ドローン、データ、AIが不動産業界をどう変えているか

Michael Perry, Director of Strategic Partnerships of DJI, flies a drone in Shenzhen, China December 18, 2015
'Proptech' harnesses digital tech to change the way we buy, sell and think about property.Image: REUTERS/Bobby Yip
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手のひらほどの大きさのドローンが、シンガポール中心部の高層ビルを地上50メートルの高さで飛び回る。建物の輪郭をなぞりながら、機体はひび割れを探し、上昇するにつれて建物の外壁の温度を記録する。5キロ離れた部屋にいる男性は、デスクトップ画面でドローンのカメラ映像をリアルタイムで見ている。彼はデータを分析し、ほかの何百棟もの建物から収集された情報と組み合わせる。

プロップテック3.0へようこそ。不動産とテクノロジーが融合し、自律型ドローン、ビッグデータ、人工知能(AI)が一体となって不動産業界を変革する時代だ。私はキャリアを通じてずっと不動産業界に携わってきたが、多くのことが急速に変化しているのは明らかだ。たとえば、物件管理担当者を建物に派遣して手作業で点検し、結果を記録する代わりに、今ではスマートロボットが各作業を驚くほどの精度でこなせる。人々はその分、より高度な業務に集中できる。データを分析して必要なメンテナンスを先回りして把握し、計画を立てることで、組織は数百万ドルのコストを削減できる。

都市が不動産に特化したこの新技術を取り入れ始めるにつれ、こうした光景はますます一般的になるだろう。アジアでは、プロップテックの研究開発への投資が増加している。しかし、デジタルソリューションがもたらす可能性について、業界はまだ表面をなぞっているにすぎない。

2012年以降のアジア太平洋地域におけるプロップテック投資Image: 上海日報

プロップテックの第一波、すなわちプロップテック1.0は、シンガポールのPropertyGuruなど、住宅物件のオンライン掲載サイトを提供するスタートアップの形で、2007年に本格化した。

プロップテックの第二波は2013年に到来した。先行企業間の競争が激化し始め、データ分析や仮想現実などの能力を開発して、顧客により良く、専門性の高いサービスを提供するようになった。

ほどなくプロップテック3.0が続いた。2014年には一部のスタートアップが、ドローン、仮想現実ツール、ブロックチェーンなどの新興技術を試し始めた。ブロックチェーンとは、システム内で行われたすべての取引を複数のコンピューターにわたって記録する、暗号技術で保護された台帳である。

不動産の未来はここにある。

アジアとプロップテック革命

プロップテック第三波の中心に位置するのはアジアだ。JLLの新しい報告書「Clicks and Mortar: The Growing Influence of Proptech」によると、2013年以降、世界のプロップテック系スタートアップに投じられた78億ドルのうち、約60%に当たる48億ドルがアジア太平洋地域のスタートアップに投資された。域内で不動産需要が拡大し続けるなか、投資が鈍化する兆しはない。

プロップテックは欧州や北米でより定着しているが、業界のイノベーションと普及を大きく牽引するのはアジアになる見込みだ。主要な新興市場を見ると、資金調達を受けたプロップテック系スタートアップの数ではインドが首位に立つ。一方、中国はスタートアップの数こそ少ないものの、2013年以降、アジア太平洋地域の資金の約60%を集めている。

これは驚くことではない。これらは潜在顧客が増え続ける巨大な不動産市場だ。アジア全域で中間層が拡大している。ブルッキングス研究所の2015年の推計によると、同地域の中間層は世界の中間層の46%を占め、消費額は10兆ドルを超えた。また、この地域はテクノロジーへの適応力も高い。アジアは世界のインターネット利用者のほぼ半数を占め、スマートフォン経由のインターネット通信量も世界で最も多い。

次なる変化の波

プロップテックは主に三つの方法で不動産を変えると私は考える。不動産計画の効率化、より透明性の高い市場の創出、そして建物の使い方の変革だ。

第一に、テクノロジーによって大規模な不動産ポートフォリオをリアルタイムで監視しやすくなり、不動産計画の進め方が大きく変わる。実際、すでにその可能性を取り入れ始めた国もいくつかある。

シンガポール政府は、スマート・ネーション構想を通じて、新たな都市計画技術の導入を進めている。たとえば、シンガポール国立研究財団はバーチャル・シンガポールを立ち上げた。これは都市全体を仮想の3Dモデルに再現する取り組みだ。7,300万シンガポールドルのこのプロジェクトにより、民間部門は建築技術や建物管理を含む新たなソリューションを試すことができる。

第二に、テクノロジーが不動産市場に与える影響は計り知れない。これまで同市場は情報の非対称性が特徴で、売り手が投資家や買い手に対して優位に立っていた。プロップテックはその状況を一変させつつある。

ビッグデータを活用すれば、不動産の動向を追う人々や投資家は、不動産のトレンドや市場の動きを正確に予測できる。シンガポールでは、ある企業が、手作業で査定する代わりに、類似市場の分析とアルゴリズムを組み合わせて物件価格を算出する計算式を開発した。仮想現実を使えば、買い手は玄関をくぐる前に物件を見て回ることもできる。

同様に、取引を大きく変えるブロックチェーン技術には、「スマートコントラクト」を介したオンラインでの住宅購入を実現する可能性がある。これにより紙の契約書を事実上なくし、所有権移転の手続きを簡素化でき、数千ドルを節約できる。

第三に、テクノロジーは建物の使い方を大きく変える。アジアの多くの地域で、住宅はもはや人を住まわせるための単なるレンガとモルタルの建物ではない。

スマート技術とモノのインターネット(IoT)を使えば、住人は赤ちゃんの様子を見守ることから家電の管理まで、あらゆることができる。たとえば、インドのテクノロジー企業Digital Gorkhaは、アプリを通じて住宅の安全を確保し、訪問者を管理できるようにしている。そのため所有者は、修理技術者や請負業者などの訪問者を迎えるために、その場にいる必要がなくなる。

新技術によって、住宅がエネルギーを生産することさえ可能になった。中国では、Seederなどのスタートアップが北京の建物に太陽光パネルを設置し、大気汚染で知られる同市の二酸化炭素排出量を削減している。こうして生み出されたエネルギーの一部は、電力網に売り戻すことができる。

しかし、私たちが目にしているのは、プロップテック3.0の波の始まりにすぎない。3Dプリンティングや暗号資産などの新興技術は、不動産業界にさらに浸透しようとしている。

そう遠くない将来、建物全体を3Dプリントできるようになるかもしれない。シンガポールの南洋理工大学は、巨大な3Dプリンターで高層ビルの全階を印刷する方法を研究している。一方、中国のWinSunは、内装に装飾を施した5階建ての建物をすでに印刷したと主張している。

これらは、テクノロジーが不動産業界をすでにどのように変えつつあるかを示す、ほんの一例にすぎない。物事が変化し、その変化が急速に進むことは明らかだ。

実際、アジアの発展が続くなか、プロップテックは地域各地の都市の物理的な変革を促す重要な原動力となり、不動産の新時代の基盤を築くと私は確信している。

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