魚の廃棄物を電子レンジで加熱すれば、より安価で持続可能なLEDを製造できる可能性があると科学者らが明らかにした。
この工程ではカーボンナノオニオン(CNO)が生成され、エネルギー貯蔵から医療まで幅広い用途がある。
ある専門家によると、科学者らの発見は次世代ディスプレイや固体照明の将来的な開発に役立つ可能性がある。
科学者らは、魚の廃棄物を電子レンジで加熱することで、エネルギー貯蔵や医療に応用できる独特なナノ形態の炭素、カーボンナノオニオン(CNO)を迅速かつ効率的に生成できることを発見した。この方法は将来、より安価で持続可能なLEDの製造に利用できる可能性がある。日本の名古屋工業大学の研究者らは、その研究成果をGreen Chemistry誌に発表した。
CNOは、タマネギのような同心円状の層構造を持つ球状の炭素殻からなるナノ構造体だ。論文によると、「極めて高い電気伝導性と熱伝導性に加え、大きな外表面積」を持つことから、「エネルギーの貯蔵と変換の観点で世界的に大きな注目を集めている」。研究の著者らは、CNOが電子機器や、生体イメージング、センシング、薬物送達などの生物医学分野で利用されてきたと記している。
CNOは1980年代に初めて報告されたものの、従来の製造法では高温と真空が必要で、多くの時間とエネルギーを要していた。ほかの手法は費用がかかり、複雑な触媒や、危険な酸性または塩基性の条件が必要となる。名古屋工業大学の発表によると、こうした点が「CNOの潜在力を大きく制限している」。
著者らによると、新たに発見された方法は、魚の廃棄物から取り出したうろこをマイクロ波熱分解する1段階の工程だけで、10秒以内に実施できる。
うろこがどのようにCNOへ変換されるのか、正確な仕組みは明らかになっていない。ただ研究チームは、うろこに含まれるコラーゲンがマイクロ波を十分に吸収し、急速に温度が上がることが関係していると考えている。これによって熱分解が起こり、コラーゲンがガスに分解される。こうしたガスがCNOの生成を促す。
この方法は「魚の廃棄物をはるかに有用な素材へ変換する簡便な手段」であり、得られるCNOは結晶性が高く、「優れた光学特性」を備えていると発表は述べている。また、表面に「他の小さな分子が結合している」ことを意味する高い官能化度も特徴だと、エレン・フィディアンはCosmosに寄稿している。こうした特性の組み合わせにより、CNOは鮮やかな青色に発光するとCosmosは伝えている。
「CNOは、40%の効率(量子収率)で、可視光を極めて明るく発光します」と、共著者で名古屋工業大学生命・応用化学専攻の教授、白井孝氏は発表で述べている。「これまでに達成されたことのないこの値は、従来の方法で合成された既報のCNOの約10倍です。」
こうした優れた光学特性から、CNOは「大面積の発光性フレキシブルフィルムやLEDデバイス」の製造に利用できる可能性があると、白井氏は発表で述べている。「今回の発見は、次世代ディスプレイや固体照明の開発に向けた新たな道を切り開くでしょう。」


