ベストセラー作家、ハーバード大学の講師、基調講演者、ブランドアドバイザーとして、カーマイン・ガロはキャリアを通じてコミュニケーションスキルに取り組んできました。古代から伝わる説得の技が現代のビジネス界で失われていると考え、その復活を通じて働く人々を支援したいと考えています。最新刊のタイトルは『Five Stars: The Communication Secrets to Get From Good to Great(ファイブ・スターズ:優れたコミュニケーションで「良い」を「最高」に変える秘訣)』です。
彼はSiriusXMのラジオ番組「Knowledge@Wharton」に出演し、優れたコミュニケーションをソフトスキルとは考えない理由を語りました。(このページ上部でポッドキャストをお聴きください。)
以下は、対談を編集した書き起こしです。
Knowledge@Wharton:ここ数年、優れたコミュニケーションスキルの重要性が、なぜこれほど注目されるようになったのでしょうか。
カーマイン・ガロ:歴史を通じて、優れた説得者は人々を魅了してきました。しかし、歴史上のどの時代にも、今日ほど対人コミュニケーションスキルが重要だったことはありません。これは少し直感に反することです。私はそこに関心を持ち、この本を書きました。今日では、世界のどこにいても、自分の考えをよりうまく表現できる人は、人類史上かつてないほど急激に大きな富の増加を目にする可能性があるからです。
農耕時代には、隣人より少し上手に畑を耕す農民が、著しく多くの富を得ることはできませんでした。産業時代にも、隣の人より速く部品を組み立てる工場労働者が、著しく多くの富を得ることはありませんでした。しかし、この本のために話を聞いた歴史家、経済学者、起業家、ベンチャーキャピタリストは、皆同じテーマを語りました。人工知能、グローバル化、自動化の時代に、私たちが生み出すテクノロジーからも、同僚からも自分を際立たせる唯一のスキルは、古代から伝わる説得の技を身につけることです。言葉と考えを組み合わせ、人々の想像力に火をつけるのです。
「歴史上のどの時代にも、今日ほど対人コミュニケーションスキルが重要だったことはありません。」
Knowledge@Wharton:今では電話や手紙よりも、テキストメッセージやメールでやり取りする人が大勢います。テクノロジーに頼るあまり、コミュニケーションを通じて人を説得する能力を失ってしまったのでしょうか。
ガロ:私たちが互いにコミュニケーションを取るためのツールは変わりました。PowerPointのようなデジタルプレゼンテーションツールも含めて考えてみましょう。何千年も前のように、洞窟の壁に絵を描いているわけではありません。しかし興味深いのは、私が語る競争優位性にも関わることですが、古代から変わらない脳、原始的な脳は、今も変化していないということです。私たちが好むコミュニケーションの方法、物語や感情、共感を通して情報を処理する方法は、時の始まりから変わっていません。だから私は「古代から伝わる説得の技を身につける」ことを競争力につながるスキルと呼ぶのです。それは古くからある技であり、ビジネスの世界に取り戻せばよいのです。
Knowledge@Wharton:企業はこのことをどの程度認識し、採用プロセスに反映させていると思いますか。
ガロ:皆さんが思う以上です。これも、私がこの本を書くきっかけになったことです。私は何のきっかけもなく本を書くわけではありません。世の中の動きを感じ取っています。経営幹部やCEOと話し、業界で何が起きているのかを尋ねます。たとえば、世界的な大手ビジネスソフトウェア企業SAPは、昨年、新任のマーケティングマネージャーを採用しましたが、その肩書は「チーフ・ストーリーテラー」でした。ストーリーテリングの起源は、2,000年前のアリストテレスにさかのぼります。これは新しいことではありません。しかし企業は、技術用語を並べ、一般の人には理解しにくいほど複雑なビジネスソフトウェアについて説明するだけでは、競争できないと気づいています。物語という手段を使い、製品をより効果的に販売しているのです。
Googleでも同じことが分かりました。Googleの幹部の一人であり、世界を代表するウェブ分析の専門家でもあるアビナッシュ・カウシクにインタビューしました。彼はこう言いました。「カーマイン、世界中のあらゆるデータを手に入れることはできる。誰よりも優れたデータを持つこともできる。しかし、そのデータを顧客に伝え、それが顧客の世界にどう当てはまり、顧客のビジネスをどう改善するのかを示せなければ、私たちは失敗したことになる。そのデータはすべて、会社にとって何の意味もなくなる。」
だから彼をはじめとするGoogleの人々は、社内文化全体を変革し、より優れたストーリーテラー、コミュニケーター、説得者となり、明快で分かりやすく記憶に残る形で情報を伝えようとしているのです。しかし、その方法を見れば、新しいスキルを使っているわけではありません。何千年も前から受け継がれてきたスキルを使っているのです。
Knowledge@Wharton:本の中で、ヴァージンのCEO、リチャード・ブランソンがストーリーテリングを好んでいると書かれています。彼はそれをビジネスの重要な要素だと考えています。
ガロ:彼は、ストーリーテリングは変革を促すために使えると言いました。そして、「今日、優れたストーリーテラーでなければ、偉大なリーダーにはなれないと思う」とも言いました。リチャード・ブランソンと彼のチームは、どのようにストーリーテリングを活用しているのでしょうか。何千年も前と同じ方法です。彼はネッカー島にある自宅のたき火を囲んでチームを集めます。「当社の最高のアイデアは、たき火を囲んで生まれた」と彼は言いました。
「感情を意味するパトスなしに、相手の考えを変えさせることはできません。」
この対話は私にとって重要でした。私たちはそれほど変わっていないと気づいたからです。人間の脳は変わっていません。脳がどのように情報を処理し、聞き手がどのような形で情報を受け取りたいのかを理解すればするほど、そこに自分を際立たせる競争優位性が生まれると私は考えています。
Knowledge@Wharton:要点と事実だけを知りたいと言う人についてはどうでしょうか。
ガロ:だから私は、アリストテレスの説得の三要素の公式に重点を置いています。アリストテレスが示したこの公式は、建国の父たちから現代の優れたビジネスリーダー、エイブラハム・リンカーン、ジョン・F・ケネディ、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアまで、あらゆる説得者が使っています。優れた演説やプレゼンテーションを見れば、どれも三要素の公式に当てはまります。
相手の考えを変えるには、三つのことが必要です。まずエトス、つまり信頼性と人格です。次に、アリストテレスがロゴスと呼んだ、議論の論理的な構成です。ビジネスでは、主張を裏付けるデータや証拠を意味します。しかし肝心なのは、感情を意味するパトスなしに相手の考えを変えさせることはできないという点です。株式市場から投資先、投票行動に至るまで、人間の性質に関わるあらゆることは、集団として、また個人の間で互いに語り合う感情に訴える物語に基づいています。
残る二つの要素も必要です。感情だけに訴えかけるわけにはいきません。それで通用するのは限られた時間だけでしょう。成果を裏付ける論理的な証拠も、自分自身の信頼性もなければ、何百万ドル規模のプロジェクトを売り込むことはできません。つまり、何世代にもわたって受け継がれてきた三要素の公式なのです。箇条書きや事実、円グラフに載せた情報を伝えることばかりに気を取られ、人は感情によって心を動かされるということを見失っています。
私はコミュニケーションスキルに関する本を何冊も書いてきました。数冊前の本を書く際、ワシントン大学の分子生物学者ジョン・メディナにインタビューしました。その話は私の目を開かせました。彼は「脳は退屈なことに注意を向けない」と言いました。TEDトークが好まれるのは、視覚的なプレゼンテーションがあるからです。テキストや箇条書きだけではありません。実際、TEDのステージでは箇条書きは禁止されています。物語やストーリー、印象的なビジュアルを軸に構成されています。それには創造性が必要です。PowerPointのスライドを開き、箇条書きとテキストを埋めるだけなら簡単です。私たちが話しているのは、古くからあるものです。私たちのDNAの一部であり、自然に行うことです。ただし、そこには創造性も必要です。
Knowledge@Wharton:より優れたコミュニケーションスキルが求められることで、企業にはどのような影響が出ていますか。
ガロ:私はこれを「コミュニケーションスキルのギャップ」と呼んでいます。私が引用する数多くの調査の一つに、LinkedInが世界各地の採用担当者や採用マネージャーを対象に実施したものがあります。94%が、経験は優れていても口頭でのコミュニケーション能力が低い人より、経験は十分で卓越したコミュニケーションスキルを持つ人のほうが、リーダー職に昇進する可能性が高いと答えました。
ミレニアル世代の人々であれ、中堅のキャリアを持つ専門職やリーダーであれ、同僚より高い地位に昇るだけでなく、より頻繁に昇進し、はるかに速く出世する人々がいることを示す、確かな証拠もあります。製品の販売、マーケティング、チームの巻き込みにも、より大きな成果を上げています。その違いは、ほとんどの場合、彼らがより優れたリーダーであることに行き着きます。それはどういう意味でしょうか。彼らはより説得力があり、コミュニケーション能力に優れています。人々と、より深く力強いレベルでつながることができるのです。
Knowledge@Wharton:ネイビーシールズにも話を聞かれましたが、そこではまったく異なるタイプのリーダーシップが求められます。優れたコミュニケーションスキルを実践することは、彼らの活動にどのように役立つのでしょうか。
「起業家やビジネスリーダーには、ビジョンで人々を鼓舞し、その実現に向かう道のりに人々を加わらせる力が必要です。」
ガロ:ネイビーシールズはリーダーを重視し、戦略的な任務や取り組みの背後にあるビジョンを、明確かつ簡潔に伝えられるリーダーを育てています。PowerPointレンジャーにすぎない人もいます。100枚のスライドを使ったPowerPointを見せられても、すべてがとても分かりにくく、複雑です。今日のビジネスの世界でよくあることと同じです。一方、評価され、際立ち、訓練を受けるリーダーには、自分のビジョンを視覚的に伝えることが求められます。そのため、より視覚的な形式でプレゼンテーションを行います。誰もが任務をすぐに理解できるよう、非常に明確に伝えなければなりません。そして簡潔に伝える必要もあります。これはネイビーシールズの文化における実際の訓練です。
ヘル・ウィークを乗り切るだけでは不十分です。身体的な要件を満たすだけでも足りません。チームの力を最大限に引き出すには、優れたコミュニケーション能力を持つリーダーでなければなりません。私はネイビーシールズだけでなく、特殊部隊や軍のいくつかの部門でも同じことを見てきました。NASAの宇宙飛行士にも当てはまります。今日、体力検査に合格するだけ、博士号を持つだけ、あるいはテストパイロットであるだけでは宇宙飛行士になれません。それらは資格です。先ほど話したエトスに当たります。しかし、少人数のグループで1年間滞在する宇宙ステーションで、文化やチームを越えてコミュニケーションを取り、協力できなければ、採用されません。1万8,000件の応募から採用される12人は、たいてい優れたコミュニケーション能力を持っています。
Knowledge@Wharton:ビジネスの話に戻ると、提供する製品やサービスにとってコミュニケーションがいかに重要かを、私たちは時に忘れてしまいます。
ガロ:だからこそ、際立つのは優れた説得者だという考えについて話すのです。Google、Airbnb、Uber、PayPalを支えた億万長者のベンチャーキャピタリストたちにインタビューしました。ある人はこう言いました。「優れた説得者は、不公平なほどの競争優位性を持っている。」アイデアを提案するとき、それはまだアイデアにすぎません。ですから、私たちが伝えていることの90%は、実現したいと願うことへの期待です。相手を自分たちのビジョンに引き込む必要があります。今日、起業家やビジネスリーダーにはこれまで以上に、ビジョンで人々を鼓舞し、その実現に向かう道のりに人々を加わらせる力が求められています。それが人々を際立たせるスキルです。
シリコンバレーのシードアクセラレーター、Y Combinatorのパートナーの一人であるジェフ・ラルストンと話していたとき、彼は私の誤りを正しました。彼は私、つまりコミュニケーションを専門とする私の誤りを正したのです。私は「ジェフ、今話しているのはソフトスキルですよね」と言いました。すると彼は話を遮り、「何を言っているんですか」と尋ねました。私は「人前で話すことやコミュニケーションのことです。私たちはソフトスキルと呼んでいます」と答えました。彼は「あなたはソフトスキルだと考えるかもしれませんが、私は基礎的な能力だと考えています」と言いました。彼は真剣でした。だから私は、歴史上のどの時代にも、今日ほど対人コミュニケーションが重要だったことはないと言うのです。ソフトスキルと呼ぶのはやめましょう。人々を行動へと動かすために言葉と考えを組み合わせる説得の技は、今日のグローバルな環境におけるソフトスキルではありません。成功の基盤なのです。


