人々の仕事観は、仕事を単なる収入源と捉えるものから、充実感、帰属意識、目的意識も得られるものであるべきだとする考えへと変化しています。
仕事と個人の価値観を一致させ、職場で帰属意識を育むことは、社会の結束に欠かせません。また、急速に変化する世界で人々が貢献できるよう、デジタルスキルの研修を提供することも重要です。
人工知能(AI)はすでに、学び方、働き方、生き方を変える大きな力を示しています。今後も、人間と機械が現在そして未来にどのように協働するかに影響を与え続けるでしょう。
今日の世界では、人々の安全への欲求や、自分自身と家族を養えるという確信を基に政権が選ばれることがよくあります。多くの西洋社会は、急速な変化や技術の進歩の影響を受けながら、こうしたニーズへの対応と経済成長の推進を同時に進めなければなりません。このような環境で、人々の人生や仕事に対する見方も変化しています。
最も基本的なレベルでは、働くことは人間の活動に欠かせない要素です。人々が生計を立てるうえで大きな役割を果たし、その暮らしを形づくるとともに、機能する経済と結束力のある社会に貢献します。
しかし、社会的・文化的な変化、世代や人口動態の変化、技術の進歩といった大きな潮流によって、労働市場も変動しています。その結果、今日、多くの人が抱く仕事観は、ほんの数年前とも異なっています。
仕事の形は人やコミュニティによってさまざまですが、仕事は単なる金銭的利益の源ではないという考えが、ますます共通認識になっています。今では多くの人にとって、仕事はさらに充実感、目的意識、意味をもたらすものとなり、誰もが公平な機会を得られる可能性を高めています。
社会の結束を左右する振り子
仕事を個人の価値観に沿わせ、帰属意識を育むことは、社会の結束に欠かせません。家庭と職場の境界がしばしば曖昧になる世界で、人々は自分の価値観と仕事生活を一致させる方法を模索しています。個人が自分の人生を主体的に切り開く必要がある一方で、組織にも、人々にとって包摂的で、柔軟かつ意義のある企業文化をつくる責任があります。
企業のビジョンと戦略にも沿った、価値観に基づく企業文化は、あらゆる組織の基盤を成す重要な要素であるべきです。これには、尊重や開放性といった価値観への明確な姿勢を示すことだけでなく、イノベーションを重視することも含まれます。
こうした企業文化のもとでは、個人と組織の成長や発展を促す環境を整えることも重要です。それにより、デジタル変革の中でも人々と企業がレジリエンスと競争力を保てます。例えば、世界経済フォーラムの「Future of Work(仕事の未来)」、「Good Work Alliance」、「Reskilling Revolution」などの取り組みを通じた官民連携は、企業やその他の組織が互いに学び、ベストプラクティスを共有する助けとなります。
人々が成功し、世界の労働力の一員として活躍し続けるために必要なツールや、リスキリング、スキルアップの機会を得られるほど、社会的不平等が拡大するリスクは低くなります。さらに、企業が透明性と前向きなインパクトを通じて信頼を高めるほど、私たちは社会全体のウェルビーイングを向上させられます。
生産性とイノベーションを高める道筋
世界の多くの地域では、景気後退に直面すると同時に、熟練労働者の不足にも苦しんでいます。しかし、2030年までに推定1億7,000万件の新たな雇用が生まれる一方、9,200万件の雇用が失われます。今日の課題の一つは、どのような新しい職務が生まれ、どの職務が変化し、その変化を何が引き起こしているのかを見極めることです。
とりわけ、人工知能(AI)は、私たちの学び方、生き方、働き方に変革をもたらしています。朗報は、AIが高齢化し縮小する労働力を支え、組織の生産性を高め、デジタル変革を加速させる可能性を持つことです。一方で、この技術には倫理面やセキュリティ面の懸念も伴い、それらに対処しなければなりません。
人間が機械やAIに取って代わられるという懸念が高まっています。AIは本来、人々に力を与え、人間の知性を拡張し、効率と生産性を高めるために活用すべきであり、人間に取って代わるものであってはなりません。投資収益率を大規模に監視・測定し、慎重な導入(EUのAI法やその他の高品質で信頼できる基準に基づく)と意義ある目的を支えるには、信頼され、規制の整ったエコシステムにAIを組み込むことが重要です。つまり、 人々とそのもたらす影響を第一に考えることです。
組織は、AIを責任ある、安全で、法令に準拠した形で利用するためのガードレール、すなわち倫理基準や指針を導入しなければなりません。人間の利益のために人間と機械が協働する、AIに精通し、競争力があり、未来に備えた労働力の育成に取り組む必要があります。
分断が深まる時代における安定と繁栄
急速に変化する世界の影響は、私たち全員に及んでいます。すべての人に経済的安定をもたらす社会を築くには、誰もが貢献できなければなりません。コミュニティ全体を排除したり、多様性がもたらす恩恵を無視したりする余裕は、もはやありません。世界が現在直面している課題を解決するには、こうした独自の視点が必要です。この共通の目標に向けて協力するときです。
働き方を見直し、現在の環境に適応させることは、そのためのよい第一歩です。周囲の変化の速さに対応するには柔軟性と働き方の迅速な見直しが求められ、それによって人々と組織は成長できます。あなたの行動はよい影響をもたらしていますか。今の働き方は、あなたやあなたの事業にとって機能していますか。あなたと、あなたが責任を負う人々には、成功し繁栄するために必要なツールがそろっていますか。
今すぐこの変化を受け入れなければ、私たちは未来を危うくします。しかし、AIなどの問題に関する難しい倫理的検討を避けてはなりません。目的と善意を持ち、人々とともに、人々のために進められないのであれば、どれほどの進歩にも価値はありません。


