パーソナル・ゲノム・プロジェクトから私たちは何を学んだのか?

パーソナル・ゲノム・プロジェクトは私たちに何を教えたか?
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2015年は、 パーソナル・ゲノム・プロジェクト(PGP)の立ち上げから10周年にあたり、この節目はいくつかの理由から注目に値する。PGPは、ゲノム全体のDNA情報に加え、医療歴、生体試料、さらには顔画像などの追加情報を公に共有することに同意した人々を大規模に集めた研究としては、初の試みであった。その試みは驚くべき成功を収めている。しかし10年前には、創設者でゲノム研究の先見者であるジョージ・チャーチ(George Church)が勝ち目のない賭けに出ていると考える同業者も多かった。自身のゲノム配列と医療データを世界に公開するほど無謀な人が果たしているのか、また、仮にそうした人がいたとして、その分野にどのような利益をもたらすのか、と彼らは疑問を抱いていた。

それから10年、PGPに異を唱える人を見つけるのは難しい。プロジェクトは、チャーチが当初目指した10万人の参加者のうち、ごく一部しか解析できていないものの、そこから得られるデータは、世界中のゲノム科学者が利用する最も重要な資源の一つとなった。PGPの参加者は非常に広範な同意書に署名しており、データの再利用を認めるとともに、事後研究のためにほぼどこにいる科学者からも連絡を受けることに同意している。そのため、このデータは、疾患研究の対照群を必要とする研究者や、新たな健康関連アルゴリズムを検証するための実世界の試験データを必要とする研究者にとって、ゴールドスタンダードとなっている。

PGPはまた、消費者が自身のゲノムデータについて知りたがっており、進んでそれを共有する意思があることを示す、これまでで最良の実例の一つともなった。このプロジェクトは、23andMeやNavigenicsのような個人向け検査企業が登場するよりずっと前に始まり、ある意味で消費者向け遺伝学の分野を切り開く一助となった。PGPに参加を申し込んだのは、自分自身で塩基配列決定技術を試したいゲノム研究者だけではなかった(もちろんそうした人もいたが)。慈善家や投資家、さらには世界で最も多くの精子提供を行った人物の一人も含まれていた。こうした人々の参加によって、ゲノム分野に関わることは格好良いことだと示された。さらに重要なのは、個人データを公開することへの従来型の懸念が、必ずしも普遍的なものではないことを証明した点である。より良い科学と将来の病気の治療につながると考えれば、自身のデータを公開する意思のある人は多い。

PGPは、参加を希望するすべての人のゲノムを解析するために必要な資金をほとんど得られていないにもかかわらず、他の人々が同様のプロジェクトを立ち上げるきっかけとなってきたという、目覚ましい実績を持つ。現在、カナダ、英国、オーストリアには、パーソナル・ゲノム・プロジェクトのネットワークが存在しており、これらの国の消費者にゲノム学の恩恵を知ってもらう貴重な機会となっている。今後、こうしたプロジェクトはさらに増える見込みである。

PGPは最近、新たな取り組みとして Open Humans イニシアチブを立ち上げた。Open Humansは、親組織であるPGPと同じデータ共有の理念を掲げつつ、人々が23andMeなどの他の事業者を通じて収集したゲノムおよびマイクロバイオーム(ヒトの腸内の生態系)のデータを共有できるようにすることで、その範囲を大きく広げている。PGP自体はボランティアのゲノムのみを解析するため、そのデータベースの規模は、受け入れて検査できる人数によって必然的に制限される。Open Humansは、消費者が複数の事業者からこうしたデータを入手しつつあり、それらを一つにまとめれば極めて価値の高いゲノム資源となり得るという点を踏まえ、この課題の克服を後押ししている。消費者は、自身のデータをOpen Humansにアップロードして研究者と共有し、自身のゲノム情報を最大限に活用することができる。

2005年にチャーチが初めて執筆し、 PGPの立ち上げを告知する論説を発表した当時、それが2年どころか10年も続くと考えた人はほとんどいなかった。PGPが今なお稼働しているだけでなく、その過程でゲノム研究や消費者向けゲノム分野の形成に極めて重要な役割を果たしてきたことは、プロジェクトを担う献身的なチームと、革新的な新しい研究に進んで参加した勇敢な人々の尽力によるものであり、賛辞に値する。すでに科学者らは、PGPのデータを使い、他の集団における病気の遺伝的要因の特定に役立てている。今後は、このデータに加え、Open Humansや、PGPに触発された新たなプロジェクトのデータが、DNAの変異と病気との関連を確立する上で重要な役割を果たすだろう。こうした重要な知見は、より効果的で、より個別化された医療への道を開くことになる。

本稿の掲載は、世界経済フォーラムによる見解の支持を意味するものではありません。

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執筆者:Meredith Salisbury は、ライフサイエンス分野のコミュニケーション企業Bioscribeの編集ディレクターであり、シニアコンサルタントでもある。

画像:血液検体は、イングランド北部のマンチェスター近郊にあるBiobankで処理されている。REUTERS/Phil Noble.

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