このAIは、脳震盪から何年も経った後でも検出できる

Ice Hockey - 2017 IIHF World Championship - Group A - Slovakia v USA - Cologne, Germany - 14/5/2017 - Players of Slovakia and the USA scuffle during their match. REUTERS/Martin Rose/Pool - RTX35TDB
AI software has been used to "learn" the difference between the brains of healthy versus concussed athletes.Image: REUTERS/Martin Rose/Pool
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新たな手法では人工知能を用いて、外傷から何年も経過した後に、脳震盪による脳損傷を正確に検出する。

「米国だけで年間160万~380万件の脳震盪が起きており、この負傷の発生率は憂慮すべきものです……」

頭部外傷の短期的な影響は深刻になり得るが、長期的な影響も患者にとって同じくらいつらいものとなる。症状は脳震盪から何年も経った後まで続くことがある。問題は、症状が脳震盪によるものなのか、別の神経疾患や通常の加齢過程など他の要因によるものなのか、判断が難しい場合が多いことだ。

脳震盪による脳損傷が発生から何年も経った後にも存在することを証明する唯一の方法は、死後検査だった。しかし、生存している患者の脳震盪を診断する手段は、これまで見つかっていなかった。

人工知能の活用

研究チームは、アイスホッケーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツをしていた、51~75歳の元大学選手を集めた。その中から、競技生活中に脳震盪を経験したと報告した選手15人のグループと、脳震盪を経験していない選手15人の対照群を設けた。

研究者らは両グループに対し、神経心理学的検査、遺伝子型判定、構造的脳画像検査、磁気共鳴分光法、拡散強調画像法など、一連の検査を実施した。次にデータを統合し、人工知能ソフトウェアを使うコンピューターに入力して、健康な選手の脳と、過去に脳震盪を経験した選手の脳の違いを「学習」させた。

脳震盪を経験した人では、脳の複数の領域間にある白質の結合に異常が見られた。これは、変性と、損傷を補おうとする脳の働きの両方を反映している可能性がある。

このデータを用いて、コンピューターは最大90%の精度で脳震盪を検出できた。

さらに十分な検証と改良が進めば、この研究成果は現在および今後の脳震盪訴訟に影響を及ぼす可能性がある。

たとえば、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は、選手を脳震盪から守るために十分な対策を講じなかったと主張する元選手らから、10年にわたる訴訟を起こされた。この訴訟は、選手時代に受けた脳震盪が、経験した神経症状の原因かどうかを客観的に判断する方法がなかったため、複雑化した。

ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)も現在、元選手らによる同様の訴訟に直面している。

より大規模なサンプルが必要

研究成果をまとめた論文の筆頭著者であるセバスチャン・トレンブレイは、脳震盪を効果的に診断する手段として確立する前に、さまざまな磁気共鳴画像(MRI)装置を用い、より大規模なサンプルでこの特徴を検証する必要があると述べている。

この特徴が確立されれば、患者の症状の原因を医師が正確に把握できるようになり、脳震盪の治療にも役立つ可能性がある。

こうしたツールの必要性はかつてないほど高まっている。連邦政府によると、若年のフットボール、サッカー、ホッケー選手の報告された脳震盪件数は、2004年から2014年の間に40%増加した。

「米国だけで年間160万~380万件の脳震盪が起きており、この負傷の発生率は憂慮すべきものです」と、マギル大学モントリオール神経学研究所・病院(The Neuro)の博士研究員、トレンブレイは述べる。

「脳震盪を診断する客観的なツールや技術がまだ存在せず、科学的に妥当な治療法の選択肢も著しく不足しているのは容認できません。私たちの研究を通じて、コンタクトスポーツを引退した後に神経系の問題を抱える多くの元選手を支援したいと考えています」とトレンブレイは述べる。

「加齢に関連する他の神経疾患を持つ患者群との体系的な比較や、新たな脳震盪バイオマーカーの特定を含む今後の研究は、加齢した脳に対する脳震盪の遠隔的影響を示す、開発済みのコンピューター支援モデルの改良に役立つでしょう」と、モントリオール大学の研究者で論文の責任著者であるルイ・ド・ボーモンは述べる。

この研究結果は、European Journal of Neuroscienceに掲載された。論文のその他の著者は、モントリオール大学、マギル大学モントリオール神経学研究所・病院(The Neuro)、およびラドマー神経情報学センターに所属する。本研究はカナダ保健研究機構(CIHR)の助成を受けた。

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