世界銀行:水に対してシステムベースのアプローチが必要な理由

Failing water systems can have catastrophic impacts on food and energy sectors.
Failing water systems can have catastrophic impacts on food and energy sectors.Image: World Bank
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  • 近年、世界各地で熱波と干ばつが相次ぎ、水システムは厳しい状況に置かれています。

  • これは、食料やエネルギーといった経済分野に大きな影響を及ぼしています。

  • 世界銀行の専門家3名は、これらのリスクを緩和するための新たなアプローチが必要だと指摘しています。

ここ数週間、世界各地で熱波と干ばつが発生しています。米国西部、ブラジル南部、中東はそのほんの一例であり、これらの地域ではインフラ、社会、自然システムがすでに極端な気候現象への対応を迫られています。科学界は、ブラジルで今年の干ばつは100年で最悪のものだと見ています、また米国では近年は過去1,200年で最悪の状況にあるとしています。

これらの干ばつの当初の影響として、水システムが厳しい状況に陥っています。米国では、国内最大の貯水池であるフーバーダムによって形成されたミード湖が、歴史的な水不足に陥ったと宣言されました。これにより、米国南西部のほとんどの地域で前例のない給水制限が実施され、主要な経済分野に影響が及んでいます。ブラジルでは、サンパウロなどの都市に水を供給するカンタレイラ・システムを構成する5つの相互接続された貯水池が、現在40%の容量で稼働しています。イラン、イラク、レバノンなどの国々でも、貯水池の水位が危機的なほど低下していると報告されています。

水システムの機能不全は、食料やエネルギーなどの主要な経済分野にも影響を及ぼします。その直接的な影響は地域レベルにとどまらず、国内や国境を越えた規模にまで及ぶ可能性があります。ブラジルでは、水力発電の供給低下により電気料金が15%上昇すると見込まれています。また、灌漑用水の不足により、特に砂糖やカカオの価格が上昇しています。全体として、食料とエネルギーの価格上昇により、同国のインフレ率が8ポイント押し上げられると考えられています。イラクでは、作物の不作により農家の収入が減少する一方で、食料と水の輸入への依存度が高まっています。イラクとレバノンの両国では、深刻な電力不足と地域間の不安定な送電網接続により、個人用発電機を買う余裕のない家庭や企業が苦境に立たされています。

今後、脆弱な地域の水システムの影響がさらに拡大する可能性があります。ブラジルにおける極端な地域的な干ばつは、国際的な食料安全保障をも脅かす可能性があります。特に、食料輸入に大きく依存している中東・北アフリカ地域にとって、その影響は深刻です。

さらに、水力発電部門の対応力が低下し、エネルギー需要が急増すると、気候変動の緩和、脱炭素化、エネルギー転換の取り組みが妨げられる可能性があります。水力発電で賄えないエネルギー需要は、他の燃料で補われることになります。多くの場合、その代替燃料は炭素排出量がより多く、社会的な論争を呼ぶ電源です。例えばカリフォルニア州では、すでにさまざまなガス火力発電所の廃止が延期されています。一方で、2025年までに原子力発電所を閉鎖する実現可能性についても疑問が呈されています。ブラジルも、失われた水力発電を補うため、ガス、ディーゼル、石炭を燃料とする、より高価で炭素排出量の多い発電所を利用することでエネルギー需要に対応しています。実際、エネルギー不足への対応として、ブラジルは昨年6月に天然液化ガスの輸入量が過去最高水準に達しました。

相互依存性が高まり、変化し続ける世界では、地域の水リスクが深刻かつ世界的な影響を及ぼすことになり、その結果、水分野には新たな視点が求められています。この新たなアプローチには、次の要素を含める必要があります。

水システムの視野を広げる

水および相互に関連するシステムは、多くの場合、それがもたらす直接的な利益(または危険)の範囲でのみ捉えられがちです。現代社会や経済は複雑に構成されており、この視野を広げる必要があります。例えば、ブラジルの干ばつが食料安全保障や食料輸入国のインフレに影響を及ぼす範囲を考えると、水システムとして理解されている範囲の真の地理的境界を捉え直す必要があります。

水文気候学的要素やインフラ要素を超えて考える

水分野の境界を広げるには、水がもたらす社会、経済、制度の各領域との相互関係を慎重に取り込む必要もあります。例えば、水と気候の衝撃がエネルギー転換の取り組みやエネルギー安全保障の目標にどのような影響を及ぼすかを考えると、レジリエントなエネルギー・水システムとは何かを再定義する必要があります。これには、水安全保障と気候レジリエンスの枠組みを、国際貿易や国際関係、食料とエネルギー、国レベルの社会経済目標の各分野と整合させるとともに、体系的な相互依存関係を全体的に検証することが求められます。

水および相互に関連する分野が直面する、変化し不確実な特性を認識する

干ばつだけが気候と水に関するリスクではありません。ここ数か月、ベルギー、中国、ドイツなどの国々で前例のない洪水が発生し、社会経済システムのレジリエンスが試されてきました。また、昨年2月にはテキサス州で予期せぬ寒波が発生し、気候とエネルギー、水供給の重要な結びつきも試されました。しかし、水リスクの中長期的な特性は予測が難しく、特に気候が変化する中ではなおさらです。そのため、水および相互依存するシステムの計画においては、多様なリスクや変化の要因(気候以外のものも含む)を認識し、直面する可能性のある起こりうる将来において頑健な解決策を提示する必要があることが強調されます。

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