コンシャス・テクノロジーの時代は、二つの巨大な技術トレンドが収束するなかで到来しつつあります。私たちの構築環境は、意識を持つかのように思えるほど高度な知能を備え、人間はテクノロジーと深く一体化してサイボーグになっていきます。農業から産業、インターネットに至るまで、人類史上のあらゆる革命と同様に、コンシャス・テクノロジーの到来は良い影響も悪い影響ももたらすでしょう。コンシャス・テクノロジーの影響を形づくる時間がまだあるうちに、私たちが望む未来について深く賢明に考えることができるでしょうか。
人間の生物学的な身体がテクノロジーと一体化するにつれ、人間はサイボーグになっていきます。 私たちはすでにテクノロジーを極小化し、身体の内外に取り入れています。今、コンピューターに新しいハードウェアやソフトウェアを導入するように、今後数十年のうちに生理的・認知的能力を拡張するでしょう。これにより、天才レベルの能力を利用できるようになり、脳を情報ネットワークや人工知能ネットワークに直接つなげることが可能になります。
私たちの構築環境には、より多くの人工知能が組み込まれるでしょう。 モノのインターネットによって、物体にチップやセンサーを組み込み、意識があるかのような印象を与えています。たとえば、音声指示で自宅の暖房、照明、音楽を操作する場合がそうです。ますます知能化する環境が、サイボーグとしての未来とつながるにつれ、私たちは意識とテクノロジーが連続する状態を経験するでしょう。人間と機械がより密接に結びつくにつれて、両者の境界は曖昧になります。
コンシャス・テクノロジーは、生命に関する根本的な問いと向き合うことを私たちに迫ります。 あらゆる時代や文化には、意識や人生の意味に関心を寄せる神秘主義者と、未来を改善するテクノロジーの開発に関心を寄せるテクノクラートが存在してきました。すべての文化にその両方が混在していますが、それぞれの視点を代表する人々は互いに孤立し、偏見を抱きがちです。コンシャス・テクノロジー時代の質を高めるには、神秘主義者の姿勢とテクノクラートのアプローチを融合させるべきです。
たとえば、都市を電力、水、住居、交通、収入を提供する機械と考えることもできますし、人間の精神が進化し、私たちの意識を高揚させる集合体と考えることもできます。どちらも必要です。テクノクラート的な管理がなければ都市の物理的インフラは機能しませんし、精神的な要素がなければ、都市は暮らすには退屈な場所となるでしょう。音楽家が、意識が音楽や楽器と一体化して素晴らしい演奏を生み出す感覚を覚えたと語るように、都市、あるいは文明全体の未来の「演奏」を、テクノロジーと意識の連続性を総合的に統合する体験として想像することができます。
歴史が教えるのは、文明が一体性を保つには、宗教的な神話であれ、国家の起源や運命に関する物語であれ、ある種の「認識をつなぐ接着剤」が必要だということです。意識とテクノロジーのフィードバック・ループが、より啓発された文明へと向かうという考えは、世界の多様な文化を調和させ、新たなグローバル文明へとまとめる認識の接着剤となり得ます。
コンシャス・テクノロジー文明への道には、深刻な危険が潜んでいます。 ある時点で、開発が非常に急速に進み始める可能性があります。人工知能が、世界規模のセンサーネットワークからのフィードバックを基に自らのコードを書き換えられるようになると、その知能は刻々と向上し得ます。人工知能は、良い方向にも破壊的な方向にも、私たちの制御を超えて進化する可能性があります。人工知能が将来どのように進化し得るかのシナリオを探ることで、どのような新しいソフトウェアや能力を創り出すかについて、今、賢明な決定を下せるでしょうか。
認知能力を高めるテクノロジーが発展すれば、能力を拡張された天才であふれる世界になるでしょう。新たな知覚的、技術的、人工的な生物学的能力を使える一個人が、大量破壊兵器を製造し、配備できる可能性があります。この脅威はSIMAD、すなわち「Single Individual MAssively Destructive(一個人による大規模破壊)」として知られています。国家や集団の大量破壊能力を監視し、防止する仕組みは、完璧ではないもののすでに存在します。SIMADの脅威を防ぐには、どのような仕組みが必要でしょうか。
人間の脳を情報ネットワークや人工知能ネットワークに直接つなぐと、心がハッキングされ、操られる可能性があるのかという問いが生じます。情報戦や認識戦の可能性、そしてそれが広範なパラノイアを引き起こす可能性を、どうすれば最小限に抑えられるでしょうか。
自動化の加速により、今日の仕事の多くが不要になるでしょう。自動運転車によって、タクシー、バス、トラックの運転手が必要なくなる可能性があります。介護ロボットは、看護師や介護職員の多くの業務を担うようになるかもしれません。人工知能によって、法律や研究などの専門職で人間が不要になる可能性もあります。コンシャス・テクノロジーは、置き換える仕事より多くの仕事を生み出すでしょうか。それとも、大規模な構造的失業は避けられず、新たな経済や労働の概念を生み出す必要があるのでしょうか。
先を見越して十分に計画を立てれば、コンシャス・テクノロジー文明は、現在の私たちの想像を超えるほど優れたものになり得ます。 集合知システムによってガバナンスは大幅に改善され、犯罪の予防や検知が容易になり、ニーズと資源をより効率的に対応させることができ、自己実現の機会が豊富に生まれる、といったことが考えられます。しかし、今日のうちにコンシャス・テクノロジー時代の可能性を十分に検討し、私たちが望む未来の文明を実現するために、その進化を形づくることが賢明でしょう。
この記事は、2015年年次総会に向けた世界経済フォーラムのグローバル戦略的先見コミュニティによる、個別の見解の一つです。さらに読むには、 コレクション全文にアクセスしてください。
著者:ジェローム・グレンは、世界を代表するジェネラル・フューチャリストの一人であり、The Millennium ProjectのCEOです。

