手頃で、安定的かつ より持続可能な 世界的なエネルギー供給を実現することは不可欠ですが、容易ではありません。
大規模プロジェクトの管理や過酷な環境での操業といった分野での経験を持つ石油・ガス産業は、この転換において極めて重要な役割を果たすでしょう。
アラムコの15億ドルのサステナビリティ・ファンドは、気候変動対策をもたらす可能性を持つ画期的な技術を対象とします。
エネルギー安全保障の問題と2022年のエネルギー価格の急騰は、エネルギー転換を成功させる道のりが平坦でも単純でもないことを示しました。手頃で、安定的かつより持続可能な 世界的なエネルギー供給を実現することは不可欠ですが、容易ではありません。
このエネルギーの「トリレンマ」への取り組みの成否は、結局のところ、既存のエネルギーシステムの炭素排出量を削減するとともに新たなシステムを開発するために、新技術を育成し活用する世界の能力にかかっています。2022年10月に発表されたアラムコの15億ドルのサステナビリティ・ファンドは、この両面で進展を支援することにより、このトリレンマの解決に一役買うことになります。
経験から学ぶ
誤解のないように申し上げると、石油・ガス産業はエネルギー転換において極めて重要な役割を果たすことが期待されています。従来の考え方ではしばしば見過ごされてきた同産業の専門知識や技能は、大規模で複雑なプロジェクトの管理や遠隔地・過酷な環境での操業といった分野における数十年の経験に基づいています。
資本は転換を形作る多くの要因の一つにすぎませんが、必要とされる投資の膨大な規模も見過ごすべきではありません。世界経済は従来型エネルギーの上に成り立っており、その転換には想像しがたいほど巨額の費用がかかるでしょう。しかし、勢いは高まりつつあります。ブルームバーグNEF(BNEF)のエネルギー転換投資動向レポートは、2022年の世界のエネルギー転換投資が1.11兆ドルに達したことを示し、取り組みの規模を物語っています。この取り組みにおける石油・ガス産業の貢献は過小評価されるべきではありません。レポートによれば、2022年の世界のエネルギー転換投資は1.11兆ドルに達しました。これは、現在進められている取り組みの規模を示しています。この取り組みにおける石油・ガス産業の貢献は過小評価されるべきではありません。
同産業は、解決策の先駆けとなり、必要とされる大規模なインフラを開発するための資本と技術的ノウハウも有しています。しかし、ネットゼロを達成するためには、どの単一の企業、国、産業であっても、たとえ十分な資源を持ち、野心的であったとしても、単独で気候変動の課題を解決することはできません。エネルギー転換の成功は、パートナーシップや協業から知識・技能・資源の共有に至るまで、集団的な努力によってのみ達成されるでしょう。
これらの取り組みの一例が、アラムコのベンチャーキャピタル部門であるアラムコ・ベンチャーズです。同社は初期段階のサステナビリティ関連ベンチャーに年間2億ドルを投資する計画です。当社の見解では、炭化水素は今後数十年にわたり世界のエネルギー供給において重要な構成要素であり続けるでしょう。それゆえ、その排出量を削減することが極めて重要なのです。したがって、サステナビリティ・ファンドは、炭素回収・貯留、デジタル技術革新、温室効果ガス排出削減ソリューション、エネルギー効率の改善といった分野に注力しています。
水素、アンモニア、合成燃料といった低炭素燃料への投資も対象とすることで、産業分野や大型輸送などの脱炭素化が困難な分野に対する潜在的なソリューションを前進させ、これらの代替手段を当社のグローバルな顧客にも提供できるようにしたいと考えています。
アラムコ・ベンチャーズのサステナビリティ・ファンドは、新技術の開発を重視しており、アラムコ自身の排出削減の取り組みを支援し、低炭素型の新たな事業の発展を促す可能性を持っています。同ファンドは過去10年間、新技術を先導する企業への投資を行っており、サステナビリティ分野だけで2.55億ドルの投資を含みます。
世界経済フォーラムはクリーンエネルギーへの転換に向けて何に取り組んでいるのでしょうか。
投資先企業には、再生可能エネルギーの間欠性への対応を目指して金属水素電池を開発している、カリフォルニアを拠点とする企業EnerVenueが含まれます。再生可能エネルギーの貯蔵方法を見つけることは、より広範な普及に不可欠であり、EnerVenueの製品は、従来型電池よりも生涯貯蔵コストを低く抑える可能性を提供し、より効率的で信頼性も高いものです。当社のもう一つの企業であるCarbon Cleanは、独自の溶剤を用いて、排ガス、バイオガス、埋立ガスの流れからCO2を低コストで除去しており、炭素回収の機会を拡大しています。
忍耐 は報われる
気候変動の影響への対応は喫緊の課題ですが、必要とされる技術ソリューションの多くはまだ黎明期にあります。技術を成功裏に展開することが鍵であり、その開発には「忍耐強い資本」と呼べるものが必要です。したがって、同産業は資金を提供するだけでなく、パイロット段階から大規模な運用に至るまで、技術を試験し完成させるためのプラットフォームも提供すべきです。
忍耐、そして投資先企業の種子段階から成長段階まで積極的に関与する戦略は、アラムコ・ベンチャーズのアプローチの特徴です。これまでの80件の投資のうち12件が10億ドル規模の企業価値を達成しており、これは当社の成功を示す確かな指標です。当社は、サステナビリティ・ファンドにおいても同様のアプローチを取る計画です。
投資の基準の一つは、対象企業がアラムコ自身の事業内で特定された差し迫った課題に対する潜在的なソリューションを提供することです。スタートアップの創意工夫と機動力を、確立された企業の専門知識と資源と組み合わせることで、真に持続的な影響をもたらすことができると当社は考えています。


