ロボットは輸出品の品質をどのように高めるのか

A little girl greeting a robot in Kuromon Market, Osaka, Japan.
Robots are very much integrated into societies in many countries.Image: Andy Kelly/Unsplash
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  • ロボットは先進国と発展途上国の製造業で、急速に重要な役割を担うようになっている

  • 2人の経済学者は、ロボットの普及が製造品の輸出品質を高める可能性があることを明らかにした。

  • より高度なロボットの活用は先進国で、より基本的なロボットの活用は発展途上国で、それぞれ品質の向上につながる。

豊かな国々で自動化が急速に進み、発展途上国が取り残される可能性があると指摘するメディア記事が増えている。これは製造業主導の発展の将来を脅かしかねない。関連研究の多くは、豊かな国々におけるロボット導入を取り上げ、労働市場への影響に焦点を当ててきた(Acemoglu and Restrepo 2017, Adachi et al. 2021, Deng et al. 2021)。発展途上国でのロボット普及や貿易への影響については、驚くほど知られていない。自動化と生産拠点の国内回帰に関する最近のエビデンスは、せいぜい見解が分かれており、豊かな国々での自動化が、むしろ貧しい国々からの輸入を増やす可能性を示している(Artuc et al. 2018, 2019, Stapleton and Webb 2020)。

本稿では、自動化が輸出品の品質向上につながるかという新たな経路を、発展途上国と先進国の双方で検証する。ロボットは高い精度で同じ作業を繰り返すため、小型電子部品の組み立て、自動車部品の精密溶接、金属の切断などによく使われる。高度なロボットの中には、極めて厳しい精度公差で動作できるものもある。たとえば、レーザー搭載機は10マイクロメートル(0.01ミリメートル)以内の精度で切断できる。また、センサーを備え、機械自体が製品の欠陥を特定できるものもある。そのためロボットは、生産工程における人為的ミスを減らし、製品の品質を高める可能性がある。

この点を検証するため、新たな論文(DeStefano and Timmis 2021)では、2000年から2015年にわたる幅広い国々(先進国28か国、発展途上国31か国)のロボット普及と輸出品質のデータを組み合わせた。輸出品質は、詳細な米国のHSコード10桁の輸入データ(Khandelwal et al. 2013に準拠)から算出し、国・産業別のロボット利用データと組み合わせた。対象国が幅広いため、先進国と発展途上国における影響を区別できる。また、貿易データが詳細なため、各国でどの種類の製品の品質が向上しているかを調べることができる。

世界の製造業におけるロボットの普及

ロボットは、発展途上国も含め、世界の製造業に欠かせない存在になりつつあることが分かった。現在、世界ではおよそ270万台のロボットが稼働しており、毎年新たに設置される台数は、この10年間で3倍以上に増えた(IFR 2020)。これまでのエビデンスの大半は豊かな国々の自動化に焦点を当ててきたが、製造工程の自動化は先進国だけでなく、発展途上国でも進んでいる(図1参照)。発展途上国でのロボット利用は、2000年から2015年にかけて約10倍に増加した。先進国の方がロボットを集中的に利用しているものの、発展途上国は追いつきつつある。

多くの国で、この10年間にロボットの普及が進んだ。Image: VoxEU

海外の輸出先顧客におけるロボットの普及は、自国での自動化導入を強く予測する。内生性の懸念に対処するため、2000年時点で定義した当初の海外貿易ネットワークを用い、他地域に所在する海外顧客の間でのロボット普及を操作変数として、国内の国・産業別のロボット導入を推定した。この操作変数の根拠は、海外の多国籍企業の顧客から国外の供給業者への技術波及を示す豊富なエビデンスにある(Javorcik 2004)。自動化は海外顧客からその供給業者へと波及することが分かった。

ロボット導入と輸出品質の向上

ロボットの普及は輸出品の品質向上につながることが分かった。全対象国では、ロボットの稼働台数が10%増えると品質は1.2%向上する(図2参照)。品質の向上幅が最も大きいのは発展途上国で、ロボットの稼働台数が10%増えると品質は2.7%向上する。先進国でもロボット利用による品質向上は見られるが、その効果はかなり小さく、ロボット導入が10%増えても品質の向上は約0.4%にとどまる。対象期間全体で先進国におけるロボットの品質向上効果が小さく見える理由の一つは、より先進的な国々が早くから導入しており、品質向上の効果がすでに初期段階で現れていたことだ。

ロボットの種類によって、品質向上の効果に違いがあることを示すエビデンスも得られた。より基本的なロボットの導入は発展途上国で品質向上につながる一方、高度なロボットの活用の一部は先進国でより大きな品質向上をもたらす。たとえば切断機については、新興国では機械式切断ロボットが、所得の高い国々ではレーザー切断ロボットが、品質向上により大きく寄与することが分かった。

ロボット導入による輸出品質への効果は、発展途上国で最も大きい。Image: VoxEU

当初の品質に応じた効果の違い

各国内では、ロボットは当初の品質が低く、品質フロンティアから最も遠い輸出品の品質を高める。これは先進国と発展途上国の双方に当てはまる。たとえば、当初の品質がフロンティアから10%遠い製品は、ロボット稼働台数が同じだけ増えた場合、先進国では品質の向上速度が1%高く、発展途上国では1.3%高くなる。一般に発展途上国は品質の低い輸出品を生産する傾向があるため、この結果は図2で見られる発展途上国のより大きな全体的な品質向上と整合する。

先進国と発展途上国のどちらでも、当初の品質が低い製品ほどロボットの効果が大きいという事実は、ロボットが経済発展に重要であることを示唆している。生産と輸出の品質向上は、経済発展を左右する要因となる(Hidalgo et al. 2007, Fontagne et al. 2008)。当初の品質が低い輸出品ほど効果が大きいことから、ロボットの導入は輸出品質のキャッチアップを可能にするようだ。したがって発展途上国では、ロボットの普及が、グローバル・バリューチェーンへの参加やその中での上位への移行を目指す企業が直面する品質基準を乗り越える助けとなる可能性がある。

結論

ロボットは輸出品質の向上につながるが、その効果は均等には広がらないことが分かった。品質向上の多くは発展途上国で得られる。各国内では、先進国と発展途上国のどちらでも、ロボットは当初の品質が低い製品の品質を高める。発展途上国は品質の低い製品を輸出する傾向があるため、こうした国々ではロボットの効果がより大きい。したがって発展途上国には、生産を自動化することで輸出品質を高め、先進国に追いつく大きな可能性がある。

本研究の結果は、政策に重要な示唆をいくつか与える。第一に、技術は常に勝者と敗者を生み出す。自動化にはリスクがある一方、生産の高度化やグローバル・バリューチェーンの恩恵を活用する機会を通じて、発展途上国に新たな可能性をもたらす。第二に、貿易の開放性は、ロボットなどの技術がサプライチェーンや国境を越えて普及するのを後押しする。保護主義の強化は、国際的な技術普及の可能性を妨げ、発展途上国の企業が生産工程を高度化し、付加価値の高い活動へ移行し、世界の消費者がますます求める高品質な製品を生産する能力を制約しかねない。最後に、技術導入を促す政策に万能の処方箋はない。企業や国は、生産要素の賦存状況や導入のインセンティブに応じて、異なる生産技術を採用する。したがって、最も高度な技術だけを奨励することは、とりわけ発展途上国には適切でない可能性が高い。

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