人間がロボットを理解するために

Coding language displayed in multiple colours on a computer screen
Theories from cognitive science and psychology could help humans learn to collaborate with robots faster and more effectively.Image: Unsplash/ Joan Gamell
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  • 人間は認知科学の理論を活用することで、ロボットの振る舞いをよりよく理解できる。

  • また、腕などのロボットの部品が人間の対応する部位と似た動きをすると、人々はロボットについて正確な心的モデルを築きやすくなる。

  • ロボットがさまざまな環境で作業する様子や、失敗する様子を見ることにも効果がある。

人間とロボットの相互作用を研究する科学者は、ロボットが人とより効果的に協力できるよう、人間の意図をロボットの視点から理解することに注目しがちだ。しかし、人間とロボットの相互作用は双方向であり、人間もロボットがどのように振る舞うかを学ぶ必要がある。

認知科学や教育心理学の研究が何十年も続けられてきたおかげで、人間が新しい概念をどのように学ぶかについて、科学者たちはかなり把握している。そこでMITとハーバード大学の研究者らは、人間の概念学習に関する確立された理論を、人間とロボットの相互作用における課題に応用するため、共同研究を行った。

研究チームは、人間がロボットに新しい行動を教えようとする過去の研究を調べた。そうした研究の方法論に、相補的な2つの認知科学理論の要素を取り入れられた機会を特定した。これらの研究事例を用いて、理論を活用すれば、人間がロボットの概念モデルをより速く、正確かつ柔軟に形成でき、ロボットの振る舞いへの理解を深められる可能性を示した。

ロボットについてより正確な心的モデルを築いた人間は、協働相手としても優れていることが多い。製造業や医療など、人間とロボットが重大な結果を伴う状況で共に働く場合、これは特に重要だと、コンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL)のインタラクティブ・ロボティクス・グループの大学院生で、論文の筆頭著者でもあるセレナ・ブースは述べる。

「人々がロボットの概念モデルを築くのを私たちが手助けしようとしまいと、人々は結局それを築きます。そして、その概念モデルは間違っているかもしれません。そうなると、人々を深刻な危険にさらすおそれがあります。その人が築ける最良の心的モデルを得られるよう、あらゆる手段を講じることが大切です」とブースは言う。

ブースと、指導教員であるMITの航空宇宙工学教授、インタラクティブ・ロボティクス・グループのディレクター、ジュリー・シャーは、ハーバード大学の研究者らと共同でこの論文を執筆した。学習理論と人間とコンピューターの相互作用を専門とする、ハーバード大学ジョン・A・ポールソン工学・応用科学スクールのコンピューター科学助教エレナ・グラスマン(08年卒、MNG ’11、博士 ’16)が、このプロジェクトの主指導者を務めた。ハーバード大学からは、大学院生のサンジャナ・シャルマと研究助手のサラ・チョンも共著者に名を連ねている。この研究は、IEEE人間とロボットの相互作用に関する会議で発表される予定だ。

理論に基づくアプローチ

研究チームは、人間がロボットに教えることに関する35本の研究論文を、2つの主要な理論を用いて分析した。「類推転移理論」は、人間は類推によって学ぶとする。人間は新しい領域や概念に接すると、それを理解するために使える身近なものを、暗黙のうちに探す。

「学習の変化理論」は、意図的な変化によって、それがなければ人が見分けにくい概念を明らかにできるとする。この理論によれば、人間は新しい概念に接するとき、反復、対比、一般化、変化という4段階の過程をたどる。

多くの研究論文には一方の理論の要素が部分的に取り入れられていたが、それはおそらく偶然だったとブースは言う。研究の当初から研究者がこれらの理論を参照していれば、より効果的な実験を設計できたかもしれない。

たとえば、人間にロボットとの関わり方を教える際、研究者は同じ作業をするロボットの例を数多く見せることが多い。しかし、人間がそのロボットについて正確な心的モデルを築くには、学習の変化理論によれば、異なる環境でその作業をするさまざまな例に加え、ロボットが失敗する様子も見る必要がある。

「直感に反するため、人間とロボットの相互作用に関する研究では非常にまれですが、ロボットが何をしないのかを理解するには、否定的な例も見る必要があります」とブースは言う。

こうした認知科学の理論は、ロボットの物理的な設計の改善にも役立つ可能性がある。ロボットの腕が人間の腕に似ていても、人間の動きとは異なる動き方をすれば、人々はそのロボットについて正確な心的モデルを築くのに苦労するだろうとブースは説明する。類推転移理論が示すように、人々は既知のもの、つまり人間の腕をロボットの腕に当てはめる。そのため、動きが一致しなければ混乱し、ロボットとの関わり方を学びにくくなる可能性がある。

説明の改善

ブースと共同研究者らは、人間の概念学習理論によって、なじみのない新しいロボットへの信頼を人々が築けるよう支援する説明を改善できるかどうかも研究した。

「説明可能性には、確証バイアスという非常に大きな問題があります。説明とは何か、また人がそれをどう使うべきかについて、通常、基準はありません。研究者として、私たちは説明の手法を設計し、自分たちにはよく見えたら、そのまま世に出してしまうことがよくあります」と彼女は言う。

その代わりに研究者らは、人間の概念学習理論を用いて、人々が説明をどのように使うかを考えるよう提案している。ロボットが意思決定に用いる方策を明確に伝えるために、説明はロボットによって生成されることが多い。説明手法が何を意味し、いつ使うべきかだけでなく、どこには適用できないかもユーザーが理解できる学習課程を提供すれば、ロボットの振る舞いへの理解を深められるとブースは言う。

研究チームは分析に基づき、人間がロボットに教える研究を改善するための提言をいくつか示した。まず、研究者が新しいロボットとの作業を学ぶ人々に適切な比較を促すことで、類推転移理論を取り入れるよう提案している。指針を与えれば、人々が適切な類推を用い、ロボットの動きに驚いたり混乱したりしないようにできるとブースは言う。

また、ロボットの振る舞いの肯定的、否定的な例を含めることや、ロボットの「方策」のパラメーターを意図的に変えると振る舞いにどう影響するかをユーザーに示すことも提案している。さらに、意図的に変化をつけた環境でも示すことで、人間はよりよく、より速く学べる可能性がある。ロボットの方策とは、ロボットが取りうる各行動に確率を割り当てる数学関数だ。

「私たちは何年もユーザー調査を行ってきましたが、人間に何を見せれば役立つか、あるいは役立たないかについて、自分たちの直感に頼ってきました。次の段階では、人間の認知理論にこの研究をより厳密に基づかせる必要があります」とグラスマンは言う。

認知科学の理論を用いたこの初期の文献レビューを終えたブースは、調査した実験の一部を再構築し、理論が実際に人間の学習を改善するかどうかを確かめて、提言を検証する予定だ。

この研究は、米国国立科学財団の一部助成を受けている。

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