デジタルの未来で成功する鍵は、テクノロジーではなく人材

Andoroid Repliee Q2 (L) faces graduate student Motoko Noma at an exhibition during Core Technology Symposium in Tokyo October 31, 2006. Repliee Q2, with 42 actuators to generate humanlike behaviour, has been developed by the Department of Adaptive Machine Systems Graduate School of Engineering of Osaka University. REUTERS/Kiyoshi Ota (JAPAN) - GF1DTVKUSWAA
We need to find an equilibrium between machines and people.Image: REUTERS/Kiyoshi Ota
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技術革新を実際のビジネス成果につなげるうえで、テクノロジーは比較的容易に手に入ります。多くの場合、制約となるのは人材です。

企業は現在の職務を担う人材を確保すると同時に、将来の職務に備える必要があります。その多くは、現時点ではまだ存在していません。実際、近刊書『ゴリアテの逆襲』のために実施した調査では、デジタルトランスフォーメーションに適した人材がいると考えている企業は、中小企業でわずか27%、大企業でも29%にとどまりました。

また、調査を通じて、デジタルイノベーションを加速する人材を確保するために企業が実践できる6つの戦略も明らかになりました。

1. 組織に蓄積された知見を尊重する

デジタルトランスフォーメーションでは新たな技術人材に目が向きがちですが、より効果的なのは、新しいデジタル人材と、既存社員が持つ業務領域の知識を融合させるモデルです。こうした統合チームが高い成果を上げられるよう、適切な体制、インセンティブ、報酬を整えることも重要です。

2. デジタル職種・スキルセットの「3つのD」の先を見据える

各社がいま奪い合っているデザイナー、開発者、データサイエンティストに加え、デジタル分野の破壊的変化によってどのような新職種が生まれるかを探る必要があります。たとえば、製品インキュベーションマネージャー、行動科学者、顧客体験のジャーニーマッパー、ビジネスモデル設計者、ソリューション開拓者、新興テクノロジーの専門家などです。近いうちに人事部門にAI専門家が必要になるかもしれません。そうなるなら、考え始めるのは今です。

3. 先を見越したスキル開発に投資する

必要なスキルと職務を特定したら、適切な人材エコシステムの構築に投資しましょう。通常、社内人材、外部採用者、パートナー、フリーランス人材が含まれます。従業員が能力を再構築し、組織の変革に貢献できるよう、継続的なデジタル学習プログラム、社内での職務異動、スキルの組み合わせ直しを通じて支援することが不可欠です。

4. イノベーションの機会を拡大する「ベンチャー・ゼネラルマネージャー」を育てる

既存の事業部門や機能の運営に長けたゼネラルマネージャーの多くは、破壊的イノベーションの機会を推進するために必要な起業家的スキルやデジタルスキルを備えていません。そうした事業領域を率いる人材、特に将来の職務に求められる理想的なリーダー像を、私たちは「バランスの取れたT字型」のベンチャー・ゼネラルマネージャーと呼んでいます。

こうしたマネージャーには、資金調達、デザイン思考、リーンスタートアップの実行、計算されたリスクテイク、市場投入戦略の策定、ベンチャーの拡大といったスキルが求められます。それらを、対象市場に直結する製品・技術の専門知識とバランスよく備える必要があります。さらに、ベンチャー・ゼネラルマネージャー、すなわち「イントラプレナー」は、起業家のマインドセットに加え、企業にありがちな障壁を乗り越え、画期的な機会を育てて拡大するための洞察力と業務領域の知識を持ちます。

5. AIと人間の最適なバランスを実現する

AIを活用したアプリケーションやイノベーションの機会が押し寄せるなかで、本当に遅れを取らないためには、機械と人間の最適な均衡をすばやく見つける必要があります。データを最大限に活用するには、どの業務を機械向け、人間向け、あるいは両者の併用向けに最適化するかを分類しなければなりません。この分類には、リスキリング、人材構成の見直し、AIが主導する未来を見据えた適正な人員規模の確保など、難しい決断が伴います。分類を先送りすれば、競合他社に、後から覆すのが難しい優位性を築く時間を与えることになります。

6. 経営陣のデジタル対応力を高める

デジタル対応力とは、リーダーやチームがテクノロジーへの理解、顧客重視、破壊的イノベーション、実験的な姿勢、迅速に実行する情熱をどの程度示しているかを表す指標です。これは、現在のビジネスモデルを実行しながら、よりデジタル化された未来へ進化できる「二速型」の組織を実現するために、経営陣全体が備えるべき資質に焦点を当てています。

デジタルトランスフォーメーションを一人のデジタル救世主に任せようとするのではなく、経営幹部それぞれの役割を進化させ(下表参照)、デジタル対応力を生かしてデジタルの未来で勝ち抜きましょう。

破壊的変化を成功につなげる

デジタルの未来は常に変化するため、デジタルによる破壊的変化のもとで活躍できるように人材構成を見直すのは、当然ながら容易ではありません。調査の結果、人材は、企業が市場で長期的な競争優位を築くために変えるべき6つの主要領域の一つにすぎないことも分かりました。

ほかの領域には、顧客成果を飛躍的に高めること、画期的かつ継続的なイノベーションを追求すること、データを通貨のように活用すること、イノベーションネットワークを通じて加速すること、そして自社の存在意義を捉え直すことが含まれます。

求められることは多岐にわたります。しかし、勝つために適切なスキルを持つ人材を適切な職務に配置することから始めれば、適切なテクノロジーやアルゴリズム、協業する魅力的なスタートアップを選ぶこと以上に大きな成果が得られます。人に関わる部分を確実に整えましょう。

この記事は、トッド・ヒューリンとスコット・スナイダーによる近刊書『ゴリアテの逆襲:既存企業はいかにデジタル破壊者に反撃するか』をもとにしています。

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