2022年の予測:CEOや各界のリーダーが、ネットゼロへの移行を加速する方策を共有

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  • 気候変動への取り組みには、新たな発想とアプローチが必要です。

  • 化石燃料に依存しない未来を早期に実現するには、影響を拡大できる多様な革新的アプローチとソリューションが必要です。

  • 大手企業のリーダーたちが、ネットゼロへの移行を推進するソリューションやアプローチを探ります。意外なものも含まれています。

地球上における人類の未来は、自然を保護し、再生できるかどうかにかかっています。リーダーには、規模を拡大でき、気候目標に効果的に取り組めるソリューションを生み出す革新的な思考が求められます。

この特別企画では、世界経済フォーラムがダウ、BASF、ボストン コンサルティング グループなどの企業のリーダーたちに、ネットゼロへの移行に向けた取り組みを加速させると考える方策や戦略を尋ねました。こうした考え方、技術、アプローチは、変革を拡大し、気候変動対策で真の進展を遂げる方法を示しています。

世界経済フォーラムは気候変動に対してどのような取り組みを行っていますか?

ネットゼロ移行の方策1:クリーン水素にインセンティブを与え、導入を支援する

化学業界は、主要な製造工程の副産物からクリーン水素を生産する方法を開発しました。クリーン水素は真に循環型の水素供給源となり、製造工程で燃料として使われる一方、残留するCO2は回収・貯留されます。

製造業における水素利用については、これまで多くの議論が交わされてきました。低炭素経済への移行において、ブルー水素とグリーン水素、そしてその他の色の水素の重要性をめぐる議論が、本質から目をそらせているようにも見えます。循環型は色ではありませんが、循環型水素は実在し、何よりクリーンです。炭素排出量の削減に取り組む製造業者にとって、目標はクリーンであること、そして導入のスピードが重要です。

実効性のある解決策を実現するには、水素をエネルギー源として広く受け入れる必要があります。そのためには、政策立案者が可能性を認識し、この新たな燃料の技術開発を促進して費用対効果の高い規模拡大を可能にする、賢明な政策を策定しなければなりません。こうした政策によって、水素の広範な導入に必要なインフラへのインセンティブ付与、資金提供、整備が可能になります。また、この分野のイノベーションを加速する研究パートナーシップを促進し、より効率的で手頃な価格のエネルギー移行を実現すべきです。再生可能エネルギー、H2およびCO2のパイプライン、送電網のインフラへの投資を後押しする政策は、産業の脱炭素化を促進できます。

―ジム・フィッタリング、ダウ社長兼CEO

「炭素排出量の削減に取り組む製造業者にとって、目標はクリーンであること、そして導入のスピードが重要です。」

ジム・フィッタリング、ダウ社長兼CEO―ジム・フィッタリング、ダウ社長兼CEO

IEAによると、信頼が協力を促します。各国政府は、ネットゼロ目標の達成に向けた信頼できる段階的な計画を示し、投資家、産業界、市民、他国の信頼を築く必要があります。Image: IEA

ネットゼロ移行の方策2:誓約やコミットメントをさらに前進させる

気候変動に関する誓約やコミットメントは数多くあります。森林破壊、土地利用の変化、生物多様性の損失、気候正義など、さまざまな分野で取り組みが進んでいます。しかし、最大限広範かつ効率的な効果を得るには、これらの取り組みを連携させなければなりません。

グローバル・コモンズ・アライアンス(GCA)のようなパートナーネットワークがその一例です。ポルティカスも参加するこのイニシアチブは、科学機関、NGO、企業、政府機関の主要組織を共通のビジョンのもとに結集させています。GCAは包括的な枠組みを提供し、参加を促し、既存のコミットメントの効果を最大限に広げ、相互につながる自然システムの保全に向けた進捗を監視します。

「最大限広範かつ効率的な効果を得るには、取り組みを連携させなければなりません。」

メラニー・マース・ヘーステラヌス、ポルティカスCEO

アライアンスの力と影響が見え始めています。COP26でGCAは、自然を議論の中心に据えました。同アライアンスが策定した自然に関する科学に基づく目標の枠組みにより、2030年までに都市や企業が地球の限界の範囲内で活動するための具体的な目標が定められました。こうした科学に基づく目標は、投資家の懸念への対応、リスク軽減、人材の獲得、イノベーションと協業の機会創出などを通じて、企業や都市の競争力とレジリエンスを高めます。すでに100社を超える企業が、この手法の試験導入を約束しています。こうしたアプローチにより、取り組みを効率化し、拡大することで、世界の気候目標の達成に向けた活動を加速できます。

―メラニー・マース・ヘーステラヌス、ポルティカスCEO

ネットゼロ移行の方策3:ネットゼロ金融の先を見据える

世界の投資家はポートフォリオの脱炭素化を進め、化石燃料からの撤退を加速させています。これはネットゼロ排出目標に向けた明るい兆しです。調査ステート・ストリート・アソシエーツの調査によると、機関投資家のポートフォリオ全体の炭素強度は、2019年1月から2021年10月までに3分の1低下しました。しかし、ここに落とし穴があります。高炭素資産の所有者を変えるだけでは、世界をネットゼロに近づけることにはなりません。多くの人には今なお考えにくいことですが、高炭素資産への投資を続け、グリーンへの移行を後押しすることが答えとなるかもしれません。

世界最大の電力源である石炭を考えてみましょう。特に新興市場では、石炭が国の発電量の大半を占めることがあります。その場合、短期的に石炭の使用を停止することは現実的ではありません。しかし中期的には、世界の温室効果ガス排出量を削減するために石炭からの移行が不可欠であり、そのための資金が必要になります。

先延ばしにするのではなく、高炭素資産の所有を継続することは、ネットゼロに向けた真に両面対応のアプローチの一部となり得ます。そこでは再生可能エネルギーの供給能力に多額を投資すると同時に、既存の炭化水素資産を段階的に縮小する過程で、責任ある所有者、債権者であり続けます。

炭素集約型の新興市場では莫大な資金が必要です。ネットゼロへの移行に資金を供給するには、協調的なアプローチ以外に選択肢を見いだすのは難しいでしょう。

―リック・ラカイユ、ステート・ストリート・コーポレーション ESGグローバル責任者

「ネットゼロへの移行に資金を供給するには、協調的なアプローチ以外に選択肢を見いだすのは難しいでしょう。」

リック・ラカイユ、ステート・ストリート・コーポレーション ESGグローバル責任者

ネットゼロ移行の方策4:新たな協業アプローチを取り入れる

多くの企業リーダーはこれまで、新たなグリーン技術の普及の速さを過小評価し、コストを過大評価してきました。例えばエネルギー分野では、太陽光、風力、電気自動車の各技術はいずれも、当初の予測より速く、より経済的に開発されました。

気候変動イノベーションが多くの従来型ビジネスモデルの根幹を揺るがすほどの変化をもたらす中、不意を突かれないようにし、大きな機会を捉えることが不可欠です。グリーンイノベーションで大きな効果を生む最も有効な方法の一つは、リーダーがパートナーシップのアプローチを採用することです。

「企業にも人類にも、成功するための時間はわずかしかありません。」

クリストフ・シュバイツァー、ボストン コンサルティング グループCEO

ビル・ゲイツ氏が率いるブレークスルー・エナジーの一部であるブレークスルー・エナジー・カタリストは、注目すべき事例です。企業、政府、慈善団体、個人からなるこの新たな連合は、脱炭素技術の初期導入への資金提供を目的とした直接投資を通じて、次世代の気候技術を加速させます。当初の重点分野は、グリーン水素、長時間エネルギー貯蔵、直接空気回収、持続可能な航空燃料です。これらの技術は「グリーンプレミアム」を引き下げ、ネットゼロ経済を支えるうえで不可欠です。

カタリストは、ネットゼロへの転換を加速させるために必要なパートナーシップのモデルとなるべきです。リーダーたちが組織を新たな事業や技術へと転換しようとする中、民間部門と公共部門のパートナーと連携すれば、成功の可能性を高め、実現までの時間を短縮できます。企業にも人類にも、成功するための時間はわずかしかありません。

―クリストフ・シュバイツァー、ボストン コンサルティング グループCEO

ネットゼロ移行の方策5:基準と方法論を取り入れる

気候を守るには、移動手段、家庭の暖房、食生活、購入の決定方法を見直さなければなりません。しかし、私たちの行動がどのような影響をもたらすかを理解するのは、必ずしも容易ではありません。ISO規格があるにもかかわらず、個々の製品のカーボンフットプリント(PCF)を算定するための標準仕様は十分に整っていません。詳細なルールがないため、異なる企業が製造する同一製品のPCFを、現時点では完全に比較できません。

「正確な情報があってこそ、効果的な行動を取ることができます。」

―マーティン・ブルーダーミュラー博士、BASF SE取締役会会長

顧客が製品を選ぶことによる影響をよりよく理解できるよう、BASFでは、原料調達から工場出荷までの製品カーボンフットプリント(PCF)を、販売する45,000製品について算定する強力なデジタルソリューションを開発しました。その結果、化学製品のPCF算定は複雑ではあるものの、信頼できる排出量データ、公平な算定方法、強力なデジタルソリューションがあれば実現可能だと分かりました。また、このデータは排出削減の可能性を特定するのに役立つ知見ももたらします。

BASFは自社製品の製品カーボンフットプリントを算定するアプリケーションを開発しましたが、異なる企業の製品を比較できるようにするには基準が必要です。Image: BASF

基本的に、業界各社は共通の方法論に合意し、製造業者はバリューチェーン全体のパートナーと製品カーボンフットプリントのデータを共有する原則を受け入れる必要があります。BASFの貢献として、当社はデジタルソリューションのライセンスをソフトウェア会社に供与し、市場で利用できるようにしました。現在、それらの会社は他社が製品のカーボンフットプリントを算定し、排出要因をよりよく理解するのを支援しています。同時に、共通のライフサイクル評価方法論についての合意を促し、データ交換の仕組みやプラットフォームを確立するため、業界内および業界横断の多数のコンソーシアムに積極的に参加しています。正確な情報があってこそ、効果的な行動を取ることができるからです。

―マーティン・ブルーダーミュラー博士、BASF SE取締役会会長

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