中国と米国は人工知能をめぐる世界最大のライバルになりつつある。ルーク対ダース・ベイダー、エイリアン対プレデター、ロッキー対イワン・ドラゴのような対決だ。
この技術で世界をリードする方向へと中国政府が舵を切ったことで、大きな期待が寄せられている。しかし、中国の野心的なAI構想は現場でどのように進んでいるのだろうか。スタートアップ企業データベースのIT JuziとTencent Newsによる調査は、中国のAI産業の強みと弱みについて新たな見方を示している。
データによると、AI開発では現在、米国が明確な首位に立っている。米国のAI企業数は中国の1.82倍だ。米国への投資額は中国の1.54倍で、人材プールは2.01倍の規模である。世界のAI企業総数(2017年6月時点のデータで2542社)のうち、米国が42%を占め、中国が23%で2位につけている。両国は英国、オーストラリア、日本、スウェーデン、シンガポールなどの先進国を上回る。
こうしたAIの強固な基盤は、早くから台頭したGoogle、Amazon、IBM、Microsoftなどの企業の支援を受けて築かれた。しかし、その差はまもなく縮まるかもしれない。中国のテクノロジー大手3社、BATもAIエコシステムの構築を進めている。BaiduにはAIアシスタント/プラットフォームのDuerOS、自動運転プラットフォームのApollo、深層学習プラットフォームのPaddle Paddleがある。Alibabaは人工知能プラットフォーム(PAI 2.0)、音声アシスタントのTmall Genie、カスタマーサービス用チャットボットのDian Xiaomiを展開している。Tencentはクラウドサービス、Angelというオープンソースのコンピューティングプラットフォーム、Wechat AI、ロボット記者のDreamwriterを開発した。
リングでしのぎを削るのは巨大企業だけではない。中国ではAI企業が、春雨の後のタケノコのように次々と誕生している。
「中国の人工知能は基本的に世界と肩を並べられるが、過去10年間の産業革命がもたらした恩恵はいずれ失われる」と、アジア人として初めてチューリング賞を受賞した姚期智氏は述べ、さらにスーパーコンピューターと理論が、中国の最大の弱点だと付け加えた。

報告書によると、米国に後れを取っているのはこれらの分野だけではない。大きな障壁の一つは、AI人材の不足だ。米国のAI人材プールは7万8,000人規模である一方、中国はその半分を大きく下回る3万9,200人のAI専門家を擁するにとどまる。その背景には質の高い教育訓練の不足がある。AI分野の世界大学トップ20のうち、16校が米国に属している。中国の現在の学術的な受け入れ能力は、需要に到底追いついていない。
産業内にも格差は見られる。中国のAI開発は、技術格差を埋めると同時に、製品の差別化と市場の需要にも注意を払う必要がある。報告書は、これらをAIスタートアップの発展における3つの関門としている。
「投資家にとって、人工知能技術産業は有望なテクノロジー産業です。大企業も中小企業も台頭し始めています」と、述べるのはIT Juziのアナリストで調査の共著者でもある李景望氏だ。「しかし、2000年のインターネットバブルのようにならないよう、投資先企業を慎重に選ぶべきです。」
中国と米国のAI専門家には、再戦の機会が数多く訪れるだろう。近い将来、AIの最重要分野となるのは、ネットワークセキュリティと不正防止、無人コンビニ、機械翻訳、医療・製薬産業、知的財産権の保護だ。AIスタートアップがそれぞれの地域の資金調達の動向に沿って成長するなか、両国は現在、異なる分野で強みを築いている。


