知能が高い人ほど、固定観念に基づく判断をしやすいのはなぜか

Harvard Business School students cheer during their graduation ceremonies in Boston, Massachusetts following Harvard University's 358th Commencement June 4, 2009. REUTERS/Brian Snyder (UNITED STATES EDUCATION) - RTR24AAY
Research reveals people with superior cognitive abilites are more likely to apply social stereotypes, but also will more easily unlearn themImage: REUTERS/Brian Snyder
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認知能力が高い人ほど、社会的な固定観念を学び、それを当てはめやすいことが研究で明らかになった。

しかし実験では、新たな情報を提示されると、認知能力の高い人ほど固定観念を容易に解消することも示された。

「高い認知能力は、学業での成功や社会的流動性など、望ましい結果と結び付けられることが多い」と、ニューヨーク大学心理学部の博士研究員で、本研究の筆頭著者であるデービッド・リック氏は述べる。「しかし、私たちの研究は、一部の認知能力が好ましくない結果をもたらす可能性を示している。具体的には、パターンを見つけるのが得意な人は、社会的な固定観念をとりわけ素早く学び、それを当てはめる。」

「朗報なのは、既存の固定観念的な連想に疑問を投げかける新しいパターンを提示されると、こうした人々は固定観念に基づく判断をより減らせることも分かった点です」と、共著者で心理学部および神経科学センターの助教を務め、リック氏が所属する研究室を率いるジョナサン・フリーマン氏は付け加える。

人のパターンを見抜く力

パターンを見抜く能力によって、言語を学び、顔を認識し、他者の感情を察知できるなど、さまざまな利点が得られることは以前から知られている。本研究で著者らは、パターン認識が社会的偏見の面でどのような弊害をもたらすかを検討した。

「固定観念とは、社会集団の特徴を一般化し、その集団に属する個人に当てはめるものです」と著者らは指摘する。「こうした一般化をするには、まず特定の集団の構成員に共通するパターンを見つけ、次に個人をその集団に属すると分類しなければなりません。」

「パターン検出は人間の知能の中核をなす要素であるため、認知能力が高い人は、社会集団に関する固定観念を効率よく学び、利用できる可能性があります。」

アバターの鼻

この仮説を検証するため、研究者らはオンラインで6つの実験を実施し、AmazonのMechanical Turkを通じて計1,257人が参加した。Mechanical Turkは、参加者が小さな作業を完了して報酬を受け取る仕組みで、行動科学研究によく利用されている。

実験の一つでは、参加者に男性の顔を次々と見せた。鼻が幅広い顔もあれば、細い顔もあった。それぞれの顔には、過去の行動についての説明も添えられていた。行動には、親切なもの(例:「病気の人に花を贈った」)もあれば、不親切なもの(例:「ホームレスの人を笑い、あざけった」)もあった。重要なのは、特定の顔の特徴(例:幅広い鼻)を持つ顔の大半に、否定的な固定観念が結び付くよう、表示を操作していた点だ。

顔を見た後、参加者はアバターで表された相手とオンラインの信頼ゲームを行った。ゲームでは、相手に渡す金額を選び、相手は受け取った金額を好きなように双方に分配できた。重要な点として、アバターの鼻はわずかに幅広い、またはわずかに細い形に調整されていた。

科学者らの予測どおり、パターン検出能力のテストで高得点を取った参加者は、固定観念に沿って行動する傾向があった。先の課題に登場した顔とはおそらく無関係なアバターであるにもかかわらず、否定的な行動と結び付けられた特徴に応じて、鼻が幅広い、または細いアバターの相手に渡す金額を減らした。「プライミング」課題を用いた追加実験でも同じ偏りが確認されたが、その影響はより意識されにくい水準に現れた。参加者は、以前に否定的な行動と結び付けられた特徴(例:幅広い鼻)がある顔を、無意識のうちにより否定的だと結び付けていた。

しかし研究者らは、パターン検出能力が高い人ほど、新たな知識に基づいて固定観念を容易に更新できることも見いだした。そのため、固定観念に反する訓練を受けやすく、既存の偏見を変えられる可能性も高かった。

性別に関する固定観念

最後の実験では、まず参加者の無意識の性別に関する固定観念を測定した。たとえば、男性をより権威的、女性をより従順だと無意識に結び付ける度合いを調べた。その後、性別に関する固定観念に反する概念(例:権威的な女性、従順な男性)を次々に提示し、再び参加者の無意識の性別に関する固定観念を測定した。

その結果、性別に関する固定観念に反する特性に触れると、パターン検出能力のテストで低得点だった参加者より、高得点だった参加者のほうが、固定観念に基づく判断が大きく減少した。

「パターンを見抜く能力が高い人ほど、社会集団に関する固定観念を取り込み、それを当てはめるリスクが高くなります」とリック氏は指摘する。「一方、今回の研究結果で期待が持てるのは、認知能力が高い人は、新たな情報に直面した際に固定観念もより容易に更新する傾向があることです。」

「パターン検出能力が高い人は、固定観念を見つけて当てはめるリスクが高い一方で、それを覆すことにも長けているという発見は、この能力が固定観念を支える認知メカニズムであることを示唆しています」とフリーマン氏は付け加える。「今回の研究結果は、社会的偏見を減らすためにパターン検出能力やその他の認知能力を活用する今後の研究への道を開くかもしれません。」

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