本記事は当初、McKinsey & Companyが掲載したものです。www.mckinsey.com。著作権 (c) 2021 無断転載を禁じます。許可を得て転載。
新たな調査により、世界各地で中途キャリア層(45歳以上)が直面する苦境が数値化され、公平な機会を実現するための介入策が示された。
企業のリーダーは、社内のさまざまな属性の従業員のパフォーマンスを理解する必要がある。
リーダーやマネジャーは、自分に合わせてもらうのではなく、管理する相手に合わせる必要があると専門家は言う。
今回のマッキンゼー・ポッドキャストでは、Generationのグローバル創設者兼CEOであるモナ・ムーシェドが、マッキンゼーのエグゼクティブ・エディター、ロバータ・フサロとともに、Generationの最新レポートが明らかにした中途キャリア層の現状について語る。同団体は、ブラジル、インド、イタリア、シンガポール、スペイン、英国、米国の7カ国で、就業者・失業者3,800人と採用担当者1,404人を対象に調査を実施した。回答からは、地域を問わず45歳以上の労働者に対する偏見が一貫して見られた。また、この層の採用、定着、再訓練に向けて企業リーダーが取れる行動も示された。以下は、会話を編集した記録である。
中途キャリア層が直面する苦境
ロバータ・フサロ:モナ・ムーシェドは、人生を変えるキャリアを見つけられるよう、無料の職業訓練、就職支援、サポートを提供する非営利団体Generationのグローバル創設者兼CEOです。モナ、今日はご参加いただきありがとうございます。
モナ・ムーシェド:ありがとうございます。
ロバータ・フサロ:つい最近、Generationの同僚の皆さんと、45歳以上の労働者が直面する困難を扱ったレポートを発表されました。調査結果によると、この層は苦境にあり、とりわけ初級職や中級職を探す人々が困難に直面しています。米国やその他の地域における高年齢労働者の雇用状況はどうなっていますか。具体的には、どのような苦境にあるのでしょうか。
モナ・ムーシェド:経済協力開発機構(OECD)加盟国の長期失業者を見ると、その40~70%が45歳から50歳以上です。現実として、一定の年齢に達すると、就業するのがはるかに難しくなります。
7カ国で45歳以上の人々を調査したところ、63%が1年以上失業していました。18~34歳では36%でした。つまり、45歳以上になると、特に新しいキャリアへの転身を目指す場合、雇用主はあなた自身や能力を非常に異なる目で見るという厳しい現実があります。
ロバータ・フサロ:この層が苦境に陥ったり、こうした課題に直面したりすると、世界経済や社会にどのような影響がありますか。これをエイジズムと呼ぶとすれば、その影響はどのようなものでしょうか。
モナ・ムーシェド:まさにエイジズムと呼ぶべきです。2050年以降に起こることを見ると、10人に4人が50歳以上になります。
この層は、歴史上この年齢層として最も高い教育水準を持ち、医療面の成果も最良です。世界がこの人々の生産性や専門性を活用できないのは悲劇です。機会や経済的自立を得られない場合、本人の人生に何を意味するかは言うまでもありません。
認識と現実
ロバータ・フサロ:エイジズムという言葉が出ました。レポートの興味深く、逆説的な発見の一つは、採用担当者が高年齢労働者について語る内容です。採用候補者としての価値は低いと見ている一方で、すでに自社で働いている高年齢の従業員は非常に高く評価しています。これはどういうことでしょうか。二つの見方が同時に成り立つのはなぜでしょう。
モナ・ムーシェド:はい、これは調査で最も際立った発見の一つでした。採用担当者に、18~34歳、35~44歳、45歳以上の各年齢層の候補者について、どのような印象を持つか尋ねました。業種や国を問わず、採用担当者は、見た45歳以上の候補者のうち、募集職種に適しているのはわずか15~18%程度だと一貫して回答しました。
次に、採用され、何とか選考を通過した45歳以上の人々の職務上のパフォーマンスを尋ねました。すると、87%が若い同僚と同等、あるいはそれ以上の成果を上げていました。90%は、若い同僚と同等以上に長く勤続する可能性があると評価されていました。これこそ偏見の定義です。認識の例外を目にしても、偏見が根強く残ることです。これは悲劇です。
さらに際立っていたのは、こうした認識上の偏見が、調査対象の7カ国すべてに例外なく見られたことです。
ロバータ・フサロ:その点もまた興味深いですね。業界、文化、地域ごとの要因が影響すると思っていましたが、調査結果は一貫していたのですね。
モナ・ムーシェド:完全に一貫しており、その度合いも同じでした。強いか弱いかという違いではなく、まったく同じ程度だったのです。私にとって、これは目の当たりにしている大きな悲劇の一つであり、だからこそエイジズムと呼ぶべきなのです。まさにエイジズムが起きています。
リーダーが取れる行動
ロバータ・フサロ:45歳以上の労働者を職場に迎え入れるために、リーダーはどのような介入策を取れるでしょうか。新たな従業員の採用だけでなく、既存の高年齢労働者の定着や再訓練についても教えてください。
モナ・ムーシェド:どのような「イズム」もそうですが、解消には何十年もかかります。私たちはいくつかの介入策を特定しました。特に、雇用主がまず自社のさまざまな属性の従業員の実際のパフォーマンスを理解することから始まります。
次に、その事実に基づく理解が採用担当者のレベルにも浸透していることが必要です。世代間の多様性や、採用する人材の包摂性向上を求める業界団体やCEOは数多くいます。しかし現実には、多くの場合、その方針は採用担当者のレベルまで浸透していません。
何よりもまず、こうした認識が重要です。面接の方法を見直さなければなりません。従来型の履歴書選考で面接を行うと、45歳以上の多くが、求める人物像や現在使われているアルゴリズムに合わないという理由で、自動的に選考から外されてしまいます。
「45歳以上の多くが、求める人物像や現在使われているアルゴリズムに合わないという理由で、自動的に選考から外されています。」
モナ・ムーシェド
私たちのプログラムでは、実演型の面接が極めて重要だと分かっています。修了生のポートフォリオを見せてもらう方法や、何らかの形で職務を実演してもらう方法があります。関連する職務経験についてテーブル越しに話すだけでは、特に新しい職種に移る場合、経験がないこともあります。実演型の面接は、私たちが特に重視する二つ目の点です。
三つ目は、言葉遣いを明確にすることです。「この候補者は十分に柔軟か」「この候補者は当社の文化になじめるか」「この候補者は要領がよいか」といった言葉をよく耳にします。こうした言葉は、テクノロジーを理解するには年を取りすぎている、あるいは何かをする能力がないと言い換えるための引き金になります。
それらは偏見であり、思い込みです。決めつけるのではなく、確かめる方法を見つけてください。
訓練を受けることをためらう理由
ロバータ・フサロ:Generationの調査では、訓練の重要性と、中途キャリア層の多くが訓練を必要としている一方、授業への申し込みや訓練の受講に消極的な人も多いことが論じられていました。必要な訓練や新しい技能を身につける妨げになっているものは何でしょうか。
モナ・ムーシェド:まず、中途キャリア層にとって訓練が重要な理由を説明します。調査対象には、過去3年間にキャリアを転換した中途キャリア層も含まれていました。たとえば、物流業界で働いていた人が、今はテクノロジー業界で働いているというケースです。
そのグループの75%が、キャリア転換を実現するうえで職種に特化した訓練が絶対に必要だったと回答しました。そこで転換を支援するため、失業中の中途キャリア層に訓練を受けたいか尋ねたところ、58%が望まないと答えました。一見すると納得できないように思えますが、実際には人々は非常に合理的な理由から判断しています。
訓練を望まないと回答した人を見ると、70%が家計をやりくりするのに苦労しています。約60%は中等教育までしか受けていません。かなりの割合が少なくとも1年間失業していました。これらを合わせて考えると、多くの人にとって教育は良い経験ではなかったということです。
従来の幼稚園から高校までの教育は、多くの点で彼らの期待に応えませんでした。本人たちの視点からすれば、否定的な経験に戻ろうと急ぐ理由はありません。二つ目に、家族を養う必要があります。「訓練中に生活費の支給があれば、参加する気持ちはどう変わりますか」と尋ねたところ、40%が参加すると答えました。
また、それだけの価値があるのか、自分の時間を費やす意味があるのかという懸念もあります。努力してXカ月間訓練を受けるとして、その投資収益率はどれほどか。就職面接や就職保証があれば参加すると答えた人は60%でした。この層にこうした現象が見られる理由を理解することが非常に重要です。
Generationでは、まず求人枠を事前に確認します。受講者を募集し、並行してブートキャンプを実施します。ソーシャルサポートも提供します。こうした段階を終えると、受講者は雇用主パートナーとの面接に進みます。以前のためらいを乗り越えてこの層がプログラムに参加できるよう、意図的に包括的な設計にしています。
偏見は双方向に働く
ロバータ・フサロ:今のお話から、Generationが一貫して果たせる役割についても分かりますね。雇用主にとって、45歳以上の労働者を対象にすることには利点があり、その利点は他の従業員にも及ぶのではないかと思います。そうでしょうか。
モナ・ムーシェド:現実として、世代間の職場を受け入れなければなりません。人口構成がそのようになっているからです。また、若者も職場で異なる偏見に直面します。「この人は若すぎる。十分に成熟していない。本当にこの会社に長くいるだろうか」といった見方がよくあります。職場環境を変えるには、若者と中途キャリア層がより一体となって働く必要があります。若者と中途キャリア層が隣り合ってうまく働けなければ、雇用主は人材の能力を最大限に引き出せません。
ロバータ・フサロ:自動化が45歳以上の労働者や、より脆弱な立場にある人々に与える影響について、何か分かったことはありますか。
モナ・ムーシェド:自動化とデジタル化には二つの影響があります。一つは新しい種類の仕事が生まれることです。逆に、需要が以前ほどない仕事もあります。特定の職業における業務内容も変化しています。これが意味するのは、45歳以上の人は新たな役割に移るか、まったく新しい一連の業務を学ぶか、過去10年間従事してきた仕事がなくなるという現実に向き合う可能性が高いということです。こうした状況はすべて、同じ課題につながります。45歳以上の人がまったく新しいキャリアに進めるよう、どう支援するかです。
私たちが特に驚いたのは、新しいキャリアに移る45歳以上の人々を支援する世界的なプログラムが、実際にはほとんどないことです。このテーマに関する調査も多くありません。人口動態について、つまりマクロレベルの調査はあります。しかし、雇用主やプログラムの現場で、状況を変えるにはどのような介入策が必要なのかという調査はあまりありません。世界の人口構成が変化していることを踏まえれば、この層をどう支援するかを今すぐ見極め、改善しなければなりません。さもなければ、皆さんも多くの記事で目にしたはずの「シルバー津波」に圧倒されるでしょう。年金や医療費の増加など、何が起きるかを論じる終末論的な記事やレポートがあふれています。
私たちには状況を変える機会がありますが、まさに今がその時です。今こそ、これは重要だと言う時です。45歳以上の人が新しいキャリアに進めるよう支援することを、これ以上なおざりにしません。体系的に取り組みます。
深刻な絶望感
ロバータ・フサロ:世界的なプログラムが不足している点は、さらに掘り下げて検討すべき課題のようです。それ以外に、今後の発展や追加調査が必要だと感じたことはありますか。
モナ・ムーシェド:いくつかあります。一つは先ほど述べたように、傾向が非常に普遍的だったことです。国による違いがあると予想していましたが、そうではありませんでした。つまり、エイジズムは現実に存在します。新興市場であれOECD加盟国であれ、世界中で起きています。
二つ目に、45歳以上の人々に強い絶望感があると感じました。キャリア転換に成功した人の66%は、希望する賃金、業界、役割、労働時間などについて、大幅な妥協を強いられていました。この層には途方もない圧力がかかっています。彼らの切迫感は、正直なところ、若者について見られるものを上回る場合さえあります。明らかに悲劇的なことです。
最後に、45歳以上で、自国で十分に代表されていないコミュニティに属する人の場合、そうでない人と比べて、内定を得るまでに2~3倍の面接を受ける必要があることが分かりました。この結果も私たちの心に重くのしかかりました。採用過程で直面する偏見に、二重の打撃が加わるような状況だからです。
このことも、実演型の面接を実施し、雇用主の思い込みではなく、本人が実際に何をできるかを理解することの重要性を示しています。
年齢をDEI(多様性、公平性、包摂性)戦略の一部として考慮している企業は、実際には約50%にすぎません。年齢包摂を企業戦略における多様性と包摂性の重要な要素として明確に位置付けることは、すぐにできる取り組みです。二つ目は、特に企業の初級職や中級職について、年齢層ごとの経験やパフォーマンスを正しく理解することです。そして、それを採用の進め方に反映させます。
最後に強調したいのは、ポートフォリオや職務の実演による面接が極めて重要だということです。
ロバータ・フサロ:その方向への動きが見られる可能性をうれしく思います。45歳以上の労働者に見られる意外な絶望感について触れられました。実際には、それほど意外ではないのかもしれません。この点について、レポートや他の研究から分かること、あるいは対処法について、さらに話せることはありますか。
モナ・ムーシェド:私たちは、そうした絶望感があることを把握していました。来年実施する追跡調査では、この問題を取り上げる予定です。雇用主による介入策の検証も行います。今年の夏に調査を実施し公表したことを受け、来年、追跡調査を行うことを決めました。そこで、今回見つかったいくつかの現象を取り上げ、さらに深く掘り下げます。そして、雇用主、政策立案者、労働力開発プログラムの実務者が実施できる一連の小規模な介入策を特定します。この問題は残念ながら、あまりにも長く放置されてきました。45歳以上の人々の将来をより良い方向へ導くため、プログラムや政策を実際にどう変えるべきか、今こそ世界中の多くの人々が真剣に考える必要があります。
ロバータ・フサロ:楽しみにしています。モナ、とても興味深いお話をありがとうございました。本日はご参加いただき、改めて感謝します。
モナ・ムーシェド:お招きいただき、ありがとうございました。
ルシア・ラヒリー:続いて、シニアパートナーのエリック・クッチャーが語るエピソードをお届けします。彼は、より良いリーダーになる方法について、早い時期に痛みを伴う教訓を得ました。
エリック・クッチャー:私はとても若いマネジャーで、その役割が何を意味するのか、まったく分かっていないことは明らかでした。最初に学んだことの一つは、自分が良いマネジャーだと思うやり方が、必ずしも他の人にとって良いマネジメントになるわけではないということです。自分が学んだ方法や、望む管理のされ方は、相手にとってはまったく異なるかもしれません。
「最初に学んだことの一つは、自分が良いマネジャーだと思うやり方が、必ずしも他の人にとって良いマネジメントになるわけではないということです。」
エリック・クッチャー
若かったので、最初に管理を任されたのは、おそらく私より5、6歳年上のサマーアソシエイトでした。私に合っていたのは、生徒が先生にするように、マネジャーのところへ行って、その日の仕事を見せることでした。マネジャーたちは座って仕事を確認し、いくつか質問を添えて返してくれました。話し合う価値があることがあれば話し合いましたが、修正箇所もたくさんあり、私はそれが大好きでした。自分が何を問いかけるべきだったかを知り、学ぶ方法でした。そうした修正から多くを学びました。
ところが、先ほど言ったように、私より5歳ほど年上のサマーアソシエイトは、年下の人に管理されることにまったく興味がありませんでした。私がすばらしいと思っていたことは、彼女は文字どおり、何もかも嫌っていました。
最初の2、3回のやりとりでは、私はチームルームの隅に座り、彼女も自分の隅に座っていました。彼女が書類を持ってくると、私はそれを受け取り、目の前に置いて、座っていくつも修正を加え始めます。それを返すと、彼女は「いったいこれは何なの? こんなことがマネジメントだと思うの?」というような顔をしていました。
これこそ最も心を奮い立たせる方法だと思っていたのに……初めて部下からフィードバックを受けたとき、その評価は惨憺たるものでした。本当にひどいものでした。彼女を知ろうと何もしなかったからです。彼女がどう学びたいのか、どんなフィードバックを望んでいるのか、何が一番励みになるのか、何が自信を持ってより良い仕事をする助けになるのか、自分の仕事が評価されていると感じるには何が必要なのか、何も理解しようとしていませんでした。
自分に合った方法は誰にでも合うはずだと、あれこれ決めつけていました。繰り返しになりますが、若かった私は経験がほとんどなく、人によって違いがあり、スタイルも違うことに気付かされました。リーダーやマネジャーは、自分に合わせてもらうのではなく、管理する相手に合わせる必要があるのです。
それが、私にとって大きな気付きだったと思います。


