シンガポールの子どもたちは、試験の成績で順位付けされなくなる。その理由とは

A teacher supervises students as they spray paint a model aeroplane during an enrichment class at a secondary school in Singapore October 27, 2016. Picture taken October 27, 2016. REUTERS/Edgar Su
Change is in the air as the island state rethinks its approach to education.Image: REUTERS/Edgar Su
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シンガポールは長年、詰め込み学習と長時間の勉強を奨励し、子どもたちを試験での成功へと導く教育の優等生だった。しかし、島国シンガポールは教育への取り組みを見直し、変化の兆しが見えている。

小学校低学年の児童の学習状況を把握する方法として、点数や成績に代わり、話し合い、宿題、小テストが用いられることになる。2019年から、小学1、2年生の試験は廃止される。

高学年の小学生と中学生も、競争の少ない環境で学ぶことになる。学業での成功を重視しすぎないよう、各教科の点数は小数点以下を付けず、最も近い整数に丸められる。

「学びは競争ではありません」と、シンガポールの教育相オン・イェクン氏は述べる。教育省(MOE)は、生徒の成績を比較することを抑え、一人ひとりが自らの学びの成長に集中できるようにする一連の改革を計画している。

これに伴い、小中学校の通知表には、児童・生徒がクラスの上位か下位かが示されなくなる。また、教科別・グループ別の平均点、総合得点、最低・最高評価も廃止される見通しだ。通知表では、不合格の成績に下線を引いたり強調表示したりせず、年度末に合格・不合格の結果を記録することもなくなる。

シンガポールの新たな教育方針は、OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」の教育ランキングで上位を占める近隣諸国の方針とは大きく異なる。

Image: Statista

OECDは3年ごとに、15歳の生徒を対象に科学、読解、数学の習熟度を比較するテストを実施し、世界各国の教育制度を評価している。

シンガポールは2016年、PISAの2時間の試験で対象となった主要3科目の平均得点1,655点を獲得し、試験での成功の基準を示した。上位4位はアジア太平洋地域の教育制度が占め、香港、日本、マカオが優れた試験成績を示した。

これに対し、ランキングでは英国が22位、米国が30位で、得点は1,463点と平均の1,476点を下回った。

変化する経済に必要なソフトスキル

試験で完璧な成績を収めることから、より多面的な人材の育成へと重点を移すことは、シンガポールにとって大きな方針転換だ。新たな政策は学業成績と並んで、生徒の社会性を育み、自己認識を高め、意思決定力を養うことを目指している。

島国シンガポールが成長するサービス業で働く人材を育てるなか、教室での行動や学習の進め方も、国内の職場のニーズに沿うよう改められている。

人格形成を後押しし、実社会で役立つスキルを身につけさせる一連の「応用学習」プログラムが、2023年までに導入される予定だ。プログラムでは、演劇やスポーツなどの表現活動に加え、コンピューター、ロボット工学、電子工学など産業に直結する分野も体験できる。

教育省は、従来の固定観念を変え、生徒の将来の希望が銀行業、公務員、医療の仕事に限られないよう、キャリア指導担当者のチームを配置した。

生徒の意識を変えることは、試験の重圧や厳しさのなかで育ったシンガポールの親たちの考え方を変えるより、容易かもしれない。変化への抵抗は、島内の個人指導塾にとって朗報となる可能性がある。

変わっていないものの一つが、小学校卒業試験だ。11歳または12歳で受けるこの重圧の大きな、進路を左右する試験は、従来、政府の高級職に就くための道筋となってきた。島国の教育制度におけるこの点を変更する計画はない。

仕事の未来

仕事で成果を上げるために必要なスキルは、急速に変化している。

世界経済フォーラムの『仕事の未来レポート2018』によると、2022年までに、職場で求められるスキルの平均42%が変化すると見込まれている。

Image: 世界経済フォーラム

批判的思考、リーダーシップ、複雑な問題解決といった、人を中心とするソフトスキルの重要性はますます高まる。報告書は、変化に対応するには誰もが生涯学び続ける必要があり、2022年までに従業員は101日間の研修またはスキル向上訓練を受ける必要があると警告している。

シンガポールのような経済圏は、こうした変化に対応するため、教育制度を適応させている。これからの仕事の世界で、誰がクラスのトップに立つのかは、まだ分からない。

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