蓄電池が電力網の可能性を引き出し、電力をより手頃にする方法

A solar panel in front of infrastructure, including battery storage; sky with clouds in the background
Battery storage could optimize existing grid infrastructure to meet growing demand, place downward pressure on prices and help accelerate the energy transition.Image: AES
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  • エネルギー企業には、価格の急騰を招いたり、エネルギー転換を遅らせたりすることなく、増大する需要に応える新たな解決策が必要だ。

  • 蓄電池は既存の電力網インフラの最適化に役立つ可能性がある。必要な技術と資本はすでにある。今求められているのは、実行への決意と規制だ。

  • 成長と電力の手頃さが大きな関心事となっている米国にとって、この解決策は特に重要だが、その考え方は世界各地にも当てはまる。

電化、AI、データセンターの増加、そして世界各地で信頼できる電力へのアクセスが広がることを背景に、電力需要は急速に増加している。同時に、電力部門は手頃な価格をめぐる危機に直面している。では、エネルギー企業は消費者の電気料金を押し上げることなく、この新たな需要に応え、電力網を近代化するにはどうすればよいのだろうか。

答えは目の前にある。既存の電力網をより有効に使うことだ。約15年前、AESは発電所に代わる選択肢として蓄電池の大規模導入を初めて進めた。それ以来、蓄電池は急速に普及してきた。しかし電力業界は、蓄電池を活用して制約を十分に緩和し、電力網の慢性的な稼働率の低さに対処する機会を逃してきた。ここでいう電力網とは、電気を運ぶ複雑な送電線・配電線のネットワークを指す。

いま、世界各地で蓄電設備が広く普及しつつあることは、電池を使って既存の電力網インフラを最適化し、増大する需要に応えるとともに、価格を引き下げる大きな機会となっている。必要な技術と資本はすでに投入されつつある。あとは行動に移す決意と規制の枠組みが必要だ。

現在の電力網が抱える課題

電力網は、予備力を確保してピーク需要を満たすよう設計されている。それが信頼できる電力網の基盤だ。一方で、年間の大半の時間帯にネットワークの稼働率は低い。スタンフォード大学が最近行った米国西部の電力網に関する調査によると、需要がピークに達している時間帯でさえ、電力事業者が利用していた送電容量は、わずか18~52%にとどまった。送電線、変電所、変圧器、発電機は、需要が急増するわずかな時間や数日間に備えて、ほとんどの時間、稼働していない。

電子の流れをほぼ制御できないシステムにおいて、信頼性を確保するには、この方式が理にかなっていた。しかし、電力システムの根本的な性質は変わりつつある。政府の最新データによると、2024年に米国の系統連系待ち案件の90%超を、太陽光、風力、蓄電池などのインバーター型技術が占めた。データセンターやEV充電など、デジタルを前提とする需要源とともに、現在電力網への接続が進むこれらの技術は制御可能だ。それでもネットワークは、あたかもそれらが柔軟性を持たず、予測不能であるかのように運用され続けている。

蓄電池を含むエネルギー技術のうち、すでに米国の電力網に設置済み、または接続待ちのもの。Image: AES(ローレンス・バークレー国立研究所のデータに基づく)

とりわけ蓄電池には、まだ活用されていない大きな可能性がある。 ネットワークの制約を緩和する目的で配置・運用される、電力網向けの「ネットワーク指向型」蓄電池は、今日のエネルギーインフラに眠る大きな余力を引き出せる可能性がある。適切な政策、計画の枠組み、電力網のプロトコルがあれば、蓄電池ネットワークを通じて、既存のネットワークでより多くの電力を送ることができる。

電力網の最適化を可能にする2つの要素

この構想を実現するうえで、特に重要な要素が2つある。システムの可能性を引き出す「鍵」と、急速な拡大を可能にする「加速装置」だ。

鍵:ネットワーク指向型蓄電池

エネルギー貯蔵設備は、かつてないペースで導入されている。EIAのデータによると、米国では2025年に15 GWを超える蓄電池が電力網に追加された。この勢いが鈍る兆しはない。

現在、蓄電設備は主に価格管理や再生可能エネルギーの統合など、エネルギー面の目的で導入されている。こうした用途は今後も重要だ。しかし、蓄電池は電力網の資産、つまり電力網をより有効に活用するための柔軟な緩衝装置としても位置づけられる。送電線の稼働率が低いときには余剰電力を蓄え、送電線に負荷がかかっているときには、特定の場所で発電する設備としても機能できる。つまり、蓄電池は蓄電だけでなく送電の役割も果たせる。

まだ潜在能力を十分に発揮するには至っていないものの、すでに送電・配電システムに役立つ蓄電池の導入事例がある。

加速装置:デジタルの電力網プロトコル

デジタルを前提とする電力網資産は、インターネットに着想を得て、電力網の計画や需給調整を再構想するうえで役立つ可能性がある。

インターネットに接続された機器は、共通の通信プロトコルに従うことで、個別のエンジニアリングを必要とせず迅速に接続できる。電力網はインターネットとは異なり、物理法則と安全要件に応じた独自のアプローチが必要だが、この類推には大きな示唆がある。

電力網のプロトコルには、制御可能な電力供給源がいつ電力網に電気を送り込めるか、また、データセンターのような大規模需要家が消費量を調整してシステムに柔軟性を提供できるのはいつかを、自動的に定めるデジタルルールや要件を盛り込める。プロトコルを支える蓄電ネットワークが絶えず充放電を行えば、定められた運用条件の範囲内で、システムのバランスを自律的に保てる。これにより、電力消費者が消費習慣を変える必要を可能な限り抑えられる。

このシステムにより、計画担当者は、新たな系統連系が信頼性に影響を与えないという確信を持てる。

適切に実施すれば、エネルギー貯蔵という鍵とプロトコルという加速装置によって、プラグアンドプレイ型のシステムを構築できる。個別の系統連系調査や高額な設備更新の必要性を減らし、新たなプロジェクトの建設と電力網への接続にかかる時間を短縮できる。また、固定費をより多くの供給電力量に配分することで、価格を引き下げる効果も見込める。さらに、低炭素電源の導入を早め、エネルギー転換を加速できる。

世界は電気の時代に突入している
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蓄電池の可能性を生かす方法

これに画期的な技術や大規模な新規設備投資は必要ない。蓄電池はすでに導入が進んでいる。必要なのは、世界のエネルギー分野のリーダーが次の取り組みを進めることだ。

  • インバーター型電源や柔軟性のある負荷について、通常時と異常時に予測可能かつ安全に動作できるよう、基準とプロトコルを策定する

  • 従来型の電力網への系統連系に関する計画上の前提を近代化する

  • ネットワークの制約緩和に貢献する蓄電設備に報いる市場・規制の枠組みを整え、蓄電池を最も有効な場所に配置できるよう、開発事業者に明確なシグナルを示す

  • 近隣地域で「電力網プロトコル」の試行モデルを開発するところから始め、段階的に拡大する。

急速な成長と電力の手頃さが大きな関心事となっている米国の電力システムにとって、この解決策は特に重要だが、その考え方は世界各地に当てはまる。近代的な電力網を持つ国々も、開発の遅れや非効率な整備といった同様の課題に直面している。活用されていない設備投資が、生活を大きく変える電力ソリューションへのアクセスを制限するおそれがある。

ここで示した提言は、米国や先進国以外にも適用できる。現在、電力網を整備している国々には、今から着手することで開発を飛躍的に進める機会がある。こうした国々は、柔軟でデジタル化された電力網をゼロから構築できる。

広範な蓄電池ネットワーク

電力網がピーク需要に備えて設計されているのには、十分な理由がある。しかし、ピークをさらに押し上げるだけでなく、需要の少ない時間帯の稼働率を高めれば、接続の迅速化、クリーンエネルギー導入の加速、価格の低下など、状況を一変させる効果が期待できる。

官民の協力、適切に設計された規制の枠組み、共通のデジタルプロトコルがあれば、今日広がりつつある蓄電池ネットワークを活用して、電力網の可能性を最大限に引き出せる。実現に必要な技術はすでにある。増大するエネルギー需要に応えるため、電力網を最大限に活用する決意が求められている。

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