新たな研究によると、幼い子どもは単語や顔を、大人とは文字どおり異なる見方で捉えています。
大人は単語を正面から見ると最も理解しやすい一方、子どもは少し左上を見る必要があります。顔を見るときは、少し右上を見る必要があります。
さらに、単語や顔の処理を担う脳回路に、これまで検出されていなかった変化が見られ、こうした違いに伴っていると研究者らは報告しています。掲載誌はNature Communicationsです。
「子どもが世界を見る窓は、大人のものとは異なります」と、新研究の筆頭著者で、スタンフォード大学の神経科学博士課程に在籍するジェシー・ゴメスは述べています。その見方を研究すれば、子どもがどのように読字や顔認識を学ぶのか、さらにはディスレクシアや自閉症についても、研究者の理解が深まるかもしれません。
見てみましょう
直感的には、単語でも顔でも、あるいはほかのほとんど何でも、よく見たいなら正面から見るべきです。実際、大人はおおむねそうしています。というのも、目の解像度は視野の中心部、つまり中心窩で最も高く、物や人を正面から見ると最も鮮明に見えるからです。
しかし、大人についてもこの説明はやや単純化されています。視覚は解像度だけの問題ではないからです。単語や顔を認識するには、目から得た情報をどのように処理し、統合するか、また視野のどの部分から情報を得るかも関係します。視野とは、中心だけでなく、見える範囲全体のことです。一方、子どもの視覚処理や、成長に伴ってその処理がどう変化するかについて、研究者が知っていることはまだわずかです。
要因を切り分け、脳内で視覚処理が時間とともにどう発達するかを探り始めるため、ゴメスと、指導教員で心理学教授、スタンフォードBio-Xおよびスタンフォード神経科学研究所のメンバーであるカラニット・グリル=スペクター、そして同僚たちは、5歳から12歳までの子ども26人と、22歳から28歳までの若年成人26人を研究室に招きました。
参加者はそれぞれfMRI脳スキャナーの中で横になり、目を動かさずに、画面上のさまざまな場所を横切って動く帯を見ました。帯の位置と、fMRI画像で活動が見られた領域を照合することで、チームは視覚世界が脳内でどのように表現されるかをマッピングしました。
同じ参加者を対象に、研究者らは別のスキャンも行いました。単語や顔を含むさまざまな画像を見てもらい、脳のどの領域が顔、単語、その他の物体を処理するかを特定しました。2種類のスキャンを組み合わせると、顔や単語を処理する領域が視野のどの部分に最も敏感かがデータから明らかになりました。たとえば、単語を見つけるために脳が視野のどこに注目するかが分かりました。
子どもには世界がどう見えるのか
大人では、単語と顔の両方に関わる視覚回路が、科学者の予想どおり、それらを正面に捉えていました。
しかし、子どもでは状況が異なります。まず、子どもの単語処理回路が処理する視野の領域は大人とは違い、下方かつ右側にずれています。つまり、単語を最も効率よく処理するには、子どもは少し左上を見る必要があります。
脳の左右にある視覚回路にも興味深い違いがあると、ゴメスは述べています。子どもでは、左右のどちらも単語と顔にほぼ同じように反応します。しかし若年成人になると、左側は単語に、右側は顔により強く反応するようになります。特に、それらが視野の中心にある場合にそうなります。
ゴメスによると、このことは、視野の中心を処理する脳領域の「一等地」をめぐって、ある種の競合が起きていることを示唆しています。「どちらも中心視を使うなら、取り合いになると考えるかもしれません」とゴメスは述べています。解決策はこう考えられます。顔の回路は右半球でより広い領域を占め、単語の回路は左半球の領域を使います。
この結果は、単語の処理に関わる障害(ディスレクシアなど)や、顔の処理に関わる障害(自閉症など)について、研究者の理解を深める助けになる可能性があります。また、子どもが読字や顔認識をどのように学ぶかを理解する手がかりにもなり得ますが、結論を出すにはさらに多くの研究が必要だとゴメスは注意を促しています。
「子どもと大人の違いに配慮すれば、より効果的な方法があるかもしれません」とゴメスは述べています。一方で、「これは自然な発達の過程なのかもしれません」。その場合、たとえば子どもへの読み方の教え方を変えることは、かえって逆効果になり得ます。


