感情を理解するボットは、人間と機械の間に信頼を築く助けになるのか?

An employee of SoftBank Robotics walks with the Robot Assistant Pepper in Paris, France, March 9, 2018. Picture taken March 9, 2018. REUTERS/Regis Duvignau
Emotionally intelligent AI could fill key roles within the healthcare industry.Image: REUTERS/Regis Duvignau
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予約システムから顧客対応、フィードバックサービスまで、チャットボットはビジネスのあらゆる場面に浸透している。しかし、医療や家庭などの分野では、実際には高度なソフトウェアを動かすコンピューターや、人工知能(AI)によって「学習」する機械に、人々はあまり関わりたがらないようだ。

しかし企業は、感情を理解するAIの進歩を活用し、人々の信頼を得る新たな機会を切り開きつつある。特に、より繊細な話題を扱う場面でその動きが進んでいる。

患者との信頼関係を築く、感情を理解するAI

医療ほど、感情を理解するAIの活用が明らかな分野はない。製薬会社HRA Pharma Deutschlandは、ドイツの女性に緊急避妊薬について助言するチャットボットの導入を検討した際、ウェブサイトの内容をそのまま繰り返すだけでは不十分だと考えた。利用者が求めるものを質問と回答を通じて把握するだけでなく、目立たず、プライバシーを守り、利用者を安心させる必要があった。

Ellaと名付けられたチャットボットは、利用者が求める答えを見つけられていないと見られる行動を検知すると、www.pille-danach.deのウェブサイト上で起動する。質問と回答を通じて必要な情報を見つけられるよう支援し、人には話しにくい経験を共有するよう促す。

「避妊なしの性交後、妊娠しているかもしれないという耐え難い不安に直面する少女や女性のために、親身で信頼でき、気軽に話せる対話相手を作りました」と、女性の健康分野のシニアブランドマネジャー、ナディーン・ショル氏は語る。「その状況では、多くの女性が強い精神的負担を抱え、誰に相談すればよいのか、疑問への答えをどこで見つけられるのか分からず、不安を感じています。Ellaは会話の設計を通じて、最も重要な質問を順に案内し、緊急避妊薬について今すぐ必要な情報を速やかに得られるよう支援します。」

感情を理解するAIへのニーズが高まっている。Image: Mindshare Futures 2017

同じく感情知能を重視する考えから、ベーリンガーインゲルハイム(BI)はTabathaを開発した。Facebook Messengerを基盤とするAIチャットボットで、ぜんそくの症状に悩む人に医療機関への相談を促す。

「医療分野では、チャットボットに感情知能を組み込むことで、非常に強力なツールになり得ます」と、BIのソーシャルメディア責任者マクシミリアン・ブース氏は語る。「Tabathaがぜんそくのある人々と、親しみやすく、共感的で、情報に基づいたやり方で対話することが重要でした。医師のふりをすることなく、ぜんそくの症状があるかどうかを本人が認識できるよう導くため、Tabatha自身も感情を理解しているように振る舞う必要がありました。」

Tabathaは感情を認識する方法も学習し、人々が感情を表現したときに何を意味しているのかも理解できるようになったと、ブース氏は言う。自分がチャットボットであることを明かしているが、それでも何千人もの人々が会話を続けている。「Tabathaにぜんそくの症状や、それによってどんな気持ちになったかを話してくれる人がこれほど多いことに、本当に驚きました」と同氏は付け加える。

BIは、最近設立したデジタル研究所BI Xで、感情を理解するAIの取り組みを続ける計画だ。アルツハイマー病などの早期診断を支援するデジタルバイオマーカーの分析など、複数のプロジェクトに取り組んでいる。

世界規模のPRにおけるチャットボットの活用

感情を理解するAIが役立つのは医療分野だけではない。BIとTabathaのプロジェクトで協業したCohn & Wolfe Londonのヘルスケア担当マネージングディレクター、キャサリン・ケディ氏は、コミュニケーションやマーケティングを大きく変えるツールと見ている。

「AIはコミュニケーション業界で大きな可能性を秘めています。たとえば、チャットボットを活用すれば、医療広報における患者との関わり方を一変させることができます」と同氏は言う。「世界規模のPRプログラムにおけるチャットボットの活用は、まだ始まったばかりで、製薬業界ではなおさらです。私たちにとって、疾患啓発プログラムを進化させるうえで理想的な解決策でした。」

スウェーデンに拠点を置くFurhat Roboticsは、教育や高齢者医療から認知療法まで、感情を理解するAIの活用機会があると考えている。同社は「ソーシャルロボティクス」と呼ぶ技術を用い、作業をこなすだけでなく、人間が理解できる形で人と関わるロボットを開発している。

フランクフルト空港のコンシェルジュロボットは同社の開発例の一つだ。Furhatはスウェーデンの学校での実証試験の開発にも協力し、ホンダとは「スマート」な介護施設の開発で提携した。「人間は社会的な生き物で、身の回りのほぼあらゆるものに感情で反応するようにできています」と、共同創業者兼CEOのサメル・アル・ムバイエド氏は語る。「ソーシャルロボットを作ることで、人間に備わった感情知能の仕組みを生かし、人間の流儀に合わせてコミュニケーションできる可能性があります。そうすれば、ロボットはもっと根本的で大きな影響をもたらす形で、人間と関わることができます。」

「ソーシャルロボットを作ることで、人間に備わった感情知能の仕組みを生かし、人間の流儀に合わせてコミュニケーションできる可能性があります」

「感情を理解するAIはまだ黎明期にあり、多くの進歩が特定の分野に目に見える影響を及ぼすまでには数年かかるでしょう。人間が機械よりも人間との対話を望む場面は数多くあります。しかし現実には、受付、ショッピングモール、診療所の待合室、教室など、そうした場面で人間の存在はますます少なくなっています。

「長期的に何が起こるかを予測するのは難しいですが、感情を理解するAIが、法律、医療、製造、輸送、さらにはクリエイティブ産業まで、あらゆる分野に大きな影響を及ぼす可能性は十分にあります。」

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