活気あふれるペシャワール市は、第2回 デジタル・ユース・サミット (2015年5月7~9日、シラーズ・アリーナ)の開催準備を進めている。同サミットは、 KP IT Board、 Peshawar 2.0 、世界銀行の共催で、テクノロジー起業に情熱を持つパキスタン国内外の参加者が集う、テクノロジー会議兼スタートアップ展示会である。テクノロジーが起業を後押しすることへの期待が高まる一方、「eランサー」も静かに、着実に増えている。

出典: https://www.elance.com/trends/skills_central、
2015年4月10日閲覧
eランスとは何か。想像どおりのものだ。eランスとは、デジタル時代のフリーランスである。ICTツールとインターネットを活用し、インターネットにつながる技術に精通した独立就業者が、世界の労働市場にアクセスできるようにする。ここ数年、「物理的な」職場でさえ、電話会議やビデオ会議などを通じて仮想化し始めている。ICTを活用したリモートワークと、それに伴う柔軟性の利点を 強く確信する人々 が多い一方、 別の人々 は、世間で言われるほど万能ではないかもしれないと警鐘を鳴らす。しかし、誰もが一致している点が一つある。ICTは障壁や距離を縮め、世界市場をこれまで以上に利用しやすくする。
必要なのはコンピューターとインターネット接続だけだ。ICTのおかげでeランスは活況を呈し、雇用主とeランサーが「出会い」、取引できるプラットフォームが複数存在する。こうした仮想市場は、専門スキルを要する仕事のためのCraigslistのように機能する。雇用主が仕事を掲載し、eランサーがそれに応じて提案を送る。選ばれると、eランサーは顧客のために遠隔で働き始める。多くの場合、透明性を確保し不正を防ぐため、雇用主とオンラインワーカーの主なやり取り(支払い、評価、メッセージなど)はすべてeランス・プラットフォーム上で行われる。
では、この市場の規模はどれほどだろうか。実際、かなり大きく、しかも拡大している。 Elance.com という主要プラットフォームの一つでは、2014年8月に掲載された仕事の総数は500万件に迫り、同期間の総額は50億米ドルに達した。さらに、同じトレンドページの動的バーによると、世界では毎秒15件の仕事が受注されている。これらの数字には、 Odesk.com、 Fiverr.com やその他のサイトで行われる取引は含まれていない。

Empower Pakistanが同団体の
Facebookページで公開したインフォグラフィック。
eランス研修の暫定的な成果を紹介している。
では、典型的な成功したeランサーとはどのような人だろうか。eランスの利点の一つは、オンラインワーカーが提供できるサービスの種類にほとんど制限がないことだ。eランス・プラットフォームでは、ウェブサイト開発、コーディング、リモートアシスタント業務、コンテンツ執筆、グラフィックデザイン、データ管理など、幅広い専門分野の仕事が提供されている。高度なコーダーでも、検索エンジンの仕組みを学び始めたばかりでも、あなたのスキルを必要とする顧客がいる(関連記事: 『Hacking Elance: How to make money freelancing』 —出典:Entrepreneur.com、2015年4月6日)。
パキスタンのeランサーは、この機会をよく理解している。パキスタンは現在、Elance.comで世界第4位に位置し、 登録eランサーは17万人を超える。これは、パキスタンの若者に持続可能で創造的な機会を生み出す方法を大きく変えた。世界銀行は、eランスがハイバル・パフトゥンハー州(KP)の若者にとって実行可能な収入創出の機会となるかを探るため、 Women’s Digital League、 Empower Pakistan 、 KADO – Karakoram Area Development Organizationと連携している。
Women’s Digital Leagueはペシャワールで女性30人を対象とした試験的な研修を実施している。背景の異なる女性たちがオンラインで働き、収入を得て、柔軟なスケジュールで働くためのスキルを身につけられることを示すのが目的だ(進捗の詳細は、同団体の Facebookページ を参照)。女性の労働力参加率が低く、女性の公共空間へのアクセスに制約がある国では、この目標はとりわけ意義深い。
同時に、若者主導の団体Empower Pakistanは、大学卒業生を対象に研修を行ってきた。「研修を終えてもいないのに、参加者はすでに収入を得ています。研修生の中には仕事をたくさん獲得し、さらに若者を雇わなければならなくなった人もいます。素晴らしいことです」と、研修生から 学習経験について記したメモを受け取った後、Empower PakistanのCEO、Sajid Shahは語った。
最後に、KADOはKP州チトラル県の県都チトラルの山間地域で研修を実施している。衛星通信を利用し、同県の学生グループにインターネットアクセスを提供している。学生たちはeランスの基礎を初めて学んでいる。「学ぶ意欲が高く、オンラインワークの可能性を十分に理解した参加者30人を研修してきました。そのうち3人はすでにそれぞれ約50米ドルを得ており、私たちの置かれた状況を考えれば、これは素晴らしい成果です」とKADOのCEO、Mubeenは説明した。
これらの研修プログラムは、テクノロジーを活用して収入創出と若者の包摂を促す、世界銀行と KP IT Board による一連の取り組みの一環である。IT分野のフリーランスの波がすでに起きているなら、若者をパキスタン国内外で力づける手段として、デジタル・ユース・サミットなどのプラットフォームをどう活用できるだろうか。
本稿は当初、 世界銀行「南アジアの貧困撲滅」ブログに掲載された。
本稿の掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しない。
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著者:Nicola Magriは、起業、イノベーション、包摂に関する世界銀行のコンサルタントであり、現在、パキスタンで2015年デジタル・ユース・サミットを支援する世界銀行チームの一員である。
画像:ノートパソコンを持つ男性にバイナリーコードが投影された様子を描いたイラスト。REUTERS/Kacper Pempel

