この記事は、 Futurityとの協力により掲載されています。
研究者らは、これまでに作られた中で最も小さい埋め込み型LEDかもしれないものを備えた神経プローブを開発した。
この新しいプローブは、多数の個々のニューロンの活動を制御し記録することができ、単一のニューロンの活動の変化が隣接するニューロンにどのように影響しうるかを測定する。
マウスでプローブを試験したこの研究チームは、その設計に基づくプローブを用いた実験が、アルツハイマー病などの神経疾患の理解と治療における画期的な進展につながる可能性があると見込んでいる。
「これは非常に大きな前進です」と、本研究に関わったミシガン大学名誉教授のKensall Wise氏は述べる。「生体の脳内で、プローブ上でこうした光学信号を生成できるという事実は、新たな扉を開くものです。」
約1000億個のニューロンのネットワークがヒトの脳を機能させており、それらがどのように連携して働くのかを解明することは、途方もなく重要な課題だと研究者らは述べる。
「現在、数億人が神経疾患に苦しんでいますが、脳についての科学的理解が不足しているため、治療法や薬剤は現状では非常に限られています」と語るのは、電気工学・コンピュータサイエンス分野のポスドク研究員で、その研究結果を報告する新たな論文の共同筆頭著者であるFan Wu氏だ。同論文は 『Neuron』誌に掲載されている。
「私たちは、脳の仕組み、そして脳がなぜうまく機能しないのかをよりよく理解し、これらの問題の解決を試みるために必要なツールを開発しました。」
ニューロンと同じ大きさのプローブ
遺伝子改変されたげっ歯類では、光によってニューロンのオン・オフを切り替えることができる。通常、この「オプトジェネティクス」と呼ばれる手法を用いる神経科学者は、埋め込まれた光ファイバーを通じて脳の領域に光を当て、その反応を2つ目の装置で記録する。これにより、どの脳領域がどの行動を司っているかが明らかになる。しかし、ニューロン同士がどのように互いに通信しているかは明らかにできない。
新しいプローブはそれを明らかにできる。プローブアレイには12個のLEDと32個の電極が含まれている。マイクロLEDはニューロンの細胞体と同程度の小ささであるため、単一のニューロンのオン・オフを切り替えることができる。一方、マイクロ電極は単一ニューロンのレベルで活動を計測し、ある1つのニューロンの挙動の変化が周囲のネットワークにどう影響するかを報告する。
「これで、単一の細胞の活性化に対して、近接する細胞とより遠くの細胞がどのように反応しているかを知ることができるようになりました」とWu氏は述べる。「これにより、これらの細胞同士がどのように通信しているのかをよりよく理解できるようになるでしょう。」
記憶を探る
プローブはミシガン大学で作製されたが、その実証実験は、実験神経科学の第一人者であるGyörgy Buzsáki氏の研究室があるニューヨーク大学で行われた。現在テルアビブ大学の神経科学助教授であるEran Stark氏は、これらを用いてマウスの脳内で信号がどのように伝わるかを測定した。彼は、短期記憶と長期記憶を司る脳の領域に焦点を当てた。
[光がニューロンを興奮させる際、プローブが「メモを取る」]
「マイクロLEDプローブを用いることで、神経回路内で信号がどのように伝播するかを解明できるかもしれません。それにより、記憶がどのように形成され、想起され、置き換えられるのかを理解できるようになります」と、ミシガン大学電気工学・コンピュータサイエンス学部教授でプロジェクトリーダーのEuisik Yoon氏は述べる。
この概念実証実験では、刺激を受けた際に、海馬の表層と深層のニューロンが異なる種類の脳波を生じることが判明した。今後の実験では、これらの波が記憶とどのように関連しているかを探る予定だ。
米国国立衛生研究所と米国国立科学財団が本研究に資金を提供した。
掲載は、世界経済フォーラムによる見解への賛同を意味するものではない。
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著者:Catharine Juneはミシガン大学電気工学・コンピュータサイエンス学部に所属し、Futurityに寄稿している。
画像:MIT博物館で開催されたMIT 150展のプレスプレビューにて、患者「H.M.」の脳切片のディスプレイの前を歩く女性。REUTERS/Brian Snyder。

