米国で深刻化する巨額の学生債務問題を背景に、アイビーリーグの大学が、教育機関に何ができるかを示す例となっている。
ブラウン大学は来年度から、学部生向けの財政援助制度に含まれる学生ローンをすべて廃止し、奨学金に置き換える。9月に始まった3,000万ドルの資金調達活動を受け、ブラウン大学の幹部は今週、目標に向けて2,087人の寄付者が寄付したと発表した。また、ロードアイランド州プロビデンスにある同大学は、奨学金の給付を継続するため、さらに9,000万ドルを集める計画だ。
この取り組みは、学部生向けの財政援助全体に5億ドルを集めるという、ブラウン大学が2015年に掲げた目標の一環である。大学のクリスティーナ・パクソン学長は声明で、「社会経済的な背景にかかわらず、最も優秀で才能ある学生をブラウン大学に迎えるという私たちの決意を強める」と述べた。
この決定は、中低所得層の学生やその家族の経済的負担を軽減するだけではない。競争力を保つため、米国の一流大学は互いの動向を注視している。ブラウン大学の動きは、同等の大学に対し、財政援助にも同様に目を向ける時期だというメッセージを送っている。特に、大学の学位取得にかかる費用が25万ドルに達するほど急騰している今、その意義は大きい。同じアイビーリーグのイェール大学とプリンストン大学は、いずれもローンを課さない方針を導入している。一方、多くの他の一流大学は財政援助に所得制限を設けているため、中間所得層の家庭よりも低所得層の家庭のほうが有利な援助を受けられる。
ローンを課さない方針には、もう一つ利点がある。高額な授業料を一応は払えるものの、大きな苦労を伴う中間層の人々を支えられることだ。ブラウン大学は、同大学や一部の他大学が低所得世帯に提供する手厚い財政援助の対象にならないことが多い一方、大学進学費用を賄うだけの資力もない中所得世帯が直面する「課題」に、特に取り組みたいとしている。これは、他の大学にも対応を促すものだ。

