研究者たちは、新たな測定技術を用いて重力定数Gを再測定した。
この実験では、真空チャンバー内に設置した2本の振動する梁を、レーザー装置で測定する。その動きから、研究者たちは重力定数の大きさを推定した。
重力をより深く理解できれば、重力波信号をより正確に解釈できるようになり、宇宙とその歴史について新たな知見が得られる可能性がある。
研究者たちは新たな測定技術を用いて、重力定数Gを再測定した。
この値には依然として大きな不確実性があるものの、新たな手法は自然界の最も基本的な法則の一つを検証する大きな可能性を秘めている。
重力定数Gは、重力の強さを決める。重力とは、リンゴを地面に落としたり、地球を太陽の周りの軌道にとどめたりする力だ。重力定数は、アイザック・ニュートンが300年以上前に初めて定式化した万有引力の法則に含まれている。この定数は数学的に導き出すことができず、実験によって測定しなければならない。
何世紀にもわたり、科学者たちはGの値を決めるために数多くの実験を行ってきたが、科学界は現在の数値に満足していない。その精度は、真空中の光速など、ほかのすべての基本的な自然定数の値よりも依然として低い。
その理由の一つは、重力の定量化が非常に難しいことだ。重力は非常に弱い力で、ほかの力から切り離せない。2つの物体の間に働く重力を測定するとき、世界中のほかのすべての物体の影響も同時に測定している。
「この状況を打開する唯一の方法は、できるだけ多くの異なる方法で重力定数を測定することです」と、チューリヒ工科大学の機械・プロセス工学科教授、ユルク・デュアル氏は説明する。同氏と同僚たちは重力定数を再測定する新たな実験を行い、その成果をNature Physics誌で発表した。
干渉源をできる限り排除するため、デュアル氏のチームは、スイスのバート・ラガッツを見下ろすプフェーファース近郊にある旧フルゲルス要塞に測定機器を設置した。
実験装置は、真空チャンバー内に吊るした2本の梁で構成される。研究者たちが一方の梁を振動させると、重力結合によってもう一方の梁にもごくわずかな動き(ピコメートル単位、すなわち1兆分の1メートル)が生じた。チームはレーザー装置を使って2本の梁の動きを測定し、この動的効果の測定値から重力定数の大きさを推定した。
この方法で研究者たちが得た値は、科学技術データ委員会が示す現在の公式値より2.2%高い。しかしデュアル氏は、新たな値には大きな不確実性があると認める。「信頼できる値を得るには、この不確実性を大幅に減らす必要があります。定数Gをさらに高い精度で求められるよう、実験装置を少し変更して測定を進めています」。初期結果は得られているが、まだ発表されていない。それでもデュアル氏は「正しい方向に進んでいます」と話す。
研究者たちはチューリヒから遠隔で実験を行い、現地にいる人員による妨げを最小限に抑えている。チームは必要なときにいつでも、測定データをリアルタイムで確認できる。
実験ではオレンジ色の棒を振動させ、その重力によって青色の棒が動く。棒のごくわずかな動きを、4台のレーザー装置で高精度に検出する。
デュアル氏によると、新たな手法の利点は、動く梁を通じて重力を動的に測定することだ。「動的測定では、静的測定とは異なり、ほかの物体による重力の影響を切り離せなくても問題ありません」と同氏は言う。そのため、同氏はチームとともにこの実験で重力をめぐる謎の解明に貢献できると期待している。科学は、この自然の力も、それに関する実験も、まだ十分に理解できていない。
たとえば、重力をより深く理解できれば、重力波信号をより正確に解釈できるようになる。重力波は2015年、米国のLIGO観測所で初めて検出された。地球から約13億光年離れた場所で、互いに軌道を回っていた2つのブラックホールが合体したことによるものだった。それ以降、科学者たちは同様の事象を数十件記録してきた。こうした事象を詳細に追跡できれば、宇宙とその歴史について新たな知見が得られるだろう。
デュアル氏は1991年に重力定数の測定方法の研究を始めたが、途中でいったん中断していた。しかし、LIGOでの重力波観測をきっかけに研究が再び動き出し、同氏は2018年に研究を再開した。2019年、プロジェクトチームはフルゲルス要塞に研究室を設け、新たな実験を開始した。デュアル氏のグループの科学者や統計学の教授に加え、クリーンルームの専門家、電気技師、整備士などの施設担当者もプロジェクトに参加した。



