少なくとも1818年にメアリー・シェリーがヴィクター・フランケンシュタインとその象徴的な怪物を生み出して以来、人類は、自らの存在を脅かしかねない人工の存在に異様なほど魅了されてきた。アンドロイドが暮らす遊園地を描いた米国のテレビドラマ版「ウエストワールド」から、超知能を持つ機械が人類の滅亡を狙う「ターミネーター」シリーズまで、私たちは自らが生み出した技術が反旗を翻すかもしれないという妄想に、しばしばとらわれてきた。
『ホモ・デウス』で、ヘブライ大学のユヴァル・ノア・ハラリは、既存の技術の進歩がすでに人類を自滅への道に向かわせていると論じている。人工知能(AI)、人間より優れた判断を下すアルゴリズム、遺伝子工学の進展は、そう遠くない将来、大半の人間が不要になることを示唆している。
先月リスボンで開かれたウェブ・サミットの会議で、著名な物理学者スティーブン・ホーキングは、今後訪れる脅威と機会の両方について論じた。「効果的なAIの開発に成功すれば、文明の歴史上、最大の出来事になるかもしれない。あるいは最悪の出来事になるかもしれない」とホーキングは述べた。さらに問題は、「私たちにはまったく分からないことだ。だから、AIが私たちを無限に助けてくれるのか、無視して脇に追いやるのか、あるいは破滅させるのか、判断できない」と付け加えた。

しかし、既存技術がもたらしうる影響について厳しい警告を発しながらも、ホーキングもハラリも、私たちにはまだ自らの未来を形作る時間があると考えている。これからの変化は、政策立案者にとって重要な数々の問いを提起する。ロボット工学とAIの普及は、防衛や安全保障、あるいは雇用の将来に何をもたらすのか。そして、こうした技術革新が社会全体に利益をもたらすよう、どのようなルールを設ければよいのか。
これまで、こうした問いをめぐる主流の政治論議は限られていた。それも不思議ではない。動物のクローンの場合に見たように、政治は科学に遅れがちだからだ。欧州連合では、単一市場の規制が、それを必要とする科学的ブレークスルーから何年もたって採択されることがよくある。しかし、ロボット工学とAIに関しては、ためらっている余裕はない。
幸い、ホーキングが指摘したように、欧州の政策立案者の一部はすでにこの分野の法整備に着手している。今年2月、欧州議会は決議を採択し、AIとロボット工学を規制する新たなルールの策定を求めた。私たちは欧州委員会に対し、これらの技術の経済的利益を最大化すると同時に、一定水準の安全性とセキュリティを保証する措置を提案するよう求めている。現在提示されている提案の一部には賛同できないものの、この問題について少なくとも議論が行われていることは前向きな進展だ。
他の国々もロボットとAIに関する新たなルールを検討しているが、EUには主導権を握るまたとない機会がある。今行動すれば、EUが他国の定めた規制の枠組みに従わざるを得なくなる事態を防げる。最終的には世界共通のルールが必要となる。欧州には、そのあるべき姿の基準を定める機会がある。
まず、ロボットが引き起こす損害の責任を誰が負うのか判断できるよう、近いうちにロボットに固有の法的地位を定める必要がある。さらに、マイクロソフトの創業者で慈善活動家のビル・ゲイツが警告したように、ロボット工学と高度なアルゴリズムは多くの雇用を奪う可能性が高い。実際、世界経済フォーラムは、500万件の雇用が15の先進国で2020年までに自動化によって失われると推計している。
生産手段の継続的な変化がすでにこの傾向に拍車をかけていることを踏まえ、ゲイツや欧州議会の一部議員は、ロボットに課税することで、人間向けのサービスの財源にする案を提起している。それが最善の解決策かどうかは、今や盛んに議論されている。しかし、何らかの妥協が必要なのは明らかだ。
ロボット工学とAIは、自由主義を掲げる政治家にとって、特にプライバシーと安全に関する重大な倫理的課題も提起する。幸い、この問題では課税をめぐる議論より幅広い政治的合意がある。欧州議会は、ロボット工学の分野で働く技術者などに向けた自主的な行動規範を提案した。ロボットや関連技術が人間の尊厳を尊重して設計されるよう、倫理面と法的な基準の両方が必要だ。
最後に、欧州議会は欧州委員会に対し、ロボット工学とAIに関するEUレベルの新たな機関の設立を検討するよう求めた。公務員に技術、倫理、規制に関する専門知識を提供するためだ。世界の有力企業の推定30%が2019年までに最高ロボット責任者を置く見込みであることを考えれば、これは妥当な前進策だと私は考える。
今日の技術の進歩が新たな産業革命に匹敵するほど、私たちの生活と生計に大きな影響を与えることはほぼ間違いない。今、規制と基準を設けることで、EUはすべての欧州の人々が混乱にのみ込まれることなく、これからの変化の恩恵を受けられるようにできる。


