メタバースは教育にどのような影響をもたらすのか?

Mixed race child with vr virtual reality goggles in classroom with his friends. Multiethnic pupil having fun with virtual reality headset at elementary school. Happy boy gesturing while using VR headset in classroom.
The metaverse is an embodied internet where you’re never alone.Image: Getty Images/iStockphoto
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  • 21世紀に入り、学習産業は大きく進歩しました。メタバースの登場は、能力開発に大きな影響をもたらします。

  • この技術の初期の活用事例からは、さまざまな形で教育の機会を広げる可能性のある学習機会が見えてきます。

  • ここでは世界銀行が、メタバースが学習に好影響を与える6つの方法を詳しく解説します。

メタバースをめぐる熱狂は最高潮に達しています。これは、発展途上地域が時代遅れのeラーニングプログラムを飛び越え、常時利用可能な新しい体験型学習の機会に満ちた世界へと進む、またとない好機です。

学習産業は、1990年代後半にeラーニングを生み出したPCインターネットブームから大きく進歩しました。モバイルコンピューティングとソーシャルメディアの第2の波は、短い動画を使ったオンデマンド学習を通じてマイクロラーニングをもたらしました。業界の動向を追う人々は今、コンピューティングの第3の時代が到来したと指摘しています。PCやスマートフォンの平面的で静的なページは、実物さながらのアバターとして交流するデジタル3D空間、すなわちメタバースに置き換わるでしょう。メタバースは、決して一人きりになることのない、身体性を備えたインターネットです。予定された時間に始まり、終了すれば消えてしまうZoom通話とは異なり、メタバースは常時利用可能で、仲間との交流を可能にします。この移行は、能力開発と学習に大きな影響をもたらします。

教えること、学ぶことの新しい形

新世代の仮想現実(VR)ヘッドセットは、メタバースへの入り口です。頭部装着型のVRディスプレーは感覚を包み込み、身体がそこにあるという比類ない感覚をもたらします。ユーザーは3Dの場面を自由に動き回り、現実世界と同じように手を使って周囲の世界とやり取りできます。VR技術は十分に成熟し、もはやガートナーのハイプ・サイクルの対象ではありません。また、世界的な能力格差に対応できるほど手頃な価格(300ドル未満)になりつつあります。一人用のセッションなら、インターネット接続さえ必要ありません。

VRは脳の運動系に働きかけ、筋肉の記憶を形成します。フライトシミュレーターがパイロットの緊急着陸訓練に役立つように、VRでは農業技術から消火活動まで、あらゆる訓練が可能です。メタバースの強みを生かせるスキルには、空間認識の訓練があります。現実には危険、高額、不便、あるいは単純に実践不可能な作業で、手や身体を使う訓練などです。ほかにも、通常時や異常時の作業、緊急対応、職場でのストレス状況、重要な手順、重大な結果を伴う事態を、安全に管理された環境でシミュレーションする方法があります。身につくまで繰り返し練習できます。

メタバースは、没入感のあるキャンパスライフを実現します。Image: 世界銀行。

メタバースが学習と能力開発に好影響を与える6つの方法

1. 没入感のある仮想キャンパスで学び、交流する

新型コロナウイルス感染症の流行前から流行中にかけて、学習の場はすでに、物理的な教室から、より仮想的で対面とオンラインを組み合わせた空間へと移り始めていました。メタバースは、没入感のあるキャンパスライフを実現します。VRヘッドセットを装着した学習者は、仮想キャンパスや大学に入り、学び、探究し、交流できます。例えばこのデジタル空間で、さまざまな学習ポッドを訪れ、図書館やグループ学習室を利用し、コーチやカウンセラーに会い、仲間と過ごすことができます。

こうしたデジタル体験は、地理的に離れた場所に暮らす人々や、経済的背景の異なる人々が、費用を抑え、柔軟かつ短期間で共に学べるようにすることで、教育の機会を真に広げる可能性があります。例えば、2023年9月に計画されていた、首都ナイロビから60キロメートルの場所にあるケニア・KAIST仮想キャンパスにより、この機関は大陸を越えて活動範囲を広げ、学生は自国を離れることなく、最先端のテーマを共に学べるようになります。

2. 仮想環境とハイブリッド環境で実社会のスキルを高める

メタバースは、実社会のシナリオやプレッシャーの高い状況を使った、体験型で身体性を伴うスキル習得の機会を提供します。結果を気にせず、失敗できる環境です。適切に設計すれば、VRにデータサイエンスと空間デザインを組み合わせ、学習者の意欲、自信、応用力を高めます。メタバースでの訓練がもたらす利点には、次のようなものがあります。

  • 体験型学習。製薬大手のノバルティスは、高精度のマルチプレイヤーVRシミュレーションで、命を救うための実験室スキルを訓練しています。学生は仮想実験室に入り、指導者とやり取りしながら、チューブの溶接、バッグのキャップの取り外し、バッグへのラベル貼付を、何度でもやり直して練習します。

  • 意図的な反復練習。メタバースでは集中的な練習とフィードバックの循環が可能になり、学習者は概念のさまざまな応用を繰り返し練習してスキルを磨けます。ウォルマートのゲーム「スパーク・シティ」は、プレイするたびに展開が変わります。10フィート以内に顧客が現れた場合、プレイヤーは手伝えることがあるか尋ねなければなりません。ただし、その前にこぼれた物やほかの安全上の危険に対処します。

  • 状態依存学習。 プロビデンス・ヘルスは、職場でのマイクロアグレッションへの対応に伴う心理的ストレスを再現します。3Dボリュメトリックビデオで撮影された実際の俳優が、スマートフォンやタブレットのカメラ越しに、目の前の部屋に立つホログラムとして現れます。同じ条件下で学び、内容を思い出す訓練ができます。

3. 視覚化とストーリーテリングでさまざまな世界を探る

視覚化とストーリーテリングは、メタバースでの学習体験を特徴づける要素です。新型コロナウイルス感染症の流行中に退屈なZoom体験があふれた今、これらは大いに求められています。VR技術を使えば、学習者はまったく異なる世界に入り込んだり、他者の立場を体験したりできます。例えば、ヘルスケア大手のダヴィータは、双方向型で多感覚に訴える一人称の物語を使い、患者への共感を育んでいます。

メタバースの世界に入ることで、複雑な開発課題を含むさまざまなシナリオを視覚化できます。例えば学習者は、VRヘッドセットを使って南アジアの街路の変容を調べたり、緑豊かなスマートシティでの暮らしを探ったりできます。短い360度の物語、バーチャルツアー、視覚化を通じて、学習者は気候変動、教育、ジェンダー、都市開発、国際貿易、公衆衛生など、世界的に重要な開発課題の中に「入り込む」ことができます。

4. 対人関係や困難な状況に対応する人間力を養う

コミュニケーション、リーダーシップ、傾聴、共感といったソフトスキルを職員に訓練することは、実施も効果測定も容易ではありません。メタバースでは、学習者を実社会の対立状況に没入させ、安全な環境でソフトスキルを練習できます。例えば、従業員や顧客と、慎重さを要する会話や難しい話し合いをする練習ができます。

ベライゾンの従業員にとって、強盗を想定した安全訓練は、危険を感じさせ、圧倒されることがあります。ベライゾンはVRを活用し、1,600店舗の22,000人を超える従業員に、この複雑な状況への対応を訓練しました。同社によると、訓練を受けた人の97パーセントが、こうした危険な状況に置かれた際にも対応できると感じていたとのことです。ベライゾンはVRを活用し、1,600店舗の22,000人を超える従業員に、この複雑な状況への対応を訓練しました。同社によると、訓練を受けた人の97パーセントが、こうした危険な状況に置かれた際にも対応できると感じていたとのことです。

5. 障害のある人々のアクセシビリティを向上させる

メタバースは、障害のある人々が教育や社会にアクセスしやすくする可能性を秘めています。例えば、没入型環境では、特別な支援を必要とする人、自閉症のある人、社会的な交流に困難を抱える若者が、対人スキルや仕事のスキルを高められます。ショッピングモールや食料品店を訪れる、店で商品を棚に並べる、トラックに荷物を積み込むといった練習ができます。VRアプリを通じて、圧倒されたり不安を感じたりせず、安全な環境でスキルを練習し、他者と交流できます。

VRは、移動や不安に関する問題を抱える人々の生活の質を高める助けにもなります。例えば、スターライト慈善団体はVR技術を使い、小児患者が病室の壁から「抜け出し」、別の世界へ移る機会を提供しています。VRゴーグルを通じて、サッカーをしたり、友人と過ごしたり、遠く離れた場所を訪れたりする体験ができます。

6. 学習成果に関するデータ収集を増やす

メタバースで没入型の学習体験をつくると、これまで活用されていなかったデータを組織が収集し、学習者の行動を把握できます。それにより、進捗を追跡し、課題を特定し、学習体験を継続的に改善できます。学習者の行動に関する有用なデータには、利用状況、成果、注意と関与の度合い、感情、予測分析などがあります。教師も、データの収集や、こうした環境が学習にどれほど有効かを分析する授業に、より積極的に関わることができます。例えば、ファイザー、ノバルティス、ブリストル・マイヤーズ スクイブの製薬シミュレーションでは、手の動きを追跡します。ユーザーが手を交差させたり、バイオセーフティキャビネットの下で手の角度を誤ったりすると、シミュレーションはただちにフィードバックを返し、最初からやり直します。あらゆるデジタル上の行動を測定でき、テレメトリーデータのダッシュボードから、シミュレーション体験の改善に役立つ具体的な知見を得られます。

メタバースは文字どおり、インターネットの後に続く「生」です。この新しい学習方法の初期の活用例には、仮想キャンパスでの活動、3Dシミュレーション、ゲーム化された活動があります。これは始まりにすぎません。この技術によって、斬新な方法で教育を再構想し、その機会を広げる可能性が無限に生まれています。

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