大きな変化が訪れようとしています。自動化の時代が本格化するなか、労働市場に参入する若者も、すでにキャリアを築いている人々も、機械の台頭に不安を感じています。
しかし、機械の能力がますます高まる一方で、人間はこれまで以上に欠かせない存在になります。
カナダ、米国、そして海外の顧客と話すなかで、私が耳にしてきた明確なメッセージです。ここ数か月の市場の変動にもかかわらず、酪農家から石油会社、テクノロジー企業まで、企業のリーダーや起業家は深刻な労働力不足に直面しています。
私たち自身の事業でも、機械学習やブロックチェーンといった予想される分野だけでなく、デザイナーや行動経済学者のように意外に思われる分野でも、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)に新たなスキルを持つ人材を迎えようとしています。この長期的な変化を、顧客を起点に銀行を再設計する機会と捉えています。
テクノロジーは、将来の仕事に必要となる多くのスキルに取って代わるものではありません。単にそれらを支え、統合する役割を果たします。つまり、将来はデジタルを使いこなす力が、読み書きや計算と同じくらい重要になるのです。
これは、カナダの労働市場に関する最近のRBCの報告書で重要な指摘の一つでした。その報告書の題名は「人材が求められている」で、300を超える職種と、それらに就くために必要なスキルを調査しました。
報告書は、カナダの全雇用の半数が2020年代にテクノロジーによって大きな変化を受けるリスクにさらされていると結論づける一方、自動化の時代は必ずしも脅威ではないとも示唆しました。

変化が進むなかでも、今後4年間にカナダ経済で250万件の雇用が新たに生まれるか、募集されると予測されています。現在の雇用数が1,850万件の国にとって、これは大きな数字です。この労働力には、単一のキャリアパスではなく、さまざまな仕事や役割に備えるための基礎的なスキルが必要になります。
その結果、カナダ全土、そして世界のほぼすべての国で、静かな危機が生じつつあります。将来の労働者も、若者も、すでに働いている人々も、これからの仕事がどのようなものになるのか、ましてやそれに必要なスキルが何かについて、準備ができていないと感じています。
今日の子どもたちは成長すると、まだ存在すらしていない可能性が高い、テクノロジーを活用する仕事に就くことになります。その現実に備えるには、コーディングだけでは不十分です。人間らしさを発揮し、批判的思考、創造性、コミュニケーション、複雑な問題解決など、スキルを活用できる仕事の幅を広げる能力を身につけることが大切です。
「人材が求められている」報告書は、新たなテクノロジーの波ごとに仕事が生まれたり消えたりする将来の経済において、スキルを別の仕事に生かす力が不可欠になることを明確に示しました。しかし、民間企業のリーダー、教育者、政策立案者は、この新たなスキル経済のなかで人々が力を発揮できるよう、教育、雇用、再訓練のあり方をどのように変えていけばよいのでしょうか。
まず、次のことから始められるでしょう。
1. 教育者
社会に変化をもたらすペースが加速し続ける一方で、ベビーブーム世代も退職の時期に近づいています。その分、新しい働き方の世界で活躍するために必要なスキルの組み合わせを身につけようとする若い世代への重圧が高まっています。
こうしたスキルを育むには、協同教育プログラム、見習い制度、インターンシップなど、有給の就労統合型学習プログラムを通じて、高等教育機関と職場の連携を強化する必要があります。高等教育機関の学生は全員、卒業までに専攻分野に関連する有意義な実践的就業経験を得られるべきです。
20世紀を通じて機能してきた高等教育のモデルは、国、企業、地域社会の新たなニーズに、もはや適応できません。若者の訓練方法を変えるとともに、現役の労働力の再訓練と生涯学習を支える基盤を整備する必要があります。
2. 政策立案者
就労統合型学習プログラムを広く普及させるため、あらゆるレベルの政府が協力し、雇用主や教育機関が参加しやすくなる取り組みに資金を提供すべきです。
各国はこの課題に新たな視点で取り組む必要があります。人材の供給経路として捉えるのではなく、あらゆる分野や専攻の学生と企業をより効果的につなぐ人材プラットフォームの構築へと転換すべきです。
これを実行に移すため、政府は何に重点を置き、人材や資本をどこに向かわせたいのかを決める必要があります。つまり、国の重要な重点投資において、スキルと若者を中心に据えるということです。たとえばカナダでは、農業、海洋、データ、人工知能、先端製造業がそれに当たります。
3. 雇用主
最後に、あらゆる規模の雇用主は、雇用中心の経済からスキル中心の経済への移行を認識し始めなければなりません。採用、再訓練、労働力の育成の方法を見直す必要があり、そのためには学位や資格だけにとらわれない考え方が求められます。
人材の確保と定着は、世界のCEOにとって常に最優先課題に挙げられています。教育者との連携を強化し、学生により多くの実践的な就業・学習機会を提供することは、企業にとって必須の課題であるべきです。これは、若者に職場体験の場を提供するだけの話ではありません。若者の才能を生かし、革新的なアイデアを取り入れることが大切です。
たとえば昨年の夏、当行のRBC Amplifyプログラムに参加した学生たちは、協同教育の学生に当行の難題を解決してもらう取り組みのなかで協力し、銀行のために15件の特許を出願しました。学生たちは、予測分析能力、データ管理方針、サイバーセキュリティ対策の改善に取り組みました。彼らは誰一人として、それまで銀行で働いた経験がありませんでした。
すべての雇用主は、就労統合型学習を明日のスキル経済への投資としてだけでなく、自らの未来への投資としても捉える必要があります。
スキルへの共同投資
要点は、仕事はなくならないものの、それを担うにはまったく新しいスキルが必要になるということです。新しいテクノロジーによって消滅する仕事もありますが、コストが下がり、事業が拡大することで、新たな分野の雇用増加にもつながります。
テクノロジーによる変化への答えは、その課題に人間性をもって取り組む力にあります。
今後10年間、世界は気候変動、格差、急速な高齢化が進む社会における医療費など、これまでで最も差し迫った課題のいくつかに取り組むことになります。新たなスキル経済の強固な基盤を築き、若者に投資し、現役の優秀な労働力の生涯学習プログラムを支援することによってこそ、各国と人々が、先行き不透明な明日に立ち向かう準備を整えられるのです。

