米国に4,600店以上を展開するウォルマート。平均床面積が17万平方フィートのスーパーセンター、10万4,000平方フィートのディスカウントストア、4万2,000平方フィートのネイバーフッド・マーケット、13万4,000平方フィートのサムズクラブを合わせると、清掃が必要な売り場の通路は膨大な数に上る。
そのためか、米国最大の民間雇用主である同社は、アーカンソー州ベントンビルの本社近くにある5店舗で、夜間シフト中に自律走行式の床洗浄機を試験運用している。LinkedInの編集長、チップ・カッターの投稿によると。EMMAと名付けられたこの機械は、まるでザンボニーとルンバを掛け合わせたような姿で、店内を走り回る。
この機械はインターナショナル・クリーニング・イクイップメントという会社が製造しており、通常は人が運転する。しかし、ロボット企業のブレイン・コーポレーションによる改造後は、座席に人はいない。自動運転車と同じように、EMMAはカメラ、センサー、LiDAR、そしてAIを使って経路を判断し、障害物を避ける。ただし、道路を走り、人や他の車を避けるのではなく、小売店の通路を進み、ほかの従業員を避けて動く。
ウォルマートの広報担当者はクオーツに、今回の試験はごく初期の「概念実証」段階にあり、近い将来に広く導入する予定はないと語った。しかし、カッターによると、この動きはすでに一部従業員の不安を招いている。小売大手の同社は近年、従業員の賃金引き上げや休暇・病気休暇制度の刷新に向けて段階的な措置を講じてきた一方で、自動化の拡大により多くの雇用を削減してきた。たとえば昨年、店舗の経理・請求処理の職務を約7,000人分削減した。この職務は、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたように(有料記事)、勤続年数の長い従業員が担う、人気が高く高給の仕事が大半だった。
広報担当者によると、ウォルマートは従業員が不満を表明していることを把握していない。同社によれば、自律走行式の床洗浄機を直接扱う保守担当者は、ロボット工学に携わる機会を得たことに意欲を示している。広報担当者は、担当者たちはEMMAのプログラミングを習得し、日々の監視、清掃、保守にも携わっていると述べ、このロボットは人の支援なしに完全に稼働することはできないと強調した。
ウォルマートが最近取ったほかの措置からも、人間の雇用機会が減るという懸念に同社が比較的敏感であることがうかがえる。10月、同社は棚スキャンロボットを米国内50店舗に導入した。在庫切れや誤った場所に置かれた商品の補充を担う従業員を置き換えるのではなく、支援するためだ。また、機械を増やすにつれて、自動化で職を失う従業員には新たな役割を見つけるとしている。
それでも、この小売大手が将来、現在米国で雇用する140万人全員を必要としなくなる状況は想像に難くない。そうなれば、米国の雇用に大きな打撃となる。140万人は全労働人口の1%に当たる。


