高等教育の学生がオンライン学習に求める5つのこと

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  • 近年、オンライン学習の人気が高まっており、学生はオンライン講座に何を求めているかについて多くの意見を持っています。

  • マッキンゼーの最近の調査では、学生はオンライン学習に柔軟性、交流、高品質なコンテンツ、サポート、そして費用に見合う価値を求めていることが分かりました。

  • 教育機関は、非同期型の講座を提供し、交流を促し、高品質なコンテンツを作成し、サポートを提供し、費用に見合う価値を示すことで、これを実現できます。

  • パンデミックによってオンライン学習への移行が加速しました。オンライン学習における学生のニーズに応えられる教育機関は、今後の成功に向けて有利な立場に立てるでしょう。

遠隔型とハイブリッド型を問わず、オンライン課程は世界の高等教育でより大きな割合を占めるようになっています。近年の成長の多くは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによるもので、キャンパスは突然閉鎖され、授業は遠隔形式への切り替えを余儀なくされました。しかし、多くの学生、とりわけ仕事と学業の両立を目指す学生は、従来の教室での授業に比べて利便性と利用しやすさが高いことから、オンライン学習を選ぶようになっています。実際、マッキンゼーの新たな調査によれば、高等教育の学生の大半は、今後もオンライン学習の要素を少なくとも一部、教育に取り入れたいと考えています。一方で、大学が提供するオンライン学習の体験に不満を持つ学生もかなりの割合に上っており、高等教育機関にはオンライン学習モデルを進化させる余地があることを示しています。

高等教育の学生がどの学習モデルを好み、その理由は何か、またオンライン教育のどのような点に満足し、オンライン学習のどの要素を最も重視しているかを明らかにするため、米州、欧州、アジア、中東の17カ国で学生7,000人を対象に調査しました(囲み記事「調査について」を参照)。本調査はオンライン学習体験の8つの側面を対象とし、24の属性を網羅しています。これにより、高等教育の学生が何を求めているかを幅広く把握できます(図表1)。

図表1:高等教育の学生のオンライン学習体験を形作る8つの主要な側面と24の属性を特定しましたImage: マッキンゼー・アンド・カンパニー

本稿では調査結果を概説し、高等教育機関がオンライン学習プログラムを構築・改善するために活用できる3段階の行動計画を提示します。教育機関が学生により良い体験を、そして願わくばより良い成果をもたらせるよう支援することが、本稿の目的です。

学生がオンライン学習で重視すること、重視しないこと

調査対象の学生は全員、パンデミック中にオンライン授業へ移行しており、そのほぼ65%が、学習体験の一部を今後もオンラインで続けたいと答えました。割合が最も低かったフランスでさえ、半数を超える学生が、学習の一部をオンラインのままにしたいと回答しました。

学生は柔軟性と利便性を評価しています。オンライン形式のまま継続、またはオンライン化すべき11の学習機能を好ましい順に並べてもらったところ、上位3つは、授業を録画して後から視聴できるようにすること、オンライン教材に簡単にアクセスできること、仕事と学業の両立を可能にする柔軟性でした。

一方、完全遠隔型の課程への入学をためらう学生は依然として多く、世界の学生が挙げた上位3つの理由は、オンライン学習で気が散りやすくなることへの懸念、学習体験に意欲をかき立てる要素がなければ退屈すること、オンライン課程を修了するだけの規律を保てないことでした。こうした認識には先入観が含まれている可能性もありますが、一部の学生にとって、オンライン課程が魅力的な学習体験を生み出せていないことを示唆しているようです(図表2)。

図表2:オンライン教育課程への入学を予定していない学生が挙げた主な理由には、気が散ることへの懸念、規律の欠如、意欲の欠如が含まれます。Image: マッキンゼー・アンド・カンパニー

対面型、ハイブリッド型、完全遠隔型のモデルに対する考え方は、社会的な要素にも左右されます。ハイブリッド型を好む学生は、柔軟性と学生同士の交流を組み合わせられる点を評価します。一方、対面型を好む学生は、より手厚いサポートや学生同士が交流する機会を得られると答えています。調査対象国の80%では、対面型教育を選ぶ最大の理由として、オンライン学習よりも対面のほうが教員に助けを求めやすいことが挙げられました。

改善の余地

注目すべきことに、大学のオンライン学習に対する学生の満足度は、国によって大きく異なります(図表3)。友人や家族に自分の大学を薦める可能性が高いか低いかを尋ねたところ、米州の学生は他地域の学生よりも、はるかに薦める意向が強いことが分かりました。この結果は、学生の不満が大きい国の教育機関が質の低い学習体験を提供していることを必ずしも意味しません。しかし一般に、文化的背景や過去の教育経験などによって異なる学生の期待に応えられていない可能性を示しています。

図表3:オンライン学習体験に対する学生の満足度は、国によって大きく異なります。Image: マッキンゼー・アンド・カンパニー

本調査は、高等教育機関がオンライン学習を拡大できる可能性を示しており、満足度の高さとオンライン学習の成長との相関が確認されました。¹ 調査対象国のうち、オンラインの高等教育課程で学生数が最も増加した米国とブラジルでは、平均的な学生満足度も他国より比較的高くなっていました。この結果は、一部の国では教育機関が学生を惹きつけ、意欲を高めるオンライン課程の体験をおおむね構築できていることを示唆しています。

重要な基本属性

高等教育機関がオンライン課程を進化させ、より満足度の高いものにできるよう、学生にオンライン学習体験を形作る24の属性を順位付けしてもらいました。地域によって重要な違いはあるものの(囲み記事「地域間の主な違い」を参照)、オンライン課程の成功を支える3つの原則が明らかになりました。

1. 基本が依然として重要。適時性のあるコンテンツ、コースの構成、教員の専門性との関連性など、学習体験を形作ってきた要素は、調査したすべての国で学生にとって非常に重要です。例えば、17カ国中16カ国の学生が、明確な道筋と目標達成までの段階的な手引きを備えた、非常によく整理されたオンライン講座を、最も重要な要素の上位5つに挙げました(図表4)。

2. 費用のかかる機能が必ずしも評価されるとは限らない。バーチャルリアリティ(VR)、シミュレーション、高度なビジュアルコンテンツなど、導入費用のかかるオンライン学習の属性は、大半の学生から高く評価されていません。この結果は、教育機関も学生も、こうした技術を効果的に活用する方法をまだ模索していることを示している可能性があります。それでも、関連投資は増加しています。ある推計によると、教育向けVRの世界市場は2021年の63億7,000万ドルから、2022年には86億6,000万ドルに拡大する見込みでした。²「オンライン環境での学生同士の学び合い」や「教育機関または学生主導のネットワーキング」などの交流要素も、ほとんどの国で重要度の下位25%に入りました。

3. 学生の年齢や課程の種類は、オンライン学習体験の質に対する認識に大きく影響しない。77本調査では、学生がオンライン学習で最も重視することは、年齢層、専攻分野、教育段階(学部か大学院か)によって大きく異ならないことが分かりました。多少の違いはあるものの、各地域内のグループ間で認識に一貫性があるため、教育機関は特定の学生層に合わせたカスタマイズの必要性を抑えながら、学習体験を開発できます。

世界各地の学生は、最新のコンテンツや課程といった基本的な要素が、オンライン課程でも依然として重要だと認めています。Image: マッキンゼー・アンド・カンパニー

オンライン課程の開発や改善を成功させるには、多くの場合、大学が提供するあらゆる課程について、学生が何を気に入っているかを把握することから始めます。

学生を惹きつけるオンライン体験の設計

高等教育機関との取り組みを通じて、学生の満足度とエンゲージメントを高めるため、オンライン教育プログラムを効果的に変革する3つのステップを特定しました。

1. 学生の声に耳を傾け、変革目標を設定し、オンライン学習を取り巻く環境を評価する。オンライン課程の開発や改善を成功させるには、多くの場合、大学が提供するあらゆる課程、すなわちハイブリッド型、完全遠隔型、対面型について、学生が何を気に入っているかを把握することから始めます。調査で用いた24の属性を手がかりに、教育機関は学生に広く意見を聞き、オンライン課程の評価が高い領域と、成果が振るわない領域を特定できます。私たちの経験では、この種の分析によって、異なる学習モデルを選ぶ学生のタイプをより深く理解し、オンライン学習課程に入学しやすい学生層を特定することもできます。

学生の希望を包括的なデータセットにまとめるだけでなく、教育機関は学内の他の関係者と協力し、例えば在籍継続率、修了率、就業可能性の向上など、目標とする変革の成果を定めることができます。また、こうした具体的な目標に関して、現状の実績を他のオンライン教育提供者と比較して評価することもできます。

2. オンライン課程の基本属性と、差別化につながる要素を組み合わせる。具体的な目標を設定したら、オンラインで提供する価値を高めるため、どの機能を対象にするか戦略的に評価できます。このプロセスでは、次の4つの具体的な質問が役立ちます。

  • 機能を追加または強化する方法に、ほかの選択肢はあるか。

  • この要素を設計・導入するには、どの程度の複雑さがあるか。

  • 新しい要素を追加または進化させる場合、相対的な費用と便益はどの程度か。

  • この取り組みは、教育機関を他のオンライン教育提供者とどのように差別化するか。

3. 実施と定着に向けた行動計画とガバナンス体制を設計する。追加または改善する機能を決めたら、教育機関は規模、人材、規制、カスタマイズ、市場投入までの速さ、投資という6つの基準に沿って行動計画を策定できます(図表5)。多くの場合、まず学生への効果が大きく、導入が容易で、多額の追加投資を必要としない迅速に実現できる施策を特定し、優先順位を付けます。次に、どの取り組みを外部委託し、どれを内部の能力で構築するかを分析して、実施戦略を立てます。また、相互補完的な役割を担うメンバーでチームを編成し、部門間の縦割りを解消するとともに、施策がオンライン学習における学生の体験全体を考慮し、教員にも十分に定着するようにします。

高等教育機関がオンラインでの学生体験を再設計する際に検討すべき基準は6つあります。Image: マッキンゼー・アンド・カンパニー

調査結果は明確です。パンデミック中に遠隔授業を余儀なくされた高等教育の学生の大半は、教育の一部を今後もオンラインで続けたいと考えています。しかし、完全オンライン課程への入学をためらう学生は多く、大学が提供するオンライン学習体験に不満を持つ学生もいます。教育機関は、あらゆる学習モデルについて、学生が何に満足し、何に満足していないかを尋ねることができます。そのうえで、オンライン課程が学生により良い体験、ひいてはより良い成果をもたらせるよう、戦略を設計し実行できます。

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