これはロボットが書いた文章だと見分けられますか?ジャーナリズムにおけるAIの7つの課題

Some predict that within 15 years, 90% of articles will be written by AI.Image: REUTERS/Paul Hanna - RC1E23878DA0
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数週間前、Twitterは最新の決算報告を発表しました。黒字化に向かっているように見えたことから、この発表を受けて同社の株価は上昇しました。「Twitterは第3四半期に2,110万ドルの損失を報告したものの、一時的な費用と利益を除くと、予想を上回る利益を計上した」と、ある論評者は書きました。「木曜日の取引開始前に、Twitter Inc.の株価は約9%急騰した。」

実はこの文章を書いたのは、WordSmithという人工知能(AI)プログラムでした。構造化データを、人間が書いた文章と見分けがつかない、説得力のある文章に変換します。

ジャーナリズムにおけるAIの進歩は、急速に近づくこの技術の飛躍的発展の一端にすぎません。下のインフォグラフィックが示すように、AIは、人間の領域と考えられていた多くの分野を含む、さまざまなタスクで能力を高めています。AI産業は2015年から2025年にかけて年平均成長率(CAGR)50%で拡大し、2025年までに1,270億ドル規模になる見通しです。「今後10年間、AIはテクノロジー支出を最も大きく牽引する存在になるでしょう」と、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのマネージングディレクター、サルビット・ナハル氏は述べています。

こうした成長の過程で、多くのクリエイティブ産業では、バリューチェーンが似た仕組みで成り立っているため、AIによって業務の一部が自動化されるでしょう。いずれもコンテンツの制作または収集から始まり、処理と編集を経て、配信に至ります。そしてAIがある創作プロセスの仕組みを理解すれば、別のプロセスにもすぐに応用できます。

ジャーナリズムは、創作プロセスにAIを取り入れているクリエイティブ経済の一分野です。この事例は、他の創作活動でこの技術がどのように発展し得るかを示すモデルとなります。このバリューチェーン全体で、AIはジャーナリズムの実践を3つの形で変えています。

1. 定型報道の自動化:ジャーナリズムでのAI活用は、報道範囲の急速な拡大に役立っています。AP通信は、企業決算に関する記事をAIで生成し、報道対象の企業数を300社から4,000社に増やすことができました。スタンフォード大学の研究では、証拠が見つかりました。報道対象に加わった企業では取引活動と市場流動性が高まり、市場の活性化につながったのです。

業界の別の動きとして、NarrativeScienceの共同創業者は、15年以内に記事の最大90%がAIによって書かれると予測しています。同様の技術を使えば、長い記事をソーシャルメディア向けの短いコンテンツに要約できます。これにより、ジャーナリストは時間を節約し、実際の人々へのインタビューに専念できます。

「ナラティブもデータ可視化の一形態にすぎません。若いスポーツ記者を考えてみてください。彼なら、怖くないと言うでしょう。高校野球の記事をAIに書かせれば、外に出て、もっと興味深いことに取り組めます」と、BuzzMachine創設者のジェフ・ジャービス氏は述べています。

2. より迅速な洞察の提供:AIはリアルタイムデータに即座に反応し、記事の骨子を作成できます。大規模な投資信託が公表する運用成績や運用要因分析などの四半期報告書は、以前は少人数のポートフォリオマネージャーチームが何週間もかけて作成していました。今ではAIが数秒で準備できます。

大手ニュース提供機関の一つであるロイターは、Graphiqと提携しました。Graphiqは、AIを使ってデータ可視化を作成・更新するサービスです。このツールによってデータにすばやくアクセスでき、ニュース記事に埋め込まれた後も、可視化はリアルタイムで更新されます。

3. 参入障壁の引き下げ:最後に、AIはコンテンツ制作における人の役割を減らすことができます。実際、現在すでにAIを使って、ジャーナリストがテキストから数秒で短い動画を作成できるようにしたり、現場の情報源から情報を収集したりしています。しかし、記者が不要になるわけではありません。AIを適切に活用すれば、地方・地域のニュース企業は、大規模な報道機関と競うための魅力的なコンテンツを制作できます。記事の質が一人の記者の技能や経験に左右されにくくなれば、AIを効果的に使う少数の勢いある新興企業が、現在最大手のニュース企業から読者の一部を獲得する可能性があります。

「市場にはコンテンツがあふれており、競争するには、より多く、より良いものを同時に届けるしかありません。出版社は自動化によって量を確保し、機能拡張によって質を高めることができます。それにより、他社のコンテンツとの差別化が可能になります」と、AP通信でAIを共同統括するフランチェスコ・マルコーニ氏は述べています。

クリエイティブ分野におけるAIの7つの課題

AIがジャーナリズムやその他の創作活動にさらに深く浸透し始めるなか、対処すべき7つの重要課題を特定しました。

技術的課題

1. データの利用可能性:機械学習は、パターンを見つけ、そこから学び、それに応じてシステムを最適化するのに十分なデータがある場合に最もよく機能します。人間は、似た経験がわずかしかなくても経験を類推し、最適な対応を直感的に判断できますが、AIが適切な応答を把握するには大量のデータが必要です。データを利用できなければ、AIの能力は限られます。「ディープラーニングをうまく機能させるには、数百万件のデータポイントが必要になることがあります」と、楽天のチーフ・データ・ストラテジー・オフィサー、北川拓也氏は述べています。

2. 非構造化データの理解:AIは非構造化データの処理にも苦労します。スポーツの試合結果や決算データは、標準化されたテンプレートを使えば簡単に記事に変換できます。しかし、AIがクリエイティブ経済にさらに広く普及するには、現在利用可能なデータの大半を占める非構造化データを取り込み、統合する必要があります。

3. 自己認識の欠如:AIは、なぜそのような出力をしたのか、どのようにその結論に至ったのかを説明できません。データがどのように特定の記事へ変換されるのかを理解できるようにするには、消費者に対する説明責任をAIに持たせる設計を慎重に検討する必要があります。実現方法の一つとして、特にAIが本来得意とするデータ量の多いコンテンツでは、消費者がアルゴリズムのパラメーターを調整し、結果がどう変わるかを確認できるようにすることが考えられます。ニュースに適用する場合、記事が機械と人間のどちらによって書かれたかを利用者が把握できるよう、新たなジャーナリズム基準が必要かどうかを検討する価値があります。

4. 信頼性の検証:AIは受け取った入力が正確かどうかを見分けられません。そのため、信頼性をめぐる問題が生じる可能性があります。AIが疑わしい入力を受け取れば、それに対応する出力も誤っているかもしれません。解決策は、オンラインで共有される記事の信頼性を確保する仕組みを開発し、導入することです。事実や情報源に関するメタデータやトラックバックがその一例です。

ガバナンス上の課題

5. 著作権とフェアユースの再定義:新しい技術は、クリエイティブ産業の著作権法にたびたび課題を突きつけてきました。機械学習は新たな対立を招く可能性があります。権利者がいることの多い記事、絵画、音楽など、人間が創作した「表現」作品のデータセットからAIが学習し、自らの出力を生成するためです。これは、著作権で保護された素材を、許可や使用料の支払いなしに新たな「変容的」コンテンツの制作に用いる「フェアユース」の法的解釈を試すことになるでしょう。

6. 企業の説明責任の確保:AIは法的責任を問われないため、コンテンツのバリューチェーンのあらゆる段階に人間の説明責任を組み込む必要があります。Facebook、Google、Twitterなどのコンテンツ配信事業者は、利用者の目に触れるコンテンツの相対的な価値をAIアルゴリズムが決めているため、世論に情報を届け、世論を形成するうえで比類のない力を持っています。そのため、生産手段を所有するプラットフォームには、自らが開発したアルゴリズムによる有害情報の拡散や宣伝を防ぐ責任があります。意図的に人を誤解させるコンテンツを根本から食い止めるには、より有効な対策が必要です。一方で、エンゲージメントを高める商業的な動機が強すぎて抗えないために、偽ニュースや偽情報が残り続けているのではないかという疑問も生じます。

7. 非対称な力関係の拡大:最大手の報道機関は独自のAIを開発していますが、小規模な報道機関には資金や技術的な専門知識が不足している場合があり、独自コンテンツの利用ライセンスを取得せざるを得なくなるでしょう。「開発」ではなく「購入」を選ぶことで、「AI軍拡競争」が進み、少数の企業に権力が集中することが懸念されます。AIが普及するにつれ、クリエイティブ経済の他の分野でも同様の構図が生まれるかもしれません。広告業界が収益拡大にあたってテクノロジー大手への依存を強めてきたのと同じように、他のクリエイティブ産業でも、事業の基盤がシリコンバレーによって設計される可能性があります。

こうした課題はあるものの、世界経済フォーラムはこの技術の発展に楽観的です。しかし、懐疑的な立場から、業界に規制を完全に任せるべきなのかと問うのはもっともです。OpenAIなどの組織は、「業界はAI研究に莫大な資金を投じているため、民間企業が最初の強力なAIシステムを生み出すことになる見通しだが、こうした企業には、進歩の恩恵がすべての人に行き渡ることを保証する仕組みが組み込まれていない」と指摘しています。

情報とエンターテインメントの未来に関するシステム・イニシアチブは、今後の研究で他のクリエイティブ産業におけるAIの役割を引き続き探ります。研究は今後数カ月のうちに、Mastering a New Realityプロジェクトのホームページで公開される予定です。ひとまず、この記事は生身の人間がお届けしました。

これは、一連の記事の一つです。クリエイティブ経済に対する複数の技術(仮想現実/拡張現実、人工知能、ブロックチェーン)の破壊的影響を扱っています。

引用した専門家に加え、著者らは本記事への意見やコメントを寄せてくださった次の関係者に感謝します。ロビー・アレン(Automated Insights)、安宅和人(Yahoo! Japan)、チャーリー・ベケット(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス)、曹亮亮(Hello Vera)、ヴィヴィアン・チャン(Sparrho)、 トレバー・ダレル(カリフォルニア大学バークレー校)、 ルバ・エリオット(British Interactive Media Association)、ティム・エステス(Digital Reasoning)、ジェームズ・ファン(Hello Vera)、ルチアーノ・フロリディ(Oxford Internet Institute)、スチュアート・フランケル(Narrative Science)、ドゥルヴ・グラティ(Factmata)、ジャスティン・ヘンドリックス(NYC Media Lab)、北川拓也(楽天)、タク・ロー(Zeroth)、パブロ・マルティネス・フローレス(Klustera)、 サルビット・ナハル(バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)、エド・ニュートン=レックス(Jukedeck)、イラー・ヌールバクシュ(カーネギーメロン大学)、ヴィアチェスラフ・ポロンスキー(Oxford Internet Institute)、ニック・ロックウェル(New York Times)、スチュアート・ラッセル(カリフォルニア大学バークレー校)、 ラッセル・スティーブンス(Cortico)。

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