「情熱に従え」はひどい助言かもしれない理由

A couple skates on the frozen waters of Lake St. Moritz during a sunny winter day in the Swiss mountain resort of St. Moritz December 14, 2013. REUTERS/Arnd Wiegmann (SWITZERLAND - Tags: SOCIETY ENVIRONMENT TPX IMAGES OF THE DAY)
The key is to avoid a fixed mindset.Image: REUTERS/Arnd Wiegmann
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新たな研究によると、「情熱を見つけよう」という助言は、関心が実際に育まれる過程を損なう可能性があります。

一連の実験室研究で、研究者たちは、人々が関心を育てるうえで成功するか失敗するかを左右しうる信念を調べました。

「情熱を見つけよう」といった決まり文句には、隠れた含意があると研究者たちは述べています。関心を感じたら、それを追求するのは簡単だという含意です。しかし研究者たちによると、人々が避けられない困難に直面したとき、そうした考え方は、新たに見つけた関心を手放す可能性を高めます。

また、情熱は完成した形で見つかるという考えは、一人の人が持つ関心の数には限りがあることを示唆します。その結果、人々は視野を狭め、他の分野をおろそかにする可能性があります。

固定的なマインドセット

人々が自分の才能や能力にどう向き合うかをより深く理解するため、研究者たちはまず、知能に関する固定的マインドセットと成長型マインドセットについて、スタンフォード大学の心理学教授で今回の研究にも参加したキャロル・ドゥエックの先行研究を参照しました。子どもや大人が、知能は固定されたもの、つまり、あるかないかのどちらかだと考えると、学校で困難に直面したときに、粘り強く取り組めなくなることがあります。

「一つの分野に視野を狭め、こだわりすぎると、関心や専門性を育てる妨げになる可能性があります……」

ここで研究者たちが注目したのは、関心についてのマインドセットです。関心とは、生まれつき備わっていて、見つけられるのを待っている固定的な性質でしょうか。それとも、時間と努力をかけて育む性質でしょうか。

固定的マインドセットと成長型マインドセットImage: SAP

こうした異なる信念体系が、人々の関心の深め方にどう影響するかを検証するため、研究者たちは470人が参加する5つの実験を行いました。

最初の一連の実験では、研究者たちは、自らを「テッキー」または「ファジー」と認識する学生グループを集めました。これはスタンフォード大学で使われる言い方で、STEM分野に関心のある学生を「テッキー」、芸術・人文科学に関心のある学生を「ファジー」と呼びます。研究者たちは、両グループの学生に、テクノロジー関連の記事と人文科学関連の記事を一つずつ読んでもらいました。

関心について固定的なマインドセットを持つ学生は、自分の関心分野以外の記事を受け入れにくいことが分かりました。

固定的な見方には問題があるかもしれないと、スタンフォード大学人文科学・科学学部の心理学准教授、グレゴリー・ウォルトンは述べています。一つの分野に視野を狭めると、後に自分の分野で重要になる可能性のある他分野の知識を身につけられなくなることがある、と彼は言います。

「科学やビジネスの多くの進歩は、人々が異なる分野を結びつけ、それまで見いだされていなかった分野間の新たなつながりに気づくことで生まれます」と彼は言います。

「学際性がますます高まる世界では、成長型マインドセットが、芸術と科学を融合させる方法を見いだすといったイノベーションにつながる可能性があります」と、スタンフォード大学で博士研究員を務め、現在はイェール・NUSカレッジの心理学助教であるポール・オキーフは付け加えます。

「一つの分野に視野を狭め、こだわりすぎると、分野をつなぐ仕事に必要な関心や専門性を育てられなくなる可能性があります」とウォルトンは言います。

関心が持てない

この研究では、固定的なマインドセットが、自分の関心分野でさえ成長する意欲をそぐことがあると分かりました。

別の実験では、研究者たちは、ブラックホールと宇宙の起源についての興味を引く動画を学生に見せ、関心を高めました。ほとんどの学生が動画に魅了されました。

ところが、同じテーマについての難解な科学論文を読んだ後、学生たちの熱意は数分のうちに薄れました。関心について固定的なマインドセットを持つ学生で、熱意の低下が最も大きかったことが分かりました。

その結果、関心の対象が難しすぎると、人々はそれを価値のないものと見なすことがあります。

「難しさによって、結局これは自分の関心事ではなかったのだと感じたのかもしれません」と研究者たちは記しています。「総じて、成長理論を支持する人々は、関心を追求することについてより現実的な見方を持っている可能性があり、内容が複雑で難しくなっても取り組みを続ける助けになるかもしれません。」

情熱を育てる

著者たちは、「情熱を育てよう」という助言のほうが適切だと提案しています。

「何かを見て、『面白そうだ、自分が貢献できる分野かもしれない』と思ったら、そこに力を注ぎます」とウォルトンは言います。「時間をかけて取り組み、困難に直面し、やがてその分野への思いを深めていくのです。」

ドゥエックはこう述べています。「私の学部生たちは、最初は情熱を見つけるという考えに目を輝かせますが、時間がたつにつれて、情熱を育み、最後までやり遂げることにずっと強い意欲を持つようになります。そうすることで自分自身と将来が形づくられ、最終的に自分の貢献を果たすのだと理解するようになるのです。」

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