破壊的テクノロジーとは、新たな価値ネットワークや市場の創出に役立つイノベーションと定義できます。しかし、こうした新技術はやがて既存の価値ネットワークや市場を揺るがし、従来のテクノロジーに取って代わります。破壊的テクノロジーは多くの場合、企業に事業への取り組み方の変更を迫ります。組織が適応できなければ、存在意義を失ったり、市場シェアを失ったりするリスクが高まります。
歴史を振り返ると、ビジネスの世界を変えてきた破壊的テクノロジーは数多くあります。パーソナルコンピューターは事実上、タイプライターに取って代わり、コミュニケーションや仕事の方法を一変させました。電子メールもコミュニケーションを変え、従来の手紙を主に置き換えるとともに、グリーティングカード業界に打撃を与えました。さらに、スマートフォンは、電卓、GPS機器、MP3プレーヤーなど、多数の機器の機能を豊富なアプリで代替してきました。
テクノロジーは進歩を続け、より革新的なソリューションが市場に登場しています。既存企業が適応しなければ、次に時代遅れとなるテクノロジーのように、淘汰されるおそれがあります。今後登場する破壊的テクノロジーを見極めることで、企業は将来に適応するための計画を立てられます。
1)次世代ゲノミクス
この破壊的テクノロジーは、ヌクレオチドの塩基対(DNAを構成する単位)を画像化する科学と、分析・計算能力を組み合わせたものです。自らのゲノム構成への理解が深まれば、遺伝子を操作する能力が向上し、医療や診断の改善につながります。現在も、遺伝子配列解析、合成生物学、分析技術は日々進歩しており、こうした情報へのアクセスが容易になるにつれて、病気の治療や食料・農業生産に影響を及ぼすでしょう。 次世代ゲノミクス は、動植物への理解にも応用でき、ありふれた生物からバイオディーゼルやエタノールのような高付加価値物質を生み出せる可能性があります。
2)モノのインターネット(IoT)
モノのインターネット(IoT)とは、日常的な物にネットワーク接続機能を持たせ、データの受信と送信を可能にするという、インターネットの発展構想です。センサー、ネットワーク接続機能、ソフトウェアを備えたこうした物は、すでに職場のあり方を変えています。例えば、建物の監視システムでは、ネットワーク接続されたカメラや錠前への更新が進み、誰かが施設に侵入しようとすると、管理者に即座に通知されます。機械や機器、さらには衣服にもセンサーが追加されることで、業務プロセス、天然資源の利用、エネルギー供給、遠隔医療、製造業に大きな変化がもたらされるでしょう。
3)クラウド
クラウド技術は近年ますます普及しており、今後もさらなる発展が見込まれます。クラウド技術は、企業内での利用や第三者機関を通じた利用など、さまざまな利用者がアクセスできる集中型コンピューティングサービスを提供します。クラウドコンピューティングは、次のようなさまざまな形でビジネスを変えると予想されます。
更新が容易に。クラウドサービスプロバイダーがクラウドコンピューティングに関する保守をすべて担うため、ビジネス界はシステムの更新状況を常に把握する必要がなくなります。
モビリティの向上。クラウドはあらゆるコンピューティング環境で利用できるため、ビジネス界のモビリティが向上します。従業員が世界各地の同僚と書類を共有したい場合も、単に自宅で仕事をしたい場合も、クラウドがそれを可能にします。さらに、インターネットに接続できる場所ならどこからでも、クラウドベースの電話システムを通じて従業員が電話を受けられるようになります。
ストレージのセキュリティ向上。クラウドは、データを保存する最も安全な方法の一つです。情報は実際に使用している端末ではなくクラウドに保存されるため、業務データにはいつでも安全にアクセスできます。
4)3Dプリンティング
3Dプリンティングとは、デジタルファイルから立体物を作るプロセスです。積層造形法によってこれらの印刷物を作ることができ、社会の多くの側面に変化をもたらしています。3Dプリンティングが進歩するにつれて、企業は顧客のニーズによりよく応えるため、戦略を適応させる必要があります。3Dプリンターは、ほぼあらゆる製品の製造方法を変え、顧客自身が製品を作れるようにする可能性があります。そのため、企業が自社製品を際立たせるには、組織のマーケティング戦略をより慎重に検討する必要があります。
5)エネルギー貯蔵
車両、代替エネルギーの生産、家電製品など、多くのテクノロジーにとって、エネルギー貯蔵は大きな制約要因となっています。 エネルギー貯蔵装置の改良 により、リチウムイオン燃料電池などで、エネルギーを後で使えるように蓄えられます。今後10年間、エネルギー貯蔵技術は進歩を続けると予想されるため、企業は競争力を維持するために、電池の設計に新たなアプローチを取り入れる必要があります。
新たな破壊的テクノロジーが登場しようとしており、企業は率先して適応する必要があります。世界のビジネスのあり方を近く変えると思われる、ほかの破壊的テクノロジーの例があれば、ぜひお聞かせください。
この記事は、次の組織との協力により公開されています。 Smart Data。本記事の公開は、世界経済フォーラムが見解を支持していることを意味するものではありません。
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著者:シニア・ビジネス・アソシエイトのピーター・デイビッドソンは、さまざまなブランドが効率的なビジネス上の意思決定を行い、効果的な事業戦略を立てられるよう支援しています。
画像:北京・三里屯地区の建設現場近くにある商業施設で、カップルがアート作品のインスタレーション「Filament Lamp」の前を歩く。REUTERS/Jason Lee


