人間に注意を払うロボット
現在、人工知能(AI)技術は、人間らしく見える特性を示すことができる。意図的に人間の姿をしたものもあれば、作曲や教育、ビジュアルアートなど、通常は人間ならではと考えられる仕事をこなすものもある。
この分野が進展するなか、企業や開発者は、私たち自身の知能を調べ、機械やソフトウェアを使ってそれを効果的に模倣する方法を考えることで、人工知能の基盤を見直している。IBMもそのような企業の一つで、AIを人間の脳により近い働き方をするよう教えるという、野心的な取り組みに乗り出している。
既存の機械学習システムの多くは、データセットから情報を引き出す必要性を前提に構築されている。囲碁の対局に勝つために問題を解いたり、画像から皮膚がんを見分けたりする場合にも、多くの場合、この前提は変わらない。しかし、この基盤には限界があり、人間の脳とは異なる。

人間は段階的に学ぶ。簡単に言えば、経験しながら学んでいく。必要に応じて知識を蓄えていく一方で、私たちの脳は、既存の人工システムの多くが構築されている方法とは異なるやり方で適応し、情報を吸収する。さらに、私たちは論理的だ。推論能力と論理を使って問題を解決するが、こうしたシステムはまだそれをうまく実行できない。
IBMはこの状況を変えようとしている。DeepMindの研究チームは、人工ニューラルネットワークを開発した。このネットワークは、報道によると、課題をこなすために合理的な推論を用いる。
合理的に考える機械
AIに複数の物体と特定の課題を与えることで、「ネットワークに、そこに存在する関係性を明示的に発見させています」と、DeepMindのコンピューター科学者ティモシー・リリクラップ氏は、「サイエンス」誌のインタビューで語っている。今年6月に行われたネットワークのテストでは、複数の物体が写った画像について質問された。たとえば、ネットワークは次のように尋ねられた。「青いものの前にある物体は、灰色の金属球の右側にある小さなシアン色の物体と同じ形ですか?」
このテストで、ネットワークは驚くべきことに96%の確率で物体を正しく特定した。従来型の機械学習モデルの正答率は、わずか42~77%だった。高度なネットワークは、文章題にも適切に対応し、現在も開発と改良が続いている。研究者たちは推論能力に加え、注意を向ける能力や、記憶を作り保存する能力も高めている。
こうした手法を用いれば、AI開発の未来は加速し、大きく広がる可能性があると、IBMの研究スタッフであるイリーナ・リシュ氏は、「Engadgetのインタビューで述べている。「ニューラルネットワークの学習は通常、人が設計するもので、最適な特定のアーキテクチャを考案するには大変な労力がかかります。ほとんど試行錯誤のアプローチです……ネットワークが自らを構築できればよいのですが」
AIネットワークが自ら構築され、改良されると考えると恐ろしく感じるかもしれない。しかし、適切に監視、開始、制御されれば、この分野は現在の限界を超えて発展できる可能性がある。ロボットが人間に取って代わるという高まる懸念がある一方で、AI技術の進歩は医療分野で命を救い、人類が火星に到達することを可能にするなど、さらに多くのことを実現する可能性がある。


