栄養、衛生、抗生物質とともに、ワクチン接種は公衆衛生を支える4つの大きな柱の一つであり、今日、私たちが当たり前のように期待する長寿をもたらしてきました。しかし、ワクチン接種での制御に成功しておらず、感染を避ける方法についての助言、また感染した場合の限定的な治療以外には、制御する手段がない感染症もあります。
後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすHIVは、その一例です。AIDSは、治療しなければ今なおほぼ常に致死的です。抗レトロウイルス薬による治療はより大きな成果を上げていますが、最良のワクチンである RV114でさえ、数年間にわたって部分的な予防効果を示すにとどまっています。これは、試験ワクチンが有効な抗体を生み出せなかったためでしょうか。それとも、そのような抗体を作ること自体が不可能で、ワクチン接種は実行可能な方法ではないのでしょうか。
最近 発表された論文 は、これまでの研究データを確認し、さらに発展させたもので、そうではないことを示しています。原理的には、HIVに対するワクチン接種は可能です。
抗体を見つける
これまでの研究から、HIV感染中には幅広い種類のHIVウイルスを中和できる抗体が生成されるものの、感染が進行するにつれて失われることが分かっています。しかし、これらの抗体は分離でき、HIV感染の初期に免疫細胞から関連遺伝子を得て分子クローニングすることで複製できます。
これらの抗体は、比較的少数のグループに分けられます。ウイルスが細胞に侵入するのを可能にする部分を認識する抗体、侵入過程そのものを阻止する抗体、そしてウイルスと、感染しようとしている細胞との最初の接触を阻止する抗体です。
この最後のグループに属する抗体の一つが3BNC117です。500種類を超える抗体のスクリーニングから最初に分離され、試験したウイルスサンプルの80%超を中和できるこの抗体は、本研究でHIV感染者17人を対象に、 受動免疫療法と呼ばれる方法による治療に用いられました。3BNC117は理想的なワクチンによって生成される可能性のあるタイプの抗体を代表するものであり、この治療は、このような抗体が実際の使用環境でHIVに効果を発揮するかどうかを試すものです。
小さじ半分
3BNC117を異なる用量で点滴した後、患者の免疫系の機能とウイルス量を、複数の基準に基づいて評価しました。点滴によって有害反応が起きないか、血漿中を循環していることが確認できるか、HIVに対する活性が保たれるかを調べました。また、用量に関連した副作用があるか、ウイルスが抗体に対抗するよう進化した証拠があるかも検討しました。
結果は非常に明確でした。最高用量の30mg/kg(平均的な成人で抗体約小さじ半分に相当)では、点滴は概ね良好に忍容され、投与後しばらくの間、患者の血流中に抗体が確認されました。その量は約10日ごとに半減しました。
血液中で、抗体はそれまで実験室や動物モデルの実験でしか確認されていなかった作用を示しました。HIVを中和し、治療後の1カ月間、患者の体内を循環するウイルス量を8倍から300倍減少させたのです。治療を受けた患者のうち、抗体による中和を免れたウイルス変異株が出現した人もいましたが、そうでない人もいました。このことは、ウイルスがこの治療に抵抗する能力には限界がある可能性を示しています。
留意点
総じて、治療の結果は非常に有望であり、HIVに対する受動免疫療法という構想を、実験室でのアイデアから医薬品となり得るものへと進展させました。とはいえ、当然ながら留意点もあります。3BNC117の低用量では目立った効果が見られず、この高価な分子を大量に必要とすることを意味します。ウイルス変異株が出現したのは一部の患者だけでしたが、点滴を定期的に行った場合も同じ結果になるかは明らかではありません。また、3BNC117で中和されなかったウイルスサンプルが20%あったという問題も残っています。こうしたウイルス変異株に感染した患者は、現時点では治療の恩恵を受けられません。
それでも、これは間違いなく胸躍るニュースです。本研究は、受動免疫療法が抗レトロウイルス薬療法に加わり、活動性HIV感染と闘う手段となったことを示しています。
将来的には、薬物療法と抗体療法を組み合わせたり、抗レトロウイルス薬への耐性を獲得した患者を救うために抗体を用いたりすることが考えられます。抗体の作用機序は、現在利用できるHIV阻害薬とは大きく異なるため、両者を併用すれば効果が高まる可能性があります。
ワクチンは依然として理想的な解決策です。本研究はすでに感染している人を対象に実施されましたが、この実験は、3BNC117型の抗体を誘導するワクチンが広く予防効果をもたらす可能性を示唆しています。
HIVの真の治癒には懐疑的ですが、利用できる制御手段は増え続けており、それに伴い、感染者の生活の質も向上しています。このNature誌の研究データは、HIVを段階的に締めつける取り組みにおいて、結紮糸がさらに一段きつく締められたことを示しています。
この記事は当初、 The Conversationに掲載されました。 元の記事をお読みください。 。掲載されたことは、世界経済フォーラムがその見解を支持することを意味しません。
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著者:Ian Jonesは、レディング大学のウイルス学教授です。
画像:Christian LaValleeが、保健保護庁でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査用の溶液を調製している。REUTERS/Suzanne Plunkett。

