガバナンスが、越境課題の解決に最も有効な手段であり続けることを示している。変化する地政学的現実に適応するため、グローバルサウスは協力、実用主義、地域のリーダーシップを通じて、エネルギー移行への独自の道筋を切り開いている。

ASEANのクリーンエネルギー協力は、開発途上地域が成長を犠牲にすることなく、よりクリーンでスマートかつ強靱なエネルギーシステムを構築できることを示している。マレーシアが2025年の議長国として築いた機運を引き継ぎ、2026年にフィリピン、続いて2027年にシンガポールがASEAN議長国を務める際にも、この取り組みは続くだろう。これらすべての国が、相互接続性と持続可能性を高めた地域のエネルギーの未来づくりに役割を果たす。

分断がしばしばニュースの見出しを占める世界で、ASEAN地域は、共通の課題には共通の解決策が必要だと示している。

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