研究者らは、異なる二次元材料の特性を結び付け、光波を極めて高度に制御する方法を見いだした。この成果は、新しい種類の光検出、熱管理システム、高解像度画像装置につながる可能性があるという。
原子1個分の厚さのグラフェン層を、六方晶窒化ホウ素(hBN)と呼ばれる材料の同様の二次元層の上に堆積させた研究成果は、学術誌 Nano Lettersに掲載された。この研究は、MITの機械工学准教授Nicholas Fang氏と大学院生Anshuman Kumar氏が、IBMのT.J. Watson Research Center、香港理工大学、ミネソタ大学の共同研究者らとともに執筆した。
構造的にはよく似ているこの2つの材料は、どちらも六角形に配列した原子からなる二次元シートを形成するが、光との相互作用はそれぞれ大きく異なる。しかし研究者らは、こうした相互作用は相補的になり得るうえ、光の振る舞いを大幅に制御できる形で結合し得ることを見いだした。
Fang氏によると、このハイブリッド材料は特定の電圧をグラフェンに印加すると光を遮断する一方、別の電圧を印加すると「双曲性」と呼ばれる特殊な放出と伝搬を可能にする。これは光学システムではこれまで見られなかった現象だ。この特異な振る舞いにより、極めて薄い材料シートでも光と強く相互作用でき、シートに印加する電圧によって光ビームを導き、集束させ、制御できる。
「これは、極めて限られた空間で光を送受信する新たな機会をもたらします」とFang氏は述べ、光インターコネクトに大きな可能性を持つ「独自の光学材料」につながり得ると語る。多くの研究者は、光学部品と電子部品の相互接続を改善することが、より効率的な計算・画像システムへの道だと考えている。
光とグラフェンの相互作用によってプラズモンと呼ばれる粒子が生じ、光とhBNの相互作用によってフォノンが生じる。Fang氏らは、材料を特定の方法で組み合わせると、プラズモンとフォノンが結合し、強い共鳴を生み出すことを見いだした。
研究者らによると、グラフェンの特性によって光を精密に制御できる一方、hBNは光を非常に強く閉じ込めて導く。この2つを組み合わせることで、両方の利点を融合させた新しい「メタマテリアル」を作製できる。
IBMの研究者で論文の共著者であるPhaedon Avouris氏は、「この2つの材料の組み合わせは、光学過程を操作できる独自のシステムをもたらします」と述べる。
研究者らによると、材料を組み合わせることで、特定の波長や方向の光だけが伝搬できるように調整可能なシステムが生まれる。「通過させる周波数を選び、そうでないものを排除できるようになります」とKumar氏は語る。
Fang氏によると、こうした特性により、約20ナノメートルの小型光導波路を作れるようになるはずだ。これは、現在マイクロチップ上に作製できる最小の構造と同程度の大きさだ。この成果は、光学部品と電子部品を単一の装置に組み込んだチップにつながる可能性がある。研究者らによれば、個別に製造してから相互接続する場合に比べ、損失を大幅に低減できる。
IBMとミネソタ大学の研究者である共著者のTony Low氏は、「私たちの研究は、二次元材料のヘテロ構造を用いて、求める光学特性を設計する道を開きます」と述べる。
Fang氏によると、もう一つの応用可能性は、材料表面で光ビームをオン・オフできることにある。この材料は近赤外波長で自然に機能するため、赤外分光法の新たな道を開く可能性があるという。「ハイブリッド材料の表面に置かれた生体分子を、単一分子レベルで分解能よく捉えることさえ可能になるかもしれません」とFang氏は語る。
この研究に関与していないカーネギーメロン大学の機械工学助教Sheng Shen氏は、「この研究は、グラフェンとhBNにおける光の調整可能な相互作用の理解を大きく前進させるものです」と述べる。グラフェンとhBNに基づく光電子・フォトニックデバイスの開発に必要な理解をもたらす点で「非常に重要」であり、「この種のデバイスの設計に直接的な理論指針を与える可能性があります。……私は個人的に、この新しい理論研究に大いに期待しています」と語る。
研究チームには、香港理工大学のKin Hung Fung氏も参加した。この研究は、米国国立科学財団と空軍科学研究局の支援を受けた。
この記事は MIT News との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
Agendaの最新情報を受け取るには、 週刊ニュースレターに登録してください。
著者:David L. ChandlerはMIT Newsの寄稿者。
画像:アーティスト、オラファー・エリアソンによる太陽の巨大な表現作品。ロンドンのテート・モダン、タービン・ホールで開催された「ウェザー・プロジェクト」の一部。REUTERS/Peter MacDiarmid。

