1日に数時間を超えてテレビを見ることは、幼稚園児の就学準備スキルの低さと関連しており、特に低所得世帯の子どもでその傾向が見られます。
この研究結果は、スクリーンを見る時間に制限を設ける必要性を裏付けています。米国小児科学会は2001年、2歳を超える子どものテレビ視聴を1日2時間以内とするよう勧告しました。2016年10月に改訂されたこの指針では、現在、2~5歳の子どものテレビ視聴を1日1時間以内とするよう勧めています。
「子どもは推奨される時間を超えて視聴することが多いと研究で報告されており、スマートフォンやタブレットなどのテクノロジーが普及している現在、スクリーンを見る機会はこれまでになく増えている可能性があります」と、筆頭著者でニューヨーク大学応用心理学部の博士課程に在籍するアンドリュー・リブナー氏は述べています。
世帯所得別の結果
テレビ視聴は幼児期の学力と負の関連があることが研究で示されていますが、社会経済的地位がテレビ視聴や子どもの発達にどう影響するかは、ほとんど分かっていません。今回の研究では、Journal of Developmental & Behavioral Pediatricsに掲載された論文で、研究者らはテレビ視聴と就学準備度の負の関係が世帯所得によって異なるかどうかを調べました。
研究者らは、さまざまな背景を持つ幼稚園児807人のデータを分析しました。保護者は世帯所得と、子どもが日常的にテレビを見る時間数を報告しました。ビデオゲーム、タブレット、スマートフォンの利用は測定に含めませんでした。
子どもたちは、算数、文字や単語の知識、実行機能について評価を受けました。実行機能とは、ワーキングメモリー、認知的柔軟性、抑制制御など、就学準備の基礎とみなされる重要な認知能力および社会情動的能力です。
この研究結果から、幼児がテレビを見る時間数は就学準備度の低下と関連し、特に算数の力と実行機能に影響することが分かりました。この関連は、子どもがテレビを2時間以上見た場合に最も強く見られました。
世帯所得が低いほど、テレビ視聴と就学準備度の低下との関連は強まりました。つまり、低所得世帯の子どもほどテレビの見すぎによる影響を受けます。貧困ライン前後の世帯(4人家族で年収約21,200ドル)では、子どものテレビ視聴が2時間を超えると、就学準備度の低下が最も大きくなりました。
中所得世帯(4人家族で年収74,200ドルと定義)では低下は比較的小さく、高所得世帯(4人家族で年収約127,000ドルと定義)では、就学準備度とテレビ視聴の関連は見られませんでした。
算数と読み書き能力
興味深いことに、テレビ視聴は算数の力や実行機能とは負の関連があった一方、文字や単語の知識とは同様の関連が見られませんでした。研究者らは、特に子ども向けの教育番組は、算数とは異なる形で幼児の読み書き能力を高める可能性があると推測しています。
この研究では、子どもが見た番組の内容やテレビを見る状況を測定していません。しかし研究者らは、どちらも結果に関係している可能性があり、とりわけ、テレビの見すぎに関連する就学準備度の低下から、より裕福な世帯の子どもが守られているように見えた理由を理解するうえで重要かもしれないと指摘しています。
たとえば、先行研究で示されているように、高所得世帯の子どもは娯楽番組より教育番組を見ることが多い可能性があります。また、時間や資源に余裕があるため、裕福な保護者は子どもと一緒にテレビを見て、理解を促す説明や話し合いをすることが多いのかもしれません。
「子どもがスクリーンを見る時間を取り巻く状況によって、学習成果への悪影響が左右される可能性があることを、今回の結果は示しています」と、カナダのサント=アンヌ大学のキャロライン・フィッツパトリック氏は述べています。同氏はコンコルディア大学の客員研究者でもあり、この研究の共著者です。
研究者らは、小児科医や保育施設が米国小児科学会(AAP)の指針を改めて周知し、保護者が子どものテレビ視聴を1日2時間未満に制限できるよう支援することを勧めています。


