壊滅的な地震がトルコとシリアを襲うなか、ブロックチェーンコミュニティは緊急資金を集める取り組みを拡大しました。
ブロックチェーン上の記録によると、暗号資産による数百万ドルの寄付がすでにトルコとシリアに送られています。
ブロックチェーン業界によるこうした人道支援の事例は、現地の人々に支援を届ける方法を示しています。
壊滅的な地震が2度発生し、さらに数百回の余震がトルコ南東部とシリア北西部を襲った後、ブロックチェーンとWeb3のコミュニティは結束し、被災者への認知向上と支援に取り組んできました。衛生環境、医療、食料供給、安全な水へのアクセスが損なわれた人は、今も増え続け、2,300万人を超えています。
これまでに、暗号資産で590万ドル余りの寄付が寄せられており、暗号資産が国境を越えて資金を効率的に送金する手段として有用であることを示しています。寄付を受け取った団体には、トルコ内務省の地震人道支援キャンペーン、トルコ赤新月社、セーブ・ザ・チルドレン、プロジェクト・ホープ、マーシー・コー、国際救済委員会などがあります。
さらに、バイナンス、KuCoin、テザー、OKX、Bitfinexなどのブロックチェーン企業は、地震被災者支援に900万ドル超を拠出すると表明しました。これは、政府や団体、他業界の企業による取り組みに加わるものです。Tezos、イーサリアム、リップル、アバランチも多額の寄付を行いました。
しかし、こうした善意が寄せられる一方で、多くのシリア人は世界が自分たちを見捨てたと非難しています。地震発生直後の数日間、国連をはじめとする国際社会の対応がトルコだけに集中したためです。
人道支援が政治に左右されるとき
シリア北西部では、地震で被災した主要都市で深刻な人道危機が進行しています。しかし、これらの都市には十分な海外支援も報道の注目も集まっていません。
シリア内戦が10年以上続いた結果、この地域の人口450万人のうち410万人が人道支援に頼る状況となっています。約290万人はすでにシリア国内の別の地域から避難しており、そのうち180万人は国内避難民キャンプで暮らし、地震後の最も甚大な被害に直面しています。2015年初頭以降、トルコとシリア北西部の国境は事実上、難民に対して閉鎖されており、地震で避難を余儀なくされた人々には行き場がありません。
シリア北部では緊急の国際支援が必要ですが、政治的な力学が生存者の救出や支援を妨げています。北西部で深刻化する人道危機への対応の失敗は、戦争で荒廃し、全域を掌握する勢力が存在しない地域へ海外支援を届ける難しさを浮き彫りにしています。
シリア北部への支援物資の輸送は、なぜこれほど難しいのか?
現在のシリアは、異なる勢力が統治する3つの地域に分かれています。シリアのバッシャール・アル=アサド大統領は、国土の約60%を支配しており、その地域にはダマスカス、アレッポ、ホムス、ハマなどの主要都市が含まれます。米国が支援するクルド人勢力は、ロジャヴァとも呼ばれる北東部の広い地域を支配しており、コバニ、アフリン、ジャジーラが含まれます。そして、地震の被害が最も大きかった北西部は、トルコの支援を受ける複数の反政府民兵組織が支配しています。
この3地域のいずれかに暮らす人々へ海外支援を送る際には、シリア政府が課す制限が障害となっています。同政府は一部の国際機関の地域への立ち入りも認めていません。また、支援物資はトルコ国境にあるバーブ・アル=ハワ検問所を通じてしか搬入できないため、トルコ政府の承認も必要です。

さらに問題を複雑にしているのは、この地域への支援物資の搬入が、国連安全保障理事会による6カ月ごとの採決に左右されてきたことです。2020年、ロシアはバーブ・アル=ハワ以外の援助用国境検問所をすべて閉鎖させ、支援は同盟国であるシリア政府の主権を侵害すると主張しました。
地震によってバーブ・アル=ハワへ続く道路は修復不可能なほど損壊し、国境を越えた支援活動は妨げられています。
シリアに届いた支援が、必要とする人々に届かない
2023年2月13日、国連事務総長アントニオ・グテーレスは、アサド大統領がシリアへの国境検問所をさらに2カ所、一時的に開放することに合意したと発表しました。バーブ・アル=サラームとアル=ライの検問所は、人道支援のため3カ月間開放されます。どちらも、トルコとシリア北部の国境にあります。
しかし、支援を必要とする人々に届けることは、依然として政治問題です。アサド大統領は支援のため国境検問所2カ所を一時的に再開することを認めたものの、その支援はすべてアサド政権を通じて配布するよう求めており、反政府勢力の支配地域への支援物資の搬入は主権の侵害に当たると主張しています。
これまでにシリア政府は、クルド人地域からの支援物資を積んだトラック約100台の通行を妨げています。この取り組みの運営を支援する援助団体の職員が電話インタビューでアル・モニターに語りました。安全上の理由から匿名で話したこの職員によると、シリア政府は積み荷をすべて引き渡すよう要求していました。クルド赤新月社はこれを拒否しました。「過去の経験から、すべてを自分たちのものにされるのではないかと懸念しています」と職員は付け加えました。
海外支援の政治利用に加え、国連指導部の不作為によって、地域社会、人道支援団体、国際援助国の間には不満が広がっています。「政治は脇に置くよう、皆に呼びかけています。今こそ、シリアの人々を支える共通の取り組みのもとに結束するときです」と語ったのは、シリア担当国連特使、ゲイル・ペダーセンです。
ブロックチェーンとWeb3のコミュニティができる支援
人道支援や社会的課題への取り組みにおいて、ブロックチェーンとWeb3のコミュニティは大きな力を発揮してきました。The Giving BlockやEndaomentなどのプラットフォームは、Web3の枠組みの外にある団体がクラウドファンディングのページを立ち上げるのを支援し、暗号資産の利用者が信頼を寄せる慈善団体へ直接、簡単に寄付できるようにしてきました。また、ロシアによるウクライナ侵攻後、コミュニティがいかに迅速かつ効果的にウクライナの人々を支援したかも忘れてはなりません。寄付額は1億3,500万ドル超に上りました。
しかし今、シリアは切迫した支援を必要としています。ブロックチェーンとWeb3のコミュニティは、寄付を直接届ける取り組みを主導し、支援や注目を得られていない現地の援助団体について認知を広げることができます。こうした団体は現地で命の危険を冒しながら、支援の政治利用に巻き込まれたシリア人、クルド人、ヤジディ教徒、アレヴィー派などの少数派に手を差し伸べています。
こうした団体がブロックチェーンとWeb3のコミュニティの支援を得れば、最も支援を必要とする人々に援助を届けることができます。
● バルザニ慈善財団
● 赤十字国際委員会
従来の人道支援と異なるブロックチェーンおよびWeb3コミュニティの強みは、説明責任を伴う支援物資の配布を調整し、透明性の高いクラウドファンディングを運営し、現金給付プログラムを設け、政府の統制や不正義をもたらす権威主義体制の枠外で、個人が資源の調整や動員を行えるようにする力です。
人々の命より政治が優先されてきた場所で、ブロックチェーンとWeb3のコミュニティは模範を示し、世界に忘れられたと思い続けているシリアの脆弱な立場にある人々を支援できます。
この驚くべきコミュニティの力が、人々の人生を大きく変えることができるのは、まさにこうした場面です。



