あなたのDNAが次の暗号資産になるかもしれない

Eoh Kyung-hoon, leader of a club studying cryptocurrencies, checks a chart after a meeting at a university in Seoul, South Korea, December 20, 2017. Picture taken December 20, 2017. REUTERS/Kim Hong-Ji
Blockchain-based marketplaces could give you access your DNA data, and the ability to sell it on.Image: REUTERS/Kim Hong-Ji
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特定の遺伝子検査を受けると、検査会社があなたのデータを他社に転売して利益を得ることがあると知っていましたか?

いま、ブロックチェーンを基盤とする新たなマーケットプレイスによって、個人は暗号化されたDNAデータへのアクセスを管理し、研究企業に販売して自ら利益を得られるようになる可能性がある。

「パーソナライズド・ヘルスケアのGoogle」

2017年、消費者向けDNA検査にかつてない需要が集まった。ある推計によれば、AncestryDNAなどの企業が個人を対象に実施した遺伝子検査は1,000万件に上った。

こうしたサービスの利用者は、一部の企業にとって本当の収益源は、医療研究を目的とした遺伝子データの第三者への販売にあるかもしれないと気づいていない可能性がある。23andMeの取締役会メンバーは、2013年にこの点を次のように説明したと報じられている。

ここでの長期的な狙いは、検査キットを販売して利益を上げることではありません……データを手にすれば、[同社]は実際にパーソナライズド・ヘルスケアのGoogleになるのです。

遺伝子と疾患の複雑な関係を理解するには、高度な統計検定が必要だ。そのため、ゲノム医療の革命を進めるには、多数のゲノムが原動力となる。

同時に、ゲノムデータからは、私たち(そして親族)に関するきわめて個人的な情報が明らかになる可能性がある。特に、非常に機微な健康データと組み合わせた場合はそうだ。個人、企業、研究コミュニティの間には、利害の対立がある。

Image: The Conversation

ブロックチェーンを基盤とするDNAマーケットプレイスは、こうした課題にどう対処できるだろうか。

DNAデータを売買するマーケットプレイスは、専用の暗号資産「トークン」を作ることで構築される。

人々は自分の(暗号化された)ゲノムデータを研究者にトークンと引き換えに販売できるようになる。トークンは現金化したり、疾患リスクレポートなどのサービス購入に使ったりできる。

すべての取引はブロックチェーン上に安全に記録される。

この業界はまだ黎明期にあり、この分野では今後さらに多くのスタートアップが登場するとみられる。この新たなエコシステムがどのようなものになるかを探るため、3社の代表者に話を聞いた。Encrypgenの最高経営責任者デービッド・コープセル、Luna DNAの最高経営責任者ボブ・ケイン、そしてZenomeの創業者の一人、アレクセイ・ゴルバチョフだ。

Encrypgen

この3つのプラットフォームの中では、Encrypgenが最も先行しているようだ。最大5人の家族(ペットを含む)のゲノムデータを無料でアップロードして安全に保管でき、医師とデータを共有できる。

消費者は、プライベートブロックチェーン上のシーケンス解析事業者のいずれかを利用するか、別の事業者からDNA配列をアップロードできる。アクセスはユーザーが管理する。別の事業者からDNAデータを取得した場合、第三者によるデータアクセスを認める契約にすでに署名している可能性がある。

誰かがあなたのゲノムへのアクセスを購入しようとすると(Encrypgenの$DNAトークンを使用)、通知が届き、承諾するかどうかを選べる。いつでもサービスから自分のゲノムを削除し、今後のアクセスを停止できるが、すでに許可した利用は継続する。

Zenome

Zenomeのプラットフォームは、多くの「ノード」(さまざまな人々のコンピューター)の計算資源を利用し、ゲノム解析を分散型で行う。ユーザーのプライバシーを守るため、ゲノムデータは分割され、どのノードにも全データのコピーが保存されない。個人情報はユーザー自身のコンピューターに保存され、暗号化される。

当初はデータを無料でアップロードできる。その代わりに、安全な保管と、健康や出自に関する無料レポートを受け取れる。ユーザーはZenome DNA(ZNA)トークンを使ってアクセス権を販売し、解析サービスを購入できる。

Luna DNA

研究への包括的な同意を提供すれば、ユーザーはLunaの保護されたデータベースにデータをアップロードできる。健康データなどの重要な情報を提供する見返りに、Luna Coinを受け取る。

この包括的な同意により、学術研究者や製薬会社などの関係する第三者は、料金を支払って個人を特定できないデータを用いた探索研究を行える。Lunaはユーザー情報を明かさないが、第三者が特定の遺伝子型を対象とする臨床試験に関心を持った場合、ユーザーの同意を得たうえで、両者の紹介と関係構築を支援する。データベースが拡大するにつれて、その価値も高まる。

Luna DNAは当初、解析サービスを提供しない。主な目的はゲノム研究を可能にすることだ。

これであなたは裕福になれるのだろうか?

おそらく無理だろう。ゲノムの金銭的価値を見積もるのは難しく、データの新たな用途が見つかるにつれて、その価値も高まる可能性がある。Zenomeの推計によると、23andMeは100万件の遺伝子型へのアクセスを製薬会社に販売し、これまでに1億3,000万米ドルを得た。遺伝子型1件当たりに換算すると130米ドルとなる。

こうしたシステムに関連して、ヘンリエッタ・ラックスの事例が取り上げられている。本人の同意なく採取された彼女の細胞株(HeLa)は、医療・生物学産業に計り知れない富をもたらした。一人分のゲノムだけで、これほどの巨額の利益に直接つながる可能性は低い(ただし、その可能性を否定することはできない)。

最も可能性が高いのは、薬物試験への参加など、研究への利用を目的にデータへのアクセス権を販売し、その参加から生じる特許の所有権を認めない契約に署名することだ。

研究におけるゲノムの価値は、心疾患の家族歴など、そのゲノムに付随する医学的に関連したデータの量と質に大きく左右される。

他のゲノムより研究者の関心を引くものもある。例えば、110歳を超えるスーパーセンテナリアンのゲノムだ。希少な遺伝子型を持つ人や、特定の疾患を抱える人も、研究目的でより望まれる可能性が高い。

この仕組みにはリスクがあるだろうか?

  • 使いやすさと十分な説明に基づく同意:暗号資産の売買には、現時点で技術的な難しさがある。同時に、ゲノムデータへのアクセスに同意し、アクセス要求がもたらす影響を理解することも複雑になり得る。人々がDNAのプライバシーを管理できるようにするという目的を各社が達成するには、データアクセス要求に何を承諾するのかを明確に説明する必要がある。

  • 品質:これは取引の双方に関わる問題だ。例えば、カップルの赤ちゃんがどのような容姿になるかを予測するなど、科学的根拠が疑わしい消費者向けDNAサービスがいくつもある。サービスが確かな科学に基づいているかどうかを、ユーザーが見極めるのは難しいかもしれない。一方、こうしたプラットフォームは遺伝学研究に役立つデータを提供したユーザーに報酬を与える。そのため、誤解を招く、あるいは不正確な健康データの提供を促してしまうおそれがある。

  • 価格設定:暗号資産は価格変動が非常に激しいことで知られ、法的な位置づけもまだ明確になっていない。より広く言えば、DNAマーケットプレイスができることで、ゲノムデータへのアクセス費用が高騰するおそれもある。販売できるのに、人々は研究のためにDNAを提供し続けるだろうか。EncrypgenとZenomeは、データアクセスの価格は自由市場で決まると述べた一方、Lunaは非営利団体と企業で異なる価格を想定している。Zenomeは、研究者が自らデータを生成する必要がなくなれば、総費用が下がる可能性があると指摘した。

  • プライバシーとセキュリティ:ブロックチェーンは安全だが、完全無欠な技術はない。法執行機関が企業にDNAデータの共有を迫るおそれもある。EncrypgenとZenomeは、個人を特定できない方法でデータを保管していると述べた。Lunaは個人を特定できるものの、外部機関にはアクセスを認めないと述べた。

  • 一元化:世界のゲノムデータの大半が単一のプラットフォームに集まれば、企業が今後も倫理的に行動し続けるという信頼を社会が寄せることになる。

ゲノムデータを管理する

どのようなシステムにもリスクがあり、これらのスタートアップはまだ始まったばかりだ。実装の過程で各社がこうした課題にどう対処するかは、今後を見なければ分からない。

DNAそのものとそのデジタル表現の実際の所有権は、現時点では法的に不明確だ。プライバシーポリシーで、自身のデータの所有権とその利用を管理する権利が明確に示されている場合、人々はゲノム研究に参加しやすくなることが研究で示されている。

法的な状況にかかわらず、これらの企業が提案する仕組みは、個人にゲノムデータの管理権を与えるものとなるはずだ。これは正しい方向への一歩のように思われる。

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