新技術は世界中の産業に変革をもたらしてきました。そして今、電力業界は新たな時代の幕開けを迎えようとしています。
多くの発電所や電力インフラは、ずっと昔に建設されたものです。今日の世界のペースに対応するには、近代化が必要です。こうした変化が起きているのが「グリッドエッジ」です。
本日発表された世界経済フォーラムの新たな報告書によると、『電力の未来:グリッドエッジを変革する新技術』イノベーションにより、今後10年間で電力業界に2.4兆ドルの価値がもたらされます。電力のこうした変革は、業界だけでなく、顧客や環境にも恩恵をもたらします。
グリッドエッジとは何か?
この言葉は、電力網の外側に登場した、さまざまな接続型技術をまとめて指します。分散型蓄電や分散型発電(小規模な電源や蓄電設備を集約して電力を供給するもの)などの技術もあれば、スマートメーター、スマート家電、電気自動車など家庭で使われるものもあります。これらは普及し、私たちがエネルギー供給と関わる方法を変えていくでしょう。
数兆ドルに上る価値はどこから生まれるのでしょうか。報告書によれば、新たな雇用の創出、炭素排出量の削減(システム全体の効率向上によるもの)、資本配分の最適化、顧客向けの新サービスがその源となります。
より広い視点で見ると、業界の変化を促すトレンドは3つあります。
1. 電化とは、トラックや家庭の暖房など、より多くのものが電力で動くようになることです。再生可能エネルギー源の利用可能性が高まることで、電化は化石燃料への依存を減らします。また、多くの場合、エネルギー効率も高まります。
OECD市場では、電化の最も有望な機会は、輸送、商業用途、住宅の暖房・冷房など、汚染排出量が特に多い分野にあります。
私たちは何十年もの間、大規模な発電所と送電網に頼ってエネルギーを供給してきましたが、その状況は大きく変わろうとしています。
2. 分散化は、電力供給と蓄電を主幹の電力網から切り離し、必要とされる場所の近くに移すことです。送電中のエネルギー損失を減らし、炭素排出量を抑えるなど、さまざまな利点があります。利用できる電源が増えることで供給の安定性が高まり、停電も減少します。また、分散化によって、需要がピークに達する時間帯や料金が高い時間帯のエネルギー使用を制御できます。
3. デジタル化とは、この分野でインターネットの利用が広がることです。たとえば、エネルギーの使用量を正確に測るスマートメーターは、デジタル化された電力網に接続されます。電力網はその情報を処理・活用し、効率を最大化できるようになります。
Uber効果
つまり、電力業界で起きているのは「Uber化」です。ライドシェア企業が交通業界に変革をもたらしたように、グリッドエッジ技術も電力インフラに同様の変化を起こす可能性があります。Uberと同じく、顧客が中心的な役割を担うようになります。
顧客は自ら電力を生産・蓄電し、料金の安い時間帯に使ったり、電力網に売り戻したりできるようになります。分散型のピアツーピア取引も可能になり、収入源となる可能性もあります。一方、需要の柔軟性は、顧客の請求額を最大40%削減し、ピーク需要を抑え、消費を料金の安いオフピーク時間帯に移すことで、顧客と電力網の双方に価値をもたらします。
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選択肢の拡大と効率の向上
グリッドエッジ技術は普及曲線の転換点にあり、業界と規制当局は、デジタル接続された分散型リソースに備える必要があります。報告書によると、カリフォルニア州、ニューヨーク州、韓国、英国はすでにこうした変化を主導しています。この変革は避けられず、現状維持という選択肢はありません。
「グリッドエッジ技術の導入を効果的に加速するには、官民双方の貢献が必要です。どちらか一方だけでは実現できません」と報告書は結論づけています。
「グリッドエッジ技術は、電力業界に刺激的な変革をもたらす可能性を秘めています。顧客の選択肢を増やし、効率を高め、完全かつより効率的な脱炭素化を実現し、バリューチェーン全体の関係者にとって経済性を向上させます。本報告書の提言に従い、政策立案者、規制当局、民間企業が協力すれば、こうした技術の導入と、それが世界の電力市場にもたらす前向きな変化を加速できます。」



