LinkedInのCEO、ジェフ・ワイナーが語る、思いやりこそ成功する企業の鍵である理由

Jeff Weiner, CEO of LinkedIn, speaks on stage during fireside chat session at the TechCrunch Disrupt SF 2013 technology conference in San Francisco, California September 9, 2013. REUTERS/Stephen Lam (UNITED STATES - Tags: BUSINESS SCIENCE TECHNOLOGY)
Jeff Weiner, discusses the importance of being compassionate in the workplace and at home.Image: REUTERS/Stephen Lam (UNITED STATES - Tags: BUSINESS SCIENCE TECHNOLOGY)
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以下は、今週、LinkedInのCEOジェフ・ワイナーがウォートン校の卒業式で行ったスピーチをもとに編集したものです。このスピーチの別バージョンは、LinkedInにも掲載されています。

LinkedInでの役割のおかげで、皆さんと同じように、キャリアを始める学生やインターンと話す機会があります。よく尋ねられる質問の一つは、「22歳の自分にどんな助言をしますか」というものです。

22歳の自分に伝えたい助言は、思いやりを持つことです。

皆さんと同じ年頃の私は、あまり思いやりがありませんでした。実際、キャリアの後半になるまで、特に思いやりがある人間ではありませんでした。思いやりの意味と価値を学んでいなければ、今日この壇上に立っていなかったかもしれません。そこで今日は、思いやりを持つことの大切さ、そしてそれがキャリアの道筋や会社、人生をどう変え得るかについてお話ししたいと思います。

30歳のとき、私はある本に出会いました。タイトルは『幸福の技法』。ダライ・ラマの教えについて書かれた本です。この本を通じて、共感と慈悲の違いを初めて学びました。共感とは、ほかの生き物が感じていることを自分も感じることです。慈悲とは、相手の立場に身を置き、その人の視点から世界を見て、苦しみを和らげようとすることです。

西洋社会では、この二つの言葉を同じ意味で使う人が多いものの、根本的な違いがあります。ダライ・ラマは、こう説明しています。山道を歩いているところを想像してください。胸の上に大きな岩がのしかかり、押しつぶされそうになっている人に出会います。共感的な反応は、自分も同じように押しつぶされ、息が詰まる感覚を覚え、何もできなくなることでしょう。慈悲の反応は、その人が苦しんでいると認識し、岩を取り除いて苦しみを和らげるために、自分にできることをすべてすることです。言い換えれば、慈悲とは共感に行動を加えたものです。

「思いやりを持って経営することは、チームを築くより良い方法であるだけでなく、会社を築くより良い方法でもあります。」

これは私にとって非常に大きな気づきでした。その本は以来ずっと、ベッドサイドの定番になっています。思いやりの意味を知るきっかけとなった本でした。しかし、それを実践する機会が訪れたのは、数年後のことです。2001年、当時の上司でありメンターでもあったテリー・セメルの勧めでシリコンバレーに移り、Yahooの幹部になりました。あるジャーナリストは、Yahooでの私のマネジメントスタイルを「鋭い知性を鈍器のように振り回す」と評したことがあります。少なくとも前半は褒め言葉でした。

怒鳴るタイプではありませんでしたが、かなり厳しい人間でした。プレゼンテーションで筋の通らない点を見つけると、チームに質問を次々と浴びせることがありました。理解しようと耳を傾けるのではなく、反論するつもりで聞いていました。ほかの人にも自分と同じやり方を期待し、そうでないと苛立っていました。やがて、このやり方がいかに生産性を損なうかに気づきました。人を鼓舞し、力づけるどころか、口を閉ざさせてしまうやり方だったのです。

思いやりを身につける

そこで私は変わることにしました。人を管理する責任を担う限り、思いやりを持ってマネジメントすることを目指そうと決意しました。それは、いったん立ち止まり、とりわけ感情的になったときには、自分の考えを一歩引いて観察することを意味しました。相手の立場に立ち、その人の希望や恐れ、強みや弱みを理解することでもありました。そして、その人が成功できるよう、自分にできることをすべてすることでもありました。

このやり方を実践して、もう10年以上になります。確信を持って言えるのは、思いやりを持ったマネジメントは、チームを築くより良い方法であるだけでなく、会社を築くより良い方法でもあるということです。LinkedInでの経験から、三つの例を挙げます。

一つ目は、リード・ホフマンが私を会社に迎え入れたときのことです。リードはLinkedInの先見性ある創業者であるだけでなく、私が知るなかでも特に思慮深い人です。私が入社した2008年、選択肢を残すため、まず暫定社長として就任することで合意していました。就任前夜、私はリードに電話して尋ねました。「具体的にはどう進めるのでしょうか。あなたはCEOの肩書を持ち、私は暫定社長になります。どの決定を私がし、どの決定をあなたがするのでしょうか」

彼は言いました。「簡単だよ。君のボールだから、君が進めてくれ」。私は「えっ?」という感じでした。彼は続けました。「そうだよ。前のCEOとの間で同じことを経験したから、同じ過ちを避けたいんだ」。

しかしリードは、権限の所在を明確にするだけにとどまりませんでした。私がLinkedInにいた最初の10週間ほどのうち、少なくとも8週間、リードはオフィスを離れていました。会社の創業者である自分がそこにいれば、社員は私ではなく反射的に彼のところへ決定を仰ぎに行くだろうと理解していたため、会議や出張の予定を入れたのです。私自身が社内のつながりを築けるようになるまで、彼は状況から完全に身を引きました。思いやりを持ったマネジメントとは、まさにこういうことです。皆さんにも、同じように皆さんの成功を心から願う人との出会いがあることを願います。それが大きな違いを生みます。

これが一つ目の例です。二つ目は、物語というより、ある気づきです。

信頼の欠如

企業の長期的な価値は、意思決定の速さと質によって決まります。チームのメンバー同士に信頼がなく、互いの動機を絶えず疑っていると、より良い判断をより速く下すのは困難です。そうした環境では、目の前の仕事に集中するより、社内政治への対処に時間の大半を費やすことになります。私も経験しましたが、楽しいものではありません。

「適切な企業文化を築けば、競争上の優位性が生まれます。」

その反対にあるのが、思いやりを理念とする文化を育てることです。LinkedInの経営陣が目指してきたのは、相手の視点を理解するために時間をかけ、悪意があると決めつけず、信頼を築き、共通の使命を軸に結束する文化です。10年近くたった今も、ほかの会社なら何カ月も議論するような重要な決定を、私たちは数分から数時間で下せることを誇りに思っています。適切な企業文化を築けば、競争上の優位性が生まれます。

三つ目の例は、世界の労働力を構成するすべての人に経済的機会を創出するというLinkedInのビジョンを実現するうえで、思いやりが欠かせないものになったことです。最近、メンバーがネットワーク内の誰かに推薦を頼んで求人に応募できる製品を公開しました。この製品の事例研究を行えば、成功する戦略の特徴をすべて備えていると評価されたでしょう。独自性があり、利用者の重要なニーズに応え、成果を大きく前進させたからです。しかし、それだけでは評価として不十分でした。

公開後まもなく、ソーシャルインパクト部門の責任者で、私たちのビジョンと価値観に深くコミットしているメグ・ガーリングハウスが、新機能は会員のなかでも特に支援が行き届いていない人々にどのような影響を及ぼすのかと問いかけました。4年制大学に進学せず、適切な人脈もない一方で、その職務で力を発揮するスキルは持っている人たちです。それは、まさに問うべきことでした。

キャリアに関するアドバイス

Year Upやペニンシュラ・ボーイズ&ガールズ・クラブのような団体と協力するなかで、私はそうした立場にいる若者たちと出会う機会に恵まれました。彼らは聡明で、たくましく、自分とほかの人の人生をより良くしようと尽力しています。私たちの多くには想像も及ばないほどの逆境を長年乗り越えるなかで培われた資質を持っています。そうした人たちを採用し、成長していく姿を見てきたことで、彼らに必要なのは施しではなく、手を差し伸べることだと明らかになりました。私たちも皆、キャリアのどこかでその助けを必要としてきたのです。

そこで私たちは、キャリアに関するアドバイス機能を開発しました。経験や確立された人脈のない人が、その両方に恵まれた人から助言を得られるようにするものです。公開からわずか数カ月で、LinkedInでは約100万人のメンターがボランティアとして参加しました。

イノベーションとテクノロジーの進歩が加速し続けるなか、私たちの行動が意図せずもたらす結果をよく考えることは、かつてないほど重要です。株主価値の最大化だけにとらわれてはいけません。未来のビジネスリーダーとして、何を成し遂げようとしているかだけでなく、どのように成し遂げようとしているかも大切だと心に留めてください。新しいテクノロジーの影響を受ける人々、そしてその恩恵を受けられないかもしれない人々の立場に、私たちはますます身を置いて考える必要があります。

ここまでお話ししてきたのは、仕事における思いやりについてです。ここから話題を変えて、家庭で思いやりを実践することがどれほど大切かをお話ししたいと思います。数年前、職場で長い一日を終え、疲れ切っていたにもかかわらず、その日を充実して過ごせたと振り返りながら、車まで歩いていました。しかしその夜、満足感は長く続きませんでした。車のドアを開け、妻と二人の娘が待つ家に帰ることを考え始めたとき、ふと気づきました。職場で思いやりを持とうと懸命に努めていたのに、家族にはいつも同じように思いやりを示せていたわけではなかったのです。

夜によっては、帰宅するころにはすっかり消耗し、娘たちを寝かしつけると、もう何かをしてあげる余力がほとんど残っていませんでした。妻も疲れ、多忙な一日を過ごしていたのに、話をしたり、大切なことを相談したりしたいと言われると、私は反射的に「今日は長い一日で、疲れ切っている。別のときに話せないかな」と答えていました。つまり、最も大切な人に対して、思いやりとは正反対のことをしていたのです。

妻のリゼットは我が家の支柱であり、私の仕事を支える土台を築いてくれました。愛情や優しさ、感謝の大切さを教えてくれた人です。Yahoo時代のチームは、私にはリゼットと出会う前と後の二つのバージョンがあるとよく冗談を言っていました。彼らは後者のほうを断然気に入っていました。

よくある過ち

彼女なしでは今の仕事ができないことは、言うまでもありません。

私は、あまりにもよくある過ちを犯していました。最も身近な人には努力する必要がないと思い込み、その存在を当たり前だと考えていたのです。これほど真実からかけ離れた考えはありません。

何が自分を幸せにするのか気づくまで、長い時間がかかりました。簡単に言えば、朝、仕事に行くのを楽しみにし、夜、家に帰るのを楽しみにできることです。それを実現できる唯一の方法は、人生のどちらの場面でも思いやりを実践し、物事も人も当たり前だと思わないことです。

思いやりについて私が学んだ、特に価値ある教訓をいくつかお話ししました。いくつかは、今まで以上に重要に感じられます。現代を特徴づける問題の一つは、社会経済的な階層化、つまり持つ者と持たざる者の間に広がる格差です。すでに歴史的な高水準に近づいており、新しいテクノロジーによって何百万人もの人々が職を失う可能性があるなか、さらに悪化する恐れがあります。人々が経済的機会を得られなくなると、社会から疎外され、それは社会に深刻な影響を及ぼしかねません。

「大切なのは何をするかだけでなく、どのようにするかでもあります。」

それだけでも難しいのに、私たちは部族主義の台頭にも直面しています。自分と見た目や話し方が似ている人に引き寄せられるのは、人間の本性です。仲間に属しているという感覚は、身の安全を守り、安心感をもたらします。しかし、その暗い側面もあります。こうした集団は、自分たち自身や自分たちの利益、信念の体系について考えることに時間をかけすぎています。テクノロジーは、私たちの世界観を補強する人々とこれまで以上に簡単につながれるようにし、分断を助長します。悪循環です。他の集団について考える時間が足りず、その結果、私たちはさらに遠ざかっていきます。

しかし、こうした流れを逆転させることはできます。たとえ一瞬でも自分たちの集団から抜け出し、自分とは異なる人々の視点を通して物事を見ることで、社会経済、民族、人種、ジェンダー、政治など、さまざまな隔たりを縮め始めることができます。

2018年の卒業生の皆さん、皆さんは何でも可能に思える時代に卒業を迎えます。かつてはSFの世界の話だったAIが、ますます日常生活の一部になっています。世界の病気をなくし得る医学上の飛躍的進歩も目前です。火星への移住を目指す人もいれば、化石燃料への依存をなくそうとする人もいます。そして、いかにもウォートンらしいことに、両方を同時に成し遂げようとしている卒業生もいます。

どのような方法で世界を変えると決めたとしても、大切なのは何をするかだけでなく、どのようにするかでもあると覚えておいてください。最後に、22歳の自分に伝えたいのと同じ助言を皆さんに贈ります。思いやりを持ってください。そうすれば、私たち全員がより良く生きられるでしょう。

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