ロケットの3Dプリントと火星での暮らしが、地球上の私たちにどう役立つのか

Planet Earth Relativity Space 3 D printed rockets
3D-printed space rockets ... 'You always have to push through something to make greatness,' says Tim Ellis, founder of Relativity Space.Image: Unsplash/NASA
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  • 米国の航空宇宙企業Relativity Spaceは、「人類を多惑星種に」し、100万人を火星に送りたいと考えている。

  • 同社はロケット全体を3Dプリントしており、世界最大の3Dプリント工場を建設中だ。

  • 宇宙探査は、気候変動や通信環境など地球上の課題への取り組みに役立つと、同社創業者のティム・エリスは世界経済フォーラムとのインタビューで語る。

火星で暮らし、人類を「多惑星種」にすることは、地球上の大きな問題への取り組みに役立つ。

そう語るのは、Relativity Spaceの最高経営責任者(CEO)兼共同創業者、ティム・エリスだ。同社は世界第2位の民間宇宙企業である。

Relativity Spaceをグローバル・イノベーター・コミュニティのメンバーに迎えている世界経済フォーラムとのインタビューで、エリスは未来に向けたビジョンを語った。

Relativity Spaceとは?

カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするRelativity Spaceは、ロケット全体を3Dプリントしている。

エリスのビジョンは、これらのロケットを使って「人類を多惑星種に」し、100万人を火星に送り込むことだ。

「私たちは世界最大の3Dプリント工場を建設しています」とエリスは説明する。「火星にインフラを構築する会社を誰かが作らなければなりません。そしてそれは、3Dプリントを基盤とする必要があります」

Relativity Spaceはどのように始まったのか?

エリスは2015年、最高技術責任者のジョーダン・ヌーンとともにRelativity Spaceを共同創業した。

2人は以前、南カリフォルニア大学のロケット推進研究所でともに働き、学生が設計・製造した初のロケットの宇宙打ち上げに携わった。

エリスはまた、Amazon創業者ジェフ・ベゾスが2000年に創設した宇宙企業、Blue Originで、3Dプリント製ロケット部品の開発にも携わった。

イーロン・マスクの宇宙企業SpaceXも、エリスのビジョンに影響を与えたという。

「6年前、SpaceXがロケットを着陸させ、国際宇宙ステーションにドッキングするのを見て刺激を受けました」と彼は語る。SpaceXに続き、Relativityは「過去20年間で、人類を多惑星種にして火星へ行くという使命を掲げた2社目の宇宙企業」にすぎないと、エリスは言う。

3Dプリントがロケット業界に革命を起こしている。画像:Relativity Space

今は地球の問題に集中すべきではないのか?

「それは、『なぜ芸術があるのか、なぜスポーツチームがあるのか』という問いとよく似ています。米国では、NFLやフットボールに宇宙計画の5倍の資金を費やしています。ですから、私にとってこれはどちらか一方を選ぶ話ではありません」とエリスは語る。

エリスは、火星へ行くことは「人間の経験の可能性を広げる」ことであり、「人間であることの意味を根本から変える」と考えている。宇宙探査は「人類に夢を抱かせ」、エンジニアや科学者から活動家、社会政策の立案者まで、誰もが「野心的で困難な課題」に挑むよう促すと彼は説明する。

「もし今日ここに座っていて、別の惑星に100万人が暮らしていたとしたら、それが人間であることに何を意味するのか、想像してみてください」とエリスは言う。

「火星には政府ができ、芸術や創造性、新しい考え方、新たなイノベーション、乗り越えるべき新たな課題が生まれるでしょう」とエリスは考えている。

「人間の経験における最大級の冒険の一つであり、最大級のイノベーションの一つになり得ると、私は心から思います」

火星へ行くことは、実際に地球上の私たちにどう役立つのか?

「宇宙技術は、地球規模で気候問題の解決に役立っています。データを収集し、そのデータを問題解決に活用できるからです」とエリスは語る。

「非常に過酷な環境にある別の惑星に100万人を送り込む話を、私たちは文字どおりしているのです。直面する課題の多くは、地球の気候問題の解決にも役立つでしょう。資源が限られているなかで、人間の創意工夫によって、より少ないものでより多くを成し遂げることが鍵だからです」と彼は言う。

Relativityが描くインターネットの未来とは?

宇宙技術は、世界各地でインターネットへのアクセスを広げることにも役立っている。

「世界には、実際にインターネットや情報にアクセスできない人が何十億人もいます」とエリスは言う。そこで同社は、「つながっていない人々をつなぐ」通信衛星を打ち上げた。

「宇宙産業は、つながっていない何十億人もの人々の通信環境を改善するうえで、大いに役立っています」とエリスは語る。

およそ37億人がインターネットにアクセスできない。世界経済フォーラムとパートナーは、EDISONアライアンスと呼ばれる取り組みを通じて、この課題の解決を支援している。これは官民のリーダーが連携し、医療、教育、金融分野でデジタルアクセスを向上させる取り組みだ。

ティム・エリスから起業家への助言は?

Relativity Spaceでは「おそらく何百回もの小さな失敗」があったとエリスは言う。エリス自身も、顧客や投資家、さらには入社する人からさえ、何千回も「ノー」と言われてきた。それでも彼は歩みを止めなかった。

「私からの助言は、とにかく粘り強くあること。そして、見えていない人がいるからといって、志を縮小しないことです」と彼は語る。

「ロケットの3Dプリントのように、一見すぐには理解されないアイデアでも、今では多くの人が可能性を信じています。偉業を成し遂げるには、何があっても突き進まなければなりません」

世界経済フォーラムへの寄稿記事で、サンフランシスコを拠点とする地球観測企業Planet LabsのCEO、ウィル・マーシャルは、宇宙技術のコスト低下が「宇宙ルネサンス」を後押ししていると述べている。

とりわけ宇宙から得られるデータは、地球上の経済、サステナビリティ、平和と安全保障という3つの主要分野に大きな影響を及ぼしていると、彼は語る。

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