平均すると、地域の労働市場に産業用ロボットが1台導入されると、雇用者数は5.6人減少する。
国際競争や海外移転、新たな情報技術など、さまざまな要因によって米国の労働者がすでに圧迫されるなか、ロボットが雇用や賃金に及ぼす影響への懸念が高まっている。
「ロボットと雇用:米国の労働市場から得られた証拠」(NBERワーキングペーパー第23285号)で、ダロン・アセモグルとパスカル・レストレポは、ロボットの導入が雇用と賃金を減少させると指摘している。ただし、労働市場への純影響を測定するのは難しいと注意を促している。

少なくとも産業革命の始まり以来、経済学者や政策立案者は、絶え間ない技術の進歩が労働市場にどのような影響を及ぼすかを考察してきた。ジョン・メイナード・ケインズは1929年、迫り来る「技術的失業」について警告し、数十年後にはワシリー・レオンチェフが「労働はますます重要でなくなる」と予測した。近年の複数の研究は、今後20年間に米国の労働者の仕事のほぼ半数が自動化のリスクにさらされると推計し、そのリスクは現場労働者にとどまらず、定型業務の割合が高い多くのホワイトカラー職にも及ぶと指摘している。
研究者らによると、自動化は労働市場にいくつかの影響を及ぼす。特定の産業の特定の仕事に従事する労働者を置き換え、その職に歴史的に就いてきた人々の雇用機会や賃金を減少させる可能性がある。一方、機械が担う作業から解放された労働力を吸収するため、他の部門や職種が拡大することもある。また、新たな自動化技術による生産性向上によって、その技術が導入された産業で雇用機会が拡大する可能性もある。
研究者らは、特定の自動化技術である産業用ロボットの導入が地域の労働市場に及ぼす影響に焦点を当てている。国際ロボット連盟(IFR)の定義に基づき、ロボットを自律型で再プログラム可能な多目的機械とし、単一目的の自動機械や人工知能技術は対象から除外している。IFR、米国国勢調査局などのデータを組み合わせ、1990年から2007年にかけて19産業で産業用ロボットの利用が増加したことによる労働市場への影響を分析した。米国以外の国々における産業内のロボット導入率を測定し、通勤圏ごとの産業雇用の所在地に関する情報と組み合わせて、各地域の労働市場がロボットにさらされる可能性を示す指標を作成した。
研究者らは、ロボットが雇用と賃金に大きく、かつ頑健なマイナスの影響を及ぼすことを明らかにした。労働者1,000人当たりロボットが1台増えると、人口に占める雇用者の割合が0.18~0.34パーセントポイント低下し、賃金が0.25~0.5%下落すると推計している。影響は、ロボットへの曝露が最も大きい産業、大学卒業資格を持たない労働者、そして定型的な肉体労働、ブルーカラー職、組立作業などの関連職種で最も顕著である。
ロボットは、女性よりも男性の雇用に大きなマイナスの影響を及ぼすようだ。
研究者らは、分析対象期間中に米国の労働市場に他にもいくつかの重大な変化があったことを踏まえ、中国やメキシコからの輸入増加、海外移転、他のコンピューター技術へのアクセス、あるいは資本ストックの他の構成要素の変化が結果に影響していないかを検証した。こうした要因をすべて考慮しても、結果は変わらなかった。


