クリーンエネルギーへの移行では、世界各地のエネルギー貧困にも対処しなければならない。
この移行を支えるために必要なインフラ投資は、多くの国にとって手の届かない規模だ。
コロンビアのような低所得国は、低コストのソリューションで経済面と環境面の利益を実現できることを示している。
こちらをお読みください:エネルギー移行指数2021。
国連によると、7億人(世界人口の10%)が今なお貧困の中で暮らしている。どのような見方をしても衝撃的な数字だが、忙しい日々を送り、自分自身の悩みに対処するうちに、多くの人が忘れてしまう現実でもある。
あまり知られていない、あるいはあまり語られないのは、貧困の中で暮らす人々には、より裕福な人々よりもはるかに大きなエネルギーへのアクセスが必要だということだ。暖を取り、健康的な食料を確保して調理し、安全な水を得るためである。貧困の中で暮らしていない私たちにとっても、エネルギーへのアクセスが同じように不可欠なのはもちろんだ。しかし私たちには、自分や家族に暖かさや食料を届ける手段が、利用しやすい形でいくつもある。こうした基本的なニーズを、私たちは当たり前のものと考えがちだ。
エネルギー業界に携わる私たちは、エネルギー移行の実現に熱心に取り組んでいる。それは当然のことだ。この取り組みは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と目標13「気候変動に具体的な対策を」に集約されている。国連は17の持続可能な開発目標を「相互に関連し、不可分」と定義している。エネルギー移行が他の目標、とりわけ目標1「貧困をなくそう――あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」とどのようにつながっているか、立ち止まって考えたことはあるだろうか。
国連によると、「世界は目標7の達成に向けて前進しており[エネルギーをみんなに そしてクリーンに]、エネルギーの持続可能性と利用可能性が高まっていることを示す明るい兆しが見られる。貧しい国々では電力へのアクセスが加速し始め、エネルギー効率は向上を続け、電力部門では再生可能エネルギーが目覚ましい進展を遂げている。それでも、30億人がクリーンで安全な調理用燃料や技術を利用できるよう、より重点的に取り組む必要がある。」
もっとできることがあるとしたらどうだろう。実は、できるのだ。
エネルギー移行に向けた取り組みは、エネルギー貧困、さらにはより広い意味での貧困にも対処する、またとない非常に重要な機会となる。その解決策は、エネルギー移行をどのように進めるかにある。
新たなインフラに巨額の投資ができる国もある。ウッド・マッケンジーの新たな分析によると、米国が100%再生可能エネルギーへの移行に向けて今後10年間に必要とする支出は、推定4.5兆ドルに上る。しかし、より豊かでない国々には、この種の投資を行う選択肢はない。
電力会社がエネルギー移行への投資をどのように実行するかは非常に重要だ。こうした選択は、料金の上昇という形で、低所得の顧客に最も直接的な影響を及ぼすからである。各国と電力会社が、実行方法を慎重に検討しているのは当然だ。
コロンビアの事例は、エネルギー移行を低コストで実現できることを示す
コロンビアを例に見てみよう。同国では、賢明で革新的な低コストの方法でエネルギー移行を進め、国民に手頃な価格の電力を提供している。その国民の4分の1以上が貧困ラインを下回る生活を送っている。
コロンビアを代表する電力会社の一つ、メデジン公営企業(Empresas Públicas de Medellín、EPM)は、モジュラーFACTSの導入に成功したと最近発表した。FACTS(フレキシブル交流送電システム)は送電網の電力フローを管理し、経済面と環境面で幅広い利益をもたらしている。この技術によりEPMは、新たなインフラの建設に投資することなく、既存インフラを最適化し、メデジン全域でエネルギーへのアクセスを改善できる。EPMは再生可能エネルギー発電の接続を促進することで、増加する需要に対応している。この取り組みを通じて、EPMは運用コストを下げながらシステムの信頼性を高め、その結果、顧客の電気料金も引き下げている。
イノベーションを活用するというEPMのビジョンと取り組みは、メデジンの電力利用者だけでなく、コロンビアの電力部門全体にも恩恵をもたらしている。エネルギー移行を実現し、さらに重要なこととしてエネルギー貧困に対処するには、エネルギー業界はこのような創造的な行動を検討しなければならない。
私たちには状況を変える機会があり、世界市民としてそのために行動する責任がある。今こそ、語り合い、考え、そして何より行動を起こす時だ。


