宇宙探査は、月、火星、そしてその先を目指す画期的なミッションが特徴の、変革期のただ中にあります。
官民の宇宙関連組織は、費用対効果の高い再使用型打ち上げ機や野心的なミッションによって、業界に変革をもたらしています。
将来世代の利益を守る方法で宇宙活動が行われるようにするには、どうすればよいでしょうか。
宇宙分野にとって、今は並外れて刺激的な時期です。また、月、火星、そしてその先を目指す画期的なミッションが特徴の、宇宙探査の変革期のただ中にあります。
政府と商業双方の関心が、技術と太陽系に関する理解の大きな進歩を後押ししています。こうした官民の宇宙関連組織は、費用対効果の高い再使用型打ち上げ機や野心的なミッションによって業界に変革をもたらし、宇宙へのアクセスを容易にするとともに、人類の地球外への歩みを加速させています。
宇宙探査は国際協力を促し、将来世代にひらめきを与えます。太陽系へと乗り出す宇宙探査ミッションは、かつてないほど増えています。
ここ数カ月で、月に向けて6つのミッションが打ち上げられました。インドと日本は、民間ミッションと並び、それぞれ4番目と5番目に月面への軟着陸に成功した国となりました。
中国は最近、月の「裏側」から史上初めてサンプルを持ち帰りました。さらに、政府と民間双方の資金援助を受け、2033年までに月および月周辺空間の探査ミッションが150件以上計画されています。
宇宙探査における持続可能性の課題
宇宙活動の急増は、現在と将来の世代のために天体を守るうえで対処すべき持続可能性の課題ももたらしています。直ちに行動を起こす必要があります。

深宇宙探査計画の主な目標は、月に持続可能な拠点を築き、有人火星探査の基盤を整えることです。主要なプロジェクトには、NASAのアルテミス計画や、中国とロシアが主導する国際月面研究ステーション(ILRS)があり、月探査を先導しています。
両陣営は、それぞれの探査計画を運営するための科学的目標と指針を公表しています。アルテミス計画は宇宙飛行士を月に再び送り込むことを目指しており、2025年の有人月周回飛行ミッション「アルテミス2」と、2026年の有人月面着陸「アルテミス3」が節目となります。
一方、ILRS構想は、複数の国との協力協定に支えられ、2030年以降に中国の宇宙飛行士とロシアの宇宙飛行士を月面に着陸させる計画です。これらの計画は世界規模で多様な関係者が参加するため、さまざまな技術分野にまたがる複雑なインフラ、惑星環境の責任ある管理、法的枠組みと協力体制に改めて重点を置く必要があります。
宇宙条約は、多国間の宇宙ガバナンスの基盤となっています。1967年に発効したこの条約は、宇宙空間の平和的利用と探査に関する国際協定であり、宇宙空間への核兵器の配備と、いずれの国によるものも含めた天体に対する主権の主張を禁じています。
1979年の月協定は、特に資源開発に関して、月における各国の活動を規律することを目的としています。しかし、17の締約国を拘束する国際法であるものの、今後数年間に宇宙資源活動に重点を置くミッションを主導する可能性が高い国々は、まだ批准していません。
2019年、国連宇宙空間平和利用委員会(UNCOPOUS)は、「宇宙活動の長期的持続可能性に関するガイドライン」を採択しました。このガイドラインは、政策、規制の枠組み、安全、国際協力について幅広い指針を示しています。
一方、NASAのアルテミス合意は、21世紀の民生宇宙探査と利用を導くために設けられた、法的拘束力のない一連の原則です。これまでにNASAと43カ国の宇宙機関が署名しています。
宇宙活動における持続可能性とは、環境に配慮し、経済的に実行可能で、社会的責任を果たす形で活動を行うことです。複数の国がUNCOPUOS宇宙資源作業部会への提出文書ですでに指摘しているように、重要な側面には、宇宙ごみの最小化、汚染の防止、資源を責任を持って管理するための技術の進歩が含まれます。
国際的な協力と安全の枠組みを確立することが不可欠であり、さらに、倫理的・文化的側面を深宇宙への進出に関連して考慮することも重要です。
多様な関係者を巻き込み、先住民族を含むあらゆる関係者の「声」に耳を傾け、社会の認識を高めることは、深宇宙探査における持続可能で倫理的な慣行を促進するうえで欠かせません。
宇宙ミッションとインフラの進化に伴い、資源利用を含む天体の責任ある管理を確保する規制の枠組みも進化させなければなりません。持続可能性への懸念の高まりを受け、宇宙機関、国際宇宙組織、専門家グループは、月および月周辺空間での責任ある活動と、効果的な宇宙探査ガバナンスに向けた指針や枠組みを策定するため、複数の取り組みを進めています。
UNCOPUOSは第67会期において、月面活動協議アクションチームの設置に合意しました。すべての加盟国に対し、その作業計画への貢献が呼びかけられました。
世界経済フォーラムの宇宙の未来に関するグローバル・フューチャー・カウンシルは、宇宙探査活動を規律し、倫理的・文化的・社会的課題にも十分に対処する包括的な持続可能性の枠組みが欠如している問題に、緊急に取り組む必要性を認識しています。
宇宙探査の関係者に向けた主な提言
1. 宇宙関連の包括的な環境データベースを構築する:宇宙活動に関連する環境影響を収集、分類し、体系的な評価と詳細な情報を提供する、集中型の包括的なデータベースを開発します。透明性を確保し、エビデンスに基づく意思決定を促進するため、このデータベースは、宇宙活動を行うすべての関係者、科学者、政策立案者、一般市民が利用できるようにします。データベースは、最新の研究成果とミッションデータを反映して定期的に更新します。
2. 世界の宇宙関係者の連携を図る:宇宙機関、民間企業、研究者、一般市民を含むすべての関係者を、宇宙活動が環境に与える影響についての議論に参加させます。各関係者の懸念やニーズに対処し、意思決定プロセスにも関与させることで、より包摂的で効果的なガバナンスの枠組みを構築します。
3. 有害な汚染について合意形成を進める:宇宙探査の文脈における「有害な汚染」を明確に定義し、分類する包括的な制度を開発します。これには、天体や宇宙環境に影響を及ぼす可能性のある生物的、物理的、化学的汚染が含まれます。合意形成には、国際宇宙機関、科学者、規制機関が協力し、汚染に関する基準と閾値を定める必要があります。
4. 科学研究を政策に反映させる:宇宙研究における最新の科学的発見や進歩を、宇宙探査に関する政策や規制に確実に反映させるための強固な仕組みを確立します。これにより、規制が入手可能な最良のエビデンスに基づき、新たな課題や機会に適応できるようになります。
5. 透明性、信頼醸成、説明責任を高める:データ、研究成果、ミッションの詳細へのオープンアクセスを推進し、宇宙探査と環境管理のあらゆる側面における透明性を提唱します。これにより、関係者や一般市民の信頼を築き、協力と説明責任を促進できます。
6. 規制の仕組みを調整する:複数の権限と管轄が重なり合う、多中心的なガバナンスの現実に対応します。宇宙探査の環境影響を管理するための国際協力と連携を促進する、柔軟で迅速な調整の仕組みを構築します。状況の変化や新たな情報に適応できるよう、結果に基づく規則と状況に応じた規則の両方を導入します。
7. 社会啓発キャンペーンを実施する:深宇宙探査と天体に関する環境管理の重要性について一般市民を啓発するため、包括的な社会啓発キャンペーンを実施します。さまざまなメディアやソーシャルプラットフォームを活用して幅広い層に働きかけ、持続可能な宇宙活動への関心と支持を高めます。
太陽系の探査を続け、月に再び向かうにあたり、強い責任感を持って取り組み、運用のための包括的な統治体制を整えることが重要です。
宇宙活動が将来世代の利益を守るものとなるよう徹底しなければなりません。この取り組みは、最も近い天体での活動を成功させるためだけでなく、長期的な太陽系のさらなる探査にとっても不可欠です。


