量子コンピューティングのさらなる進展

量子コンピューティングのさらなる進展
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量子コンピューターは、その多くが理論上の装置であり、従来型コンピューターより一部の計算を指数関数的に高速に実行できる可能性があります。ほとんどの量子コンピューター設計に不可欠なのが量子誤り訂正です。これは、量子計算が依存する壊れやすい量子状態の維持に役立ちます。

理想的な量子誤り訂正符号は、量子データに生じるあらゆる誤りを訂正でき、量子ビット(qubit)のうち一度に測定するのはごく少数で済むはずです。しかしこれまで、限られた測定で機能する符号が訂正できる誤りの数も限られており、その数は量子ビット総数の平方根にほぼ等しいものでした。たとえば64量子ビットの量子コンピューターでは8個の誤りは訂正できても、10個は訂正できませんでした。

6月に開催されるAssociation for Computing Machineryの理論計算機科学シンポジウムで発表する論文で、MIT、Google、シドニー大学、コーネル大学の研究者たちは、新たな符号を提示します。この符号は、コンピューターの量子ビットのうち指定された割合(ほぼ)に生じる誤りを訂正でき、その割合は単なる量子ビット数の平方根ではありません。また、適度な規模の量子コンピューターであれば、その割合を任意に大きくできます。ただし、割合が大きいほど、コンピューターに必要な量子ビット数も増えます。

「非常に多くの異なる提案がありましたが、どれもこの平方根の壁で行き詰まるように見えました」と、研究を主導したMITの物理学助教、アラム・ハロウ氏は言います。「それを超えられることが、この研究に期待を寄せる理由の一つです。」

従来型コンピューターのビットと同様、量子ビットは1または0を表せますが、「量子重ね合わせ」と呼ばれる状態をとることもでき、その場合は1と0を同時に表します。これが量子コンピューターの潜在的な優位性の理由です。重ね合わせ状態にある量子ビットの列は、ある意味で膨大な数の計算を並列に実行できる可能性があります。

しかし、量子ビットを測定すると重ね合わせは崩壊し、量子ビットは確定した値をとります。量子アルゴリズム設計の鍵は、重ね合わせが崩壊したときに、その結果が(高い確率で)問題の解となるよう、量子ビットの量子状態を操作することです。

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しかし、重ね合わせを維持する必要があるため、誤り訂正は困難です。「1990年代には、誤り訂正は不可能だと考えられていました」とハロウ氏は説明します。「誤りが何かを突き止めるには測定しなければならないように思えましたが、測定は量子情報を破壊してしまうのです。」

最初の量子誤り訂正符号は1994年、現在MITのモース応用数学教授で、ハロウ氏の研究室のすぐ近くにオフィスを構えるピーター・ショア氏によって考案されました。量子コンピューターが大きな数を従来型コンピューターより指数関数的に高速に因数分解できるアルゴリズムという、量子コンピューティングを一躍注目させた理論的成果も、ショア氏によるものです。実際、彼の誤り訂正符号は、因数分解アルゴリズムを実装できるかどうかへの懐疑に応えるものでした。

ショア氏の洞察は、量子ビット自体に格納された値を測定せずに、量子ビット間の関係を測定できるというものでした。たとえば単純な誤り訂正符号では、1つの量子データビットを3つの物理量子ビットとして実装できます。第1と第2の量子ビットが同じ値か、第2と第3の量子ビットが同じ値かは、その値が何であるかを特定せずに判定できます。量子ビットの1つが残り2つと異なると分かれば、残り2つの値にリセットできます。

量子誤り訂正について、ハロウ氏はこう説明します。「こうした測定は常に『AはBと異なっていますか』という形です。ただしAとBの代わりに、A、B、C、D、E、F、G、つまり物の一群になることもあります。実際のシステムでは、こうした種類の測定は非常に難しい場合があります。だからこそ、一度に測定しなければならない量子ビットの数を減らすことが望ましいのです。」

時間を空間に織り込む

量子計算は、量子ビットの状態が連続して移り変わる過程です。ビットがある状態にあり、次に変更されて別の状態になり、さらに変更される、という具合に続きます。最終状態が計算結果を表します。

論文でハロウ氏らは、計算の各状態にそれぞれ独自の量子ビット群を割り当てています。これは計算の時間次元を空間次元に変換するようなものです。たとえば、時刻5における量子ビット8の状態が、時刻6における量子ビット8と量子ビット11の両方の状態に影響するとします。研究者らのプロトコルでは、この3つの量子ビットすべてに対して、前述の一致測定を行い、他の2つと一致しない量子ビットの状態を変更します。

測定によって量子ビットの状態が明らかになるわけではないため、ずれた量子ビットを変更すると、実際にはそれまで存在しなかった誤りが生じる可能性があります。しかし、それは意図したものです。プロトコルの目的は、誤りが一定の規則に従って量子ビット間に広がるようにすることです。そうすれば、量子ビットの最終状態を測定することで、値を明らかにせずに量子ビット間の関係を確実に読み取れます。誤りが検出された場合、プロトコルはその発生源までさかのぼって訂正できます。

実際に量子ビット群を複製することなく、研究者らの方式を実装できる可能性があります。しかしハロウ氏によると、この方式を効率的にするには、ハードウェアにある程度の冗長性が必要でしょう。必要な冗長性の程度はまだ分かっていません。計算の各状態に独自の量子ビット群が必要になるとすれば、コンピューターがあまりに複雑になり、優れた誤り訂正の利点を相殺してしまう可能性は確かにあります。

しかしハロウ氏はこう述べます。「疎な方式のほとんどは、論理量子ビット数があまり多くない状態から始まり、その後、より多くの量子ビットを実現する方法が見つかりました。通常、訂正できる誤りの数である距離を伸ばすより、論理量子ビット数を増やすほうが容易でした。この方式でも同じことが起きると期待しています。」

量子コンピューティングを研究するシドニー大学の物理学教授、スティーブン・バートレット氏は、ハロウ氏らの方式で追加の量子ビットが必要になることを、特に難題とは考えていません。

「数が多く見えるでしょう」とバートレット氏は言います。「しかし既存の構造と比べれば、大幅な削減です。この構成の注目点の一つは、実際にその数を大きく減らしたことです。」

「平方根『N』に制限され、かなり性能の低い符号の例は数多くありました」とバートレット氏は付け加えます。「しかし、何が可能かに上限を設けようとしたところ、その上限からは、もっと大幅に改善できる可能性が示唆されていました。ただ、そこに到達する具体的な例はありませんでした。それが人々を大いに興奮させています。今では到達できると分かっており、あとは少し実用的にするだけです。」

この記事は、 MIT Newsとの協力により掲載しています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:ラリー・ハーデスティはMIT Newsの記者です。

画像:ノートパソコンを持つ男性にバイナリーコードが投影されている様子を描いたイラスト。REUTERS

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