論説:世界の教育危機を解決するために、政府が学校から学べること

Students study a textbook in Islamabad, Pakistan. Global education – already in need of urgent reform – is tilting hard in the wrong direction.
Global education – already in need of urgent reform – is tilting hard in the wrong direction.Image: Reuters/Caren Firouz
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  • パンデミック後も、学習貧困は世界的に拡大し続けている。

  • 政策立案者は、現場の教育者が生み出した解決策を取り入れ始めなければならない。

  • 教師の声に耳を傾ければ、効果のある革新的な取り組みを体系化できる。

この9月、世界の指導者たちは国連の「教育変革サミット」に集まり、世界的な学習危機への対応を協議した。教育を世界の政治課題の最優先事項に押し上げる、極めて重要な取り組みだ。

パンデミック以前から、国連は世界がSDG 4の目標を達成できない見通しだと警告していた。学校や大学の閉鎖により150万人の学習者が影響を受け、COVID-19によって状況はさらに厳しくなった。とりわけ低・中所得国では、学習貧困の割合が3分の1増加している。COVID-19以前、これらの国々では10歳児の57%が簡単な文章を読んで理解できなかった――現在、その割合は70%に達している。

すでに早急な改革が必要な世界の教育は、悪い方向へ大きく傾いている。世界の指導者たちが抜本的な行動の必要性を認識したことは、正しい方向への一歩だ。このサミットが持続的な変化をもたらすことを願っている。協議は出発点にすぎない。政府がすべきなのは、耳を傾けることだ。危機の最前線で取り組む教師たちを議論の場に招き、学校に蓄積された知識、経験、専門性から学ぶ必要がある。そうすれば、何をどのように変革すべきかを真に理解する助けとなる。

1960年代、政策立案者の一団が社会における女性の将来の役割を話し合ったという、有名ながら残念なことにありがちな話から学べることは多い。この状況の悲惨さは、当の女性たちが誰一人その場にいなかったことだ。女性たちが議論の席を得るまでには、何年もの歳月と数多くの抗議が必要だった。

世界の指導者たちが、自分たちだけで答えをすべて持っているわけではないと認める覚悟がないのなら、また、教育危機の最前線にいる人々の声を聞いて初めて対処に着手できると認めないのなら、現場の教育者たちは声を上げ、耳を傾けてもらわなければならない。

私たちは、学校にその発信の場を提供するため「世界の最優秀学校賞」を創設した。各校の優れた実践を明らかにし、草の根から教育を改善するため世界中の同業者と共有するだけでなく、子どもたちの生活を変えている日々の取り組みを政府に示し、効果のあるものをどうすれば体系化できるかを伝えるためだ。

今週、私たちが表彰した学校のうち、最終候補の上位3校に選ばれた学校から、革新的な取り組みをいくつか紹介しよう。

ピンランズ・ノース小学校 (南アフリカ)は、教育における包摂性の重要性を見事に示している。校長が1997年に就任した当時、南アフリカはアパルトヘイトの影から抜け出しつつあり、同校の生徒の大半は依然として白人だった。今日、ピンランズは多様性の象徴となっている。性別にかかわらず、すべての児童が同じ制服を着用し、子どもたちは手話を学び、学校にはジェンダー中立のトイレがある。初めてトランスジェンダーの児童を受け入れた際には、家族にジェンダー・アイデンティティについて助言し、保護者を支援できるよう職員を研修した。

教師のアイデアを考慮しなければ、学習貧困は解決できない。Image: 世界銀行

一方、エミリア・ラスカル学校(チリ)は、支援を必要とする生徒の関心を引く革新的な解決策が大きな効果をもたらし得ることを示している。同校はパンデミック中とその後も生徒の意欲を保つため、「エミリアTV」という独自番組を立ち上げ、ソーシャルメディアで毎週配信した。現在は校内にテレビスタジオを設け、生徒主導で時事問題を扱うコンテンツを制作している。このプロジェクトにより、入学者数と学業成績が向上した。

スコットランドのデュヌーン・グラマー・スクールのような学校からも学ぶことができる。同校は、地域の農村部に影響を及ぼしていた人材流出を食い止めるため、新たな技能重視のコースを編成した。生徒の現実のニーズに応じてカリキュラムを変えただけでなく、地域社会全体の課題にも取り組んだ学校だ。デュヌーンは、力強い学校が力強い社会を築くことを明確に示している。

各校の物語は多様で、世界各地に広がっている。しかし、世界の優れた学校で繰り返し見られる成果は、教育成果の向上と地域社会の強化だ。

しかし、学校だけでは持続的にこれを実現できない。学校が持つ専門性、創造性、影響力を真に最大限に生かすには、政府が各校の優れた取り組みを理解し、その活動をどう広げるかを考えなければならない。

物事がうまくいかないとき、人や組織は、力ずくで問題を乗り越えられると考えて従来のやり方を強めるか、取り組みを縮小するかのどちらかに陥りがちだ。別の方法へ切り替える人はごくわずかだが、今必要なのは変化であり、これほど急を要する時はない。

今月の「教育変革サミット」での協議から何か一つ持ち帰るとすれば、より良い持続的な変化は、トップダウンだけで生まれることはほとんどないという認識であってほしい。それは多面的なプロセスであり、相互理解、協力、連携が欠かせない。

どれほど強い意志があっても、政府は交代し、教育大臣も入れ替わる。それでも教師たちは日々現場に立ち、次世代の暮らしをより良くするため、しばしば途方もない課題の克服に努めている。

教師たちがどのように取り組んでいるかを理解することは、効果的な教育法を研究するだけではない。それこそが政策立案の真髄だ。

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